圧勝
チートすぎる技術の結晶の真価!
「『駆動倍化』、『行動予測システムアップデート』『武装解除』主武装であるミサイル関連を切除して、武装を軽くしろ、機関銃を4門配備。敵の動きに追いつけ。」
『了解』
そんな声がするのと同時に、武装のいくつかが自動的に外れてドシン、という落ちた音がする。
良かった、アグレムに破壊されたとかいうところはないか。もし破壊されていると、パーツ分離の際に変調が起きる場合もあるからな。
そうなると、表面的にもこの世界最高の敵相手にほぼ傷ついて無いと・・冥界帰りで希少金属をふんだんに使った石を加工したり混ぜたりしたけど、アレが良かったのかな?当時は硬くてプラスチックのように加工しやすい素材が最低条件だったから、見つかって良かったけど。
冥界で得た敵の情報もあり、大幅にアップデードされている。
マークIIってとこかな、改良版とか、そういうのは好きじゃ無いんだけどな。
グリーンこと、松岡輝赤のもう1つの人格。松岡輝赤の持つ知性の部分が最も発揮された形態でたる彼は、合理的が故に失敗という言葉がない。
一度見たもの聞いたことを100%脳内にとどめておけるという一種の記憶障害的な病を持ちつつも、それを特殊技能として使いこなしている図太い男。
彼が作るものは完璧だ、少なくとも彼の中では。故に改良版やマークIIなどは、未熟な科学者がするものと思っていたが、実際兵器開発などに加わっており、自身がそれを使っている場合、細やかな配慮や気配りができていないことが多い。
だからこそグリーンは慢心しない、完璧なものなぞ存在しないから。
「攻撃が聞いてきたのか!?」
いや違うから。アグレムさん、パーツ分離はダメージの影響ではありません。
攻撃が効いてきた、と勘違いしたのか、アグレムは再度、オレの鎧目掛けて攻撃を仕掛けてくるが・・
『自動迎撃システム起動』
「がぁっ!?」
すぐに四方八方に取り付けられた機関銃がアグレムに襲いかかる。弓より遥かに早い銃弾の雨、しかしそれを全てアグレムはかわしていく。マジか
だが
『それも読んでました』
「なにを・・な!」
背後からアグレムの背中を銃弾が貫く
「さ、先程愚生が破壊した一部が、何故・・」
『分離式ドローンです、それと何度も言うようで恐縮ですが、分離させただけで破損したわけではありません。』
分離したパーツのほとんどは確かに重装備の対アヌビス戦を想定したものだった。しかし、その中でも遠隔操作(AIの自動操作)による索敵機械の一撃は、流石のアグレムも防げなかったようだ。
戦場において拳法やボクシングが介在する余地は無い、銃という兵器が誕生して既に長い年月が経ったが、その間に素手や剣で戦場を闊歩するのはファンタジーの世界だけになってしまった。
中でもアグレムは生粋の武道家だろう、生き物の気配を読んだりすることは得意としているものだろうが、プログラミングされた無機質なものの気配を読むことには慣れていないに違いない。
そりゃそうだ、必要としないんだしな、そんな技術。
できないことを急にやれなんて、誰だって無理だろう。できる奴もいるかもしれないが、そんな奴は天才と呼ばれる部類の人間だ。
みたところこのジジイは決して器用なタイプじゃねぇ、いやまぁ無手で拳聖と呼ばれるほどの使い手だからまぁある程度は天才なんだろうが、個人的に、このジジイは努力型の後天的な天才なんだらうなぁと思う。
要するに彼が得てきたものは、努力して得たものなのだろうなぁと、そう思っている。
「くぅ!しかしジュウとやらも対策は同じ!敵の懐に潜り込んでしまえば同士討ちを恐れて射ることはできまい!」
「あーうん、まぁ接近戦だよな。てかそれしか無いだろうし」
アグレムが中距離戦を挑んでいたのは、そもそもオレの銃という技術に慣れる為のものだった。あっさりかわされたのには少し、いやかなり驚いたが、さっきみたいな不意な攻撃が避けられないと理解した時点で、アグレムのとる行動は1つしかない。
「ま、それも無駄なんだけどね『六足腕』」
「な、なんだ?奇怪な・・」
「腕が6本に増えただけだ、そんなに気にするなよ。オラァ!」
「ぐっ、腕が増えただけだと、馬鹿な!」
生物において腕が増えるとか、何か新しい形態に進化するという行為が、戦闘において必ずしもプラスに働くわけじゃない。
よく、少年漫画の主人公が「新しい力でお前を倒す!」とか言ってるけど、オマエ、手に入れたばっかの力で副作用とか効果とか一切調べてないような技で勝てるわけねーだろ、とオレは良くツッコミを入れていた。
可愛くないな・・
しかし、オレの6本腕はそんなものから見事に逸脱しており、効率的に作られた6本腕だ!!
昨日、夜中のテンションで
「あれ!?腕が多い方がつえーんじゃねぇ!?」
「そうだ!それだよグリーン!」
ってなって作っちまったデザインだ!
なんで作っちまったんだろう・・
アヌビス対策にはならない(パワー的に通用しない)代物だが、まぁ敵幹部と戦えるし結果オーライか。
『神の右腕、魔王の左腕』
そう呼ばれしグリーンが常に起動させている2本の腕とは別に配置されている鎧の腕より少し細めの腕は、右腕と左腕で役割が異なっている。
右腕は神の腕、神々しく輝き、盾で全ての攻撃を防ぐ。というのも右腕に主に挿入されている神器・バウムクーフンが近いので、魔力供給がしやすいという理由なだけなのだが、とにかく防御に特化した右腕。
左腕は悪魔の右腕
機関銃と素手という構成で、距離に応じて多種多様な攻撃を加える。主に2本の主腕のサポート腕のような扱いである。
ともかく、そのうちの左腕についた機銃が、アグレムに襲いかかる。
「その鉄の玉の動きは読んだわ!」
『だろうな、だからコレは誘導だ』
「なに、ぐぅ!」
再度アグレムは銃弾を浴びる。
「まだダァ!」
「しつこいな、だからこそこれを発明したんだがな。神の裁き、神の怒り。それらは雷だったりただの自然現象だったりと、科学的に証明されている。だからオレは、これを開発した」
届かぬ未来などないように
どこまでも、強い、レーザービームを
「行くぜ、絶対不可視、絶対不可避の大技。『バウルム・ショット』
途端、城の上部からゆっくりと光が溢れ出す。
その奔流は聖者の槍、王ではなく、その隣で槍を振るう男の砲撃!
「あ・・が!?」
「お前の敗因は立った1つ。知らなかった。ということさ」
気づけば、穴が開いていた。
勿論、アグレムの体からで、死者であるはずの彼は既に死んでいる筈なのだが。
そこからは血が出ていた。
青く、デロデロとした液体が地面に落ち、アグレム本体もそれに付随するようにべチャリと伏せる。
だが、それも一瞬のことで、倒れ伏し、起き上がれまいと思っていた体は、次にはむくりと起き上がっていた。
「我が武・・まだ死なん!」
『えぇ・・不死身要素まであんのかよ、どうしよっか?てかなんで受肉してんのお前?』
グリーンの呆れたような声が空に響く、しかしアグレムの戦意は、一欠片も落ちていなかった。




