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多重人格者が異世界転移したら1人増えました あれ、お前魔王じゃね?  作者: くろこん
5章 魔王と多重人格者は互いに相対す
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それぞれの戦争

ちょっと主人公が気になる引きでしたが、


他の視点を書かせて下さい。


あとグロ注意です。物語に体制はないため、はじめのところは読まなくていいです。

ついに始まった、彼らの運命が決まる戦いが


ゾンビと騎士がぶつかり、ゾンビが騎士の首筋を噛みちぎる。騎士は苦しみ悶えながら絶命する。


他の騎士はゾンビを切りつけ、ゾンビから臓物と腐臭が溢れ出す。魔獣は騎士を喰いちぎり、半分に裂き、血の噴水が各地で起き始める。騎乗した黒い指揮官らしきものが兵士たちを鼓舞して回っていたが、そいつは機械族の拳をまともにくらい、赤いトマトが潰れたような跡を残して絶命した。


各地で悲鳴と、金切り声と、雄叫びと、怨叉と、弓の音と、剣戟と、金属のぶつかる音と、命乞いと、破壊音が、こだまする。


これが戦争、これが止められなかった運命。


ならば戦いなさい。


復讐に迅る者

それを疑問を抱きつつも見守る龍

英雄ともてはやされ自分を失った者

王としての責務を果たさんとする者

束縛から解放されし神の機械

それと共に出てきた伝説の戦士達

誓いを胸に魔族でありながら魔族と敵対する者

恩義を返そうとする者

復讐を止めようとする者

人間を守ろうとする者

悩みながらも前に進む勇者

信じ、前に進む助けにならんと誓いし神器使い。


戦い、抗いなさい。自分たちの運命と、それが彼らに対する運命に束縛されし者唯1つの抵抗手段。


私が呼んだこの子は...


うん、まだ隠せる。まだ注目されるようなレベルではないはず。


魔王はよく頑張ってくれた。そろそろ然るべき報酬を与えなくては。


そう考えているこの者...女性は、空に1人浮いている。空と言っても、雲よりも高き場所より、ボードウィンを見下ろしているのだ。


その女性の髪は金髪に白きドレスという格好で、靴は赤いハイヒールを履いている。顔はよく整えられた西洋風の顔立ちをしており。妖艶な色気を放つ美女だ。


ん...?あの子、今こちらを見ていたような。

気のせいね、多分


何もない空に1人座っているその女性は、そうひとりごち、戦争の観戦を決め込んでいた。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


『進め、勇者達よ!我らリザードマンの力、人間にも魔族にも知らしめてやろうぞ!見よ、お前達の前にいるのは一族が勇者、ディナスなり!我が槍に続け続け!』


自らをディナスと名乗ったこの男は、青き鱗を持ったリザードマンである。トカゲのような見た目に、自分の肌の色と同じ穂先をした槍を持つその男は、グリーンの乗っている龍とともに、ゾンビの群れへと突っ込んでいった。



大丈夫だ、私の選択は、間違っていない。



私は、魔王軍がまだほぼ全ての種族を支配下に納めてない時代に、槍の天才として、村で活躍していた。


しかし、ゾンビ、グールに襲われて負傷した村の仲間を助けるために1人化け物達と戦っていた俺は、その途中意識が闇へと包まれ、気がついたらパンドラの箱の中にいた。


それから数百年、グリーンに助けてもらうまで、私はパンドラの箱の中を彷徨った。


しかし、ただ助けてもらった恩を返してやろう、と言う理由だけで、私は同族と戦うわけではない。


私はあの男を信用してしまったのだ。龍にのり、マヌケ顔を晒しているあの男を。


あの男は、今の時代の状況を全て話してくれた。自分たちが知りたかったことを、包み隠さず。無論全てに信を置くわけではなかったが、グリーンが嘘をついているとは思えなかった。


全てを話して、自分と共に戦うか、それとも去るか、決めて良いと、そう言ったのだ。あの男は。


普通、敵に回るかもしれない者を無傷で返したりする奴がいるのだろうか。少なくとも我がリザードマンの一族は、自分たちに仇なす者は全て殺してきた。他の種族など、魔族では信用できないからだ。それは同種でもそうだ。同じ種族でも、違う村のリザードマンは信用できない。こうして考えると、うちの種族はとても閉鎖的な種族だったのだな。


それに、彼は魔族の未来について話してくれた。


『俺は自分の世界に帰るけど、人間と魔族の戦いを収めるちょっとした策があるんだ。聞いちゃくれないか?魔王のやり方だと、人間と魔王軍の戦いはあと何十年も続く。恐らくどちらかが全滅するまでな。俺の方法なら、少し時間がかかっちまうが、多分戦争なんて終わるぞ!どうだ?聞きたくならないか?』


その考えを聞いた時、我らは驚いたが、話を聞いていくうちにすぐに納得した。たしかに、グリーンならやりそうだ。というより、やる。そう信じるに足りる自信が、グリーンから溢れていた。


