ある冥界人のepilogue
〜大柄な冥界人の記憶〜
んー頑張った!
え?何を頑張ったかって?
いやぁ、大変だったよ
冥界から落ちた後、なんか戦場に出たんだ、立派な城でね、虫がいっぱいいて、困っている人がいたから適当に助けて見よーかなーとしたわけ。
「フハハハハハ!!人間ども!我が名は熾悪魔!「セヒィロト」貴様らの魂、貰い受ける!!」
とか言ってる痛い奴がいて、攻撃してきたから倒したけど、何の用だったんだろう?
戦場において、大声を上げて奇声をあげるような奴は長生きできない。
常識的な話だろ、無論、戦争で指示を出す司令官が馬鹿だと言っているのでは無い。司令を出す人物は、手柄的にも経験的にもそこそこの人物が出すものだ。自然、狙われる。
しかし、それに対処して生き残っているからこそ司令官たる者が司令官になるのだ。
どんな時でも、部相応な地位につけばしわ寄せは来るものだ。あそこでたった今死んだウォルテシアの司令官のようにね。
指示を与え、かつ目立ちながらも自らも生き残る、そこまでしてようやく1流と言えるのだ。
というか、国自体も結構様変わりしたな。
新興国...と言うには年寄りの部類に入る帝国、言わずと知れた千年王国(同じ王族が治めてるとは言ってない)ケイアポリス王国。
この二つは俺が生きていた時と国名は同じだ、帝国は微妙に違うが、源流が同じなので同じとする。
ウォルテシアは俺の時代にはなかった国だな、海を跨いで地平線の向こうの国と取引する。
船も最新のものが使われていて、いいねぇ。
オワリもカタナ?ってのは聞きなれないもんだな。
ま、全部そこらの騎士から聞いた話なんだがね。
いい時代になった
人が容易に死ななくなった、人が戦いに慣れきっていなかった。人が殺すことが当たり前だと思っていなかった、人が人を思いやるのが当たり前になった。
あぁ、あぁ
そうだ
きっと俺はこんな時代を求めていたんだ。
俺が生きていたアヴァロムは戦乱の最中にいた。
多数の英雄が生まれ、そして死んだ時代。
人がゴミのように死に、魔物と人間の闘争は止まず、人間同士の愚かな争いも終わらない。人の要望に満ちた心は街を一つ破滅に追い込み、弱い人間は搾取され、殺され、無残に死んでいった。
俺でさえも、英雄を庇って死んだ。
そう、俺はただの1兵士に過ぎない。冥界にいる数多の英雄の中で凡百とも言える英雄に過ぎない。
だからこそ、ニコラスさんは俺を地上に飛ばしたんだらう、いや全くの偶然の可能性もあるが。
ただの人間だからこそ、俺は誰よりも早く人の助けを呼ぶ声に耳を傾けられる。ただの人間だからこそ、俺はここで、生前は変人扱いされた行為を胸を張って行える。
「ギシャシャジャァ!!」
「グギャギギ!!」
切る
切る
切る
喰らいついてくる虫たちを殺す、殺す、殺す。
誰も俺を見ていない、当然だ、俺は影の英雄だ。
誰も俺は見えない
誰も俺を見つけられない。
かつてのケイアポリス王国国王に影の薄い王がいたが、それは政治的な意味が強い。
俺のはそれをより戦術的に取り入れたものだ、戦法自体は似ているが、やっている意味が違う。
「我が名はアポストルフィ!この世界に地獄の炎を届ける者だ!!いでよ!!雑悪食りゅ...ぐべぇ」
今、なにかを召喚しようとしてた悪魔をまた一人殺す。こうして、俺の活躍は、サッチュウザイ?とか言うのが撒かれて虫が全滅し、悪魔も皆殺しにするまで続いた。
こうして俺は、冥界に戻った。
守護霊や、祖先の霊ってのは、案外大切にした方がいい。
いつか、思っても見ない場所で助けてくれるかも知れないからな。




