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ピンクはなんの夢を見る?

胸糞回にしようとしたけれど、案外胸糞回になりませんでした。マイルドに仕上げましたが、人が死ぬ表現とかが苦手な方はご遠慮ください。

うすぐらい...こわい...ここは...どこ?


ピンクは、薄暗い洞窟のような場所に1人いた。おかしいのは、手で何か触れようとしても、全てすり抜けていくことである。まるで自分が幽霊にでもなったかのような......そしてもう一つおかしいのは、ピンクがここにいた時からずっとあるこの丸い球体達である。数は20くらいだろうか?コンコンとその丸い何かを触る(実際には触らないのだが)ゆっくりあたりを見回しても、それ以外のものは何もない。


ピシッ......


少し時間がたった後、白い球体にヒビが入りはじめた。


ピンクはそこから中を確認する。暗くてよく見えないが、緑色の腕のようなものが見えた気がした。ピンクはこれではないが、これに似たものを元の世界のテレビで見たことがあった。某受信料が高いNH〇の番組で見たことがあったからだ。まぁそれは卵から可愛らしいヒヨコが出てくるシーンだったのだが...


『......たまご?』


ピンクがそう言った瞬間、そのヒビから風が吹き、ピンクを吸い込んでいく。これは卵だったのだ。だが、私たちの世界の卵ではない。


これはゴブリンの卵だった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


川崎真也、25歳。


取り立てて何もない、ただのサラリーマンだ。地元の2流大学を出て上京して就職。会社の仲間からは少し早いとか言われていたが、結婚もしている。今度子供が生まれると聞いて飛び上がって妻と喜んだ。誰が見ても平凡だが、幸せな人生だ、と言えるであろう。


それが、あの事件で一変する


俺が普通に帰宅しようと夜道を歩いていると、女性の叫び声が聞こえ、人気のない小道に走った。そこには包丁を持った男と、制服を着た女子高生、その子の後ろは行き止まり、逃げ場はない。


「一緒に死のう」とかブツブツ危ないことを言ってる男だったが、たまたま近くをパトロールしてた警察官を呼んでそれにに取り押さえられ、俺は女子高生を保護してことなきを得る、得るはずだった。


その時事件は起きた


男は、突然発狂しだし、警察官の束縛を振り切り、女子高生に向かって包丁を投げつけて来たのだ。俺はそれを背中で庇う、背中に熱い感覚が走り、地面に倒れこんだ。


出血がすごい、刺されたところを触ると、ぬるっという熱い感触がした。どうやらかなりの血が流れているらしい。


寒い。意識が遠のいていく。


馬鹿をした、何故助けに向かってしまったのか、結婚もした、子供の顔も見れていない。彼、川崎真也の人生はまだこれからなのだ。


まだ死ねない!そう願いながらも、出血は止まらない。

警察官が声をかけてくれている声が聞こえる。隣にいた女子高生も泣きながら体を揺すってくる。


ーーーてーー変わーーー界をーーうーーー


薄れ行く意識の中で、声が聞こえてくる。女性の声のようだった俺のそれは、助けた女子高生の声とはちょっと違う気がした。


意識はゆっくりと、眠るように消えた。









次に目が覚めたのは、暗い場所だった。死んだら天国か地獄に行くんだよって田舎のばあちゃんに言われたけど、真っ暗だな、てか狭いな。足が伸ばせないかな〜と思いながらも、回りをぐるぐるとしだす。腰が、腰が痛いですコレ。居心地めっちゃ悪いです。


快適さを求めてゲシゲシとその硬いなにかを蹴り続ける。すると、ピシッとヒビが割れて、光が射してきた。出れるのか?!そう思いそのヒビをさらに大きくして外に出る。薄暗いが、確かにここは外だ、足は裸足みたいだな。


風が吹いている方向へと進み始める、洞窟(だったようだ)から外に出た。雨が降っていたようで、あたりに水たまりがたくさんあった。月明かりが射して、俺は自分の緑色の腕を確認し、そのあと自分の緑色の腹を確認した、あれ?刺された腹が治ってるぞ!やったぁ!


って、はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ?!?!?!?!?!?!?!?!?!??!?!