我らが人間軍に近づき、人間達が殺気だった時も、グリーンは人間達の王と交渉し、我らを軍に向かい入れてくれた。そのせいで、グリーン本人は最前線へと今立たされており、今も我々よりも先に敵に突っ込んで行っている。間違いなく損をしているのだ。しかしグリーンはそのことを気にするそぶりさえない。


まぁ、はっきり言って、好きになってしまったのだろうな。あの酷く利己的で、それでいてすぐにそのものを信用してしまうグリーンが。今でさえ、我らが大将は、自分ではなく、パンドラの箱であってまだ1週間もたたないような男を指揮官にしてしまった。


その話を聞いた時は驚いたものだ。


『私のひいお爺様の恩人を騙る不届き者め!我が名はパーソレープ!!リザードマンが棟梁なり!食らうがいい!軍神の開発したリザードマンに伝わりし究極の槍!「流嵐水槍!」』


おっと、私としたことが、少し呆けていたらしい。ゾンビを蹴散らして機械族を超えた先には、我らが同族が槍をふるってこちらに迫ってきていた。


しかし...それ私が開発し、村のみんなに教えていた技なのだが...ひょっとして軍神って私か?てか村の仲間にすごい顔似てるな。


ディナスは、パーソレープの繰り出した槍を片手間に受け止め、そのまま持っていた槍でパーソレープの槍を両断した。


『馬、馬鹿な...我が一族の奥義が...片手間で...』


『遅いな...実に遅い。パンドラの中にいた数百年間...悪くはなかったと言うことか。見せてやろう!軍神が数百年の修行を経て開発した奥義を!くらえ、「水流鱗水槍、神嵐!」』


途端にディナスの槍から青き光がほとばしり、それを魔王軍全体に向かって突き出す。槍からは嵐が巻き起こり、目の前にいた機械族の土手っ腹に風穴を開け、それでもなお巻き起こる嵐に、リザードマンの軍勢が吹き飛ばされていく。


パーソレープはそれをまともにくらい、吹き飛ばされていった。


『ふはははは!一撃だけならば神器をも上回る我が槍を見たか!この調子だ。勇者達よ、俺に続け!』


高らかに笑いながらもディナスは敵に突っ込んでいく。


そろそろ幹部と戦えるかと興奮冷めやらぬ様子で。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


シンよ、どうしてしまったのだ。お前の目指す未来は、一体どこへと行ってしまったのか。


神龍アルフィィオスは、椅子に座りながらも戦局を見守る魔王に対して疑問を抱いていた。


こいつとの出会いは劇的だった。話しかけてくる人間たち、魔族たち、全てが、この神龍の力を利用しようと企むもの達だけであった。


あの勇者達でさえ、神器をよこせとのたまった挙句、我が力までもよこせと言いおったものであったのに。


あの、一匹のゴブリンだけは違ったのだ。


違うはずだったのだ。


『なんか貴方...寂しそうですね』

『俺が友達になってやるよ』

『俺の元いた場所はさ...力が強いとか、頭が良いとか、特殊なことができるとか、そんな奴らが集まって、お互いにそれを支え合う、そんな場所なんだ。今は争ってばっかりいるこの場所も、きっとそんなところにしてみせる』

『お前と対等の関係になるために、お前と喧嘩がしたい。買ってくれないか、アル!』


私がシンとの喧嘩に負けて、配下に加わった後も、彼は私に戦いを強要したことは一度もなかった。しかし今はどうだ。私はただの1人の戦力として、帝国の戦争に駆り出されている。何があった。シンよ、人間との戦争が始まる少し前から、お前の様子は少しおかしい。


幹部連中は、そんなシンの様子になんの疑問を持っていないようだ。不自然なまでに。


こんな話があった。「パンドラの箱」と言うところから数千年ぶりに復帰してきた名のある者達が帰ってきた。どうやら一人の神器使いに救ってもらったらしい。


我らが神器を奪おうとした時に現れた、あの飄々とした男だ。


あの男は人間の未来だけではない、我ら魔族の未来のことも考えているのだ。私はその話をシンにした。しかしシンは、「そうか」と言って黙ってしまった。戦争をする意味がなくなってしまったと言うのに。ここで引けばまだ間に合うはずなのに、以前のシンならそう決断できたはずなのに。何を思う、シンよ。何がお前をそうさせた。


『アル、お前は我とともに右の人間を叩くぞ、ついてこい』


承知、と小さい声で神龍は答える。


一体どうしてしまったのだ、友よ。







あぁ〜シリアス多すぎて


主のふざけメーターが限界に達した音ォ〜

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読んでくれてありがとうございます! これから全10章、毎日投稿させていただきますので、是非よろしくお願いします @kurokonngame くろこんでツイッターもやってますので、繋がりに来てください。
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