商人だけど世界最強

ガァァァァァァァァ！

全長約15メートル、白銀のドラゴンが今...ジャンたちの目の前に君臨していた。

美しい鱗、白と青の混在した翼、青く海のごとく透き通った瞳、背中には山のような骨組みが突き出ている。

『雪が降り始め、人々は北へと祈りを捧げる。其れは慈愛、冷酷、冬、悲しみの神。神話の始まりにこの世界に生まれ、神話の終わりに人の住みつかない場所へ行き、どこかで人を見守っている。ーーーーって言ってたな、先生が。お〜い先生、見てますか〜？かんっぜんに出張ってますけど、人類の敵じゃんこんなの』

『僕はその話を聞いたことすらないのですが...あぁ...(帰りたい)』

『...........................』

『では、やろうか人間達よ、精々足掻いてみせろ』

そう言うとアルフィィオスは、口を開け、青き炎をジャン達のところへとかけ始めた。

『OKおっさん、かかって来いや。野郎ども、フォーメーションAだ！』

『そんなフォーメーションはないです。適当こくのはやめて下さい混乱するでしょってもうブレスなの、、』

ジャン達はそれぞれ右左に分かれてそれを避ける。ジャン達がついさっきまでいたはずの地面が、岩が、アルフィィオスのブレスに焼かれて溶けていた。

『うわっやばいぞジュダル、これマジだ』

『逆にふざけてるときがあるんですかね...取り敢えずつついてみますか』

そう言うとジュダルは全長110センチほどの武器を出した。それに矢をつけて、アルフィィオスの目に向けて放つ、弓は真っ直ぐに眼球へと飛んでいくも、アルフィィオスの腕に止められてしまった。

『いつも思うんだが、それクロスボウとはちょっと違うよな、なんなんだそれ？』

『これは、僕の地元で作られてる武器で、竹という素材で作られてます。長い弓を発射できますし、僕の魔法は燃費が悪いので、こういうのがいいですね。』

よく見ると、逆側ではマリンがアルフィィオスに斬りかかっていた。アルフィィオスの爪を上手く躱して懐に潜り込む。自分の身長と同じくらいの足の爪の肉を浅く斬りつけた。

爪の間から出血して、アルフィィオスから軽く悲鳴があがる。すぐさま空へと飛び立ち、その風圧で兵士達ごとマリンを吹き飛ばした。

『空飛んじゃうか〜まぁ、確かに空飛んでブレス吐いてるだけでうちの戦線は大混乱だ。そりゃそうするだろ、だけどさそういう対策もできるのが俺なんだよなぁ、撃ち落とすぞジュダル、やってくれ』

そう言うと、ジャンはジュダルに向かって走り出す。ジュダルはそんなジャンの足を掴み、アルフィィオスに向けてぶん投げた。

とてつもないスピードで加速するジャンは誰よりも早くアルフィィオスの真上へ飛来する

ダンッッッッ！！！！！！！！

山のようなアルフィィオスの背中にジャンは到着した。

『到着っと、取り敢えず...オッサン...落ちて？』

ニヤリと笑ったジャンは自分のレイピアを正面に構えて、そう呟いた

『ア・トラベア(ただ貫く)』

そう言うと、ジャンはアルフィィオスに向かって剣を突き出す

その一撃は、ジャン本人の拳よりも小さい、そんな小さなものだった。しかしその一撃は、確かにその伝説のドラゴンの翼に風穴を開けたのだ。アルフィィオスも自分の体にある、小さな穴に驚いている。

『うん、翼をぶち落として落としてやろうと思ったけど、無理くせぇな。ジュダルー！マリン、頼むわ』

マリンは、コクリと頷くとジャンプし、アルフィィオスの顔の近くへと移動する。マリンは自分の持つ剣を上にかかげ、下へと勢いよく振り下ろした

ーーこの九環刀、下へと振り下ろすと刀背の穴から音が鳴り、馬や動物を驚かせることができるという性質を持つ武器である。それを極めたマリンの技と特性が相まって、途方も無い威力を発揮した。

キィィィィィィィィィィィィィィィィン

マリンの掻き鳴らした騒音にアルフィィオスは混乱する。それに加え上から何かの力を感じ、ゆっくりとアルフィィオスは高度を下げていった。

『ううん...流石に アレを全部落とすのは僕の魔法じゃ無理か...だけどドラゴンの全体を見た限り、飛ぶのに必要な箇所は確実にある。そこを僕の魔法で抑えてやれば...あとはアレがダメ押しになるはずだ...シンさんの...』

『放てぇぇぇぇぇ！』

ルーカンの声が全軍に響く

その後ろにあるのは、超巨大な投石機だ。

ゆっくりと引かれた岩は、ルーカンの声とともに放たれ、アルフィィオスの体に直撃する。翼、頭にそれはクリーンヒットし、高度は更に落ちていく。

『グゥォォォォォォ、私が、落ちるだと、人間に、少し前まで私に傷１つつける術を持たなかった人間に！』

『投石機、ジュダル、マリン...めっちゃ高かったぞ、本当に...全部投げ出してる感すごいんだが。』

とうとう、地響きを立てながらアルフィィオスは地面に伏せる。

どーだアルフィィオスのおっさん！そしてこれが、シンが教えてくれた銃だ！ちょっと話を聞いただけで作っちまった俺、ヤバすぎじゃねぇ？

そう言うとジャンは、ジュダルから長い箱を受け取り、そこから銃を出す。その銃はこちらでは種子島、と言われるものに類似していた。

種子島を構え、引き金を引いたジャンの銃は、盛大な音を立てて暴発した。

...........................ポイッ

ジャンは豪快に、先ほどまで持っていた銃を地面に捨てる。

『まぁ...このまま倒そうか？』

『ダサいです会長、とてつもなくダサいです』

『.....................(コクコク)』

地面に伏せたままのアルフィィオスのが前を向くと、商人ギルドの3人組が立ちふさがっていた。

『まだまだ休ませないぜ？こっからだ...人間の力、見せてやるよ』