水たまりで自分の姿を急いで確認する。ハル〇のような緑色の体、おいYouTubeで見たことあるぞこの顔!きお〇おそっくりじゃねぇか!


それはまるでゴブリンだった。


ここから川崎真也の平凡な人生は終わり、以外100年に渡り彼は戦い続けることになる。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


洞窟に戻って寝た次の日、俺にそっくりなゴブリン顔のやつらが何匹も生まれてきた。ゲギャゲギャうるさいな!もう〜なんだよ〜コレ〜


外に出るゴブリンも出てくる。そういや、食料を探さないといけないのか、ここがどこだかは知らないが、この体で街に行ったら殺されることまちがいないだろう。そりゃそうだ、見たところ完全にモンスターだもんな、これ。


サバイバルなら得意は結構やってた、田舎育ちだ、祖母からそういう知識を教わりながら少年時代を過ごした。食べられる実とそうじゃないものくらいなら余裕でわかる...のだが、ここの実なんて、山にいて一回も見たことねぇぞ、ここ外国かなんかなのか?


自分がゴブリンのような体になってまで、ここは日本、および地球だと信じて疑わなかった真也は、実を集めつつ元の洞窟に戻ろうとして、同じ場所で生まれたゴブリンの死骸を食べているオークを見て、ここが自分の知らない世界に来てしまったということを痛感した。


とにかく生き延びることに集中した。仲間のゴブリンは知能が低く、ほかの生物に挑んでは負けて死んで行く。3日目を過ぎたあたりから、洞窟にカワサキ1人だけになってしまった。基本的には木のみを食べてしのいだ。そして少しずつ食べられるものを増やして行く。十分な食料も、寝る場所もなく、自分より強い生物しか存在しないこの場所は、日本社会で生きてきた者には苦痛でしかなかった。今まで生きてこれたのは、一重にカワサキのサバイバル知識あってのことだろう。


ドラゴンにも遭遇した。そいつは、最後に残った自分以外のゴブリンをまるでゴミのように踏み潰していった。自分はなにもできず、ただ立ち尽くすのみであった。自分の無力感をあれほど噛み締めた日はない


洞窟に暮らして一年、ようやく罠などを駆使して、比較的弱い魔物などを狩れるようになった。原始的な武器を作り、防具を作り、頭脳を駆使して魔物を狩る日々、それは確実に一介のゴブリンであったカワサキを強くしていった。


3年を過ぎると、自分の体躯が大きくなって行くことに気づく、今ではオークなどと正面から対峙しても、問題なく対処できるようになった。自分の強さを確信すると、他にも点在しているゴブリン達をまとめ始める。弱いゴブリン達を導く、史上最弱のリーダーが生まれたのだ。ゴブリンは弱い、だからこそ、集団で狩をしていかねば勝てない。そうゴブリン達を説得していく。


こうして5年が経つ、カワサキの肌は黒く変色し、その姿は鬼と化していた。部下としたゴブリン達は既にひとかどの戦士達へと変貌を遂げ、「魔の森」と言わしめた森のほぼ全てを手中に収めていた。


手に持っているのは魔の森の祠に祀られていた大剣「ストロース」を持つ。


ゴブリンの平和を願ったカワサキの願いは、思わぬ形で叶ってしまった。しかし、ここから魔の森が一大勢力となってしまったことで魔物間の抗争に巻き込まれていくものの、それを倒し、許し、力を強くしていった。


時には1人で旅をして、色々な種族と知り合い、手を取り合って生きていく道を示した。


50年後、歴史上初めて「魔王」を名乗るものが現れる。


魔王は神器を求めた


彼に、この世界を支配する気なぞは全くない。それは他のやつらがどうとでもすれば良い。


こんな糞な世界に俺を放り込んだのは誰だ!50数年、俺を戦いの人生に借り出した元凶は一体なんなんだ!人間の文献を漁り、魔王は知ることになる。この世界にいたる方法は大きく分けて2つ、勇者召喚のシステムと、神に呼ばれ、召喚されるというもののの2つが、現状確認された。


勇者召喚はないだろう、ゴブリンに成り果てていたし、書物に書いてある話と違う。なら神か、俺をこんな糞な世界に呼んだのは、神か


これは復讐だ。神を殺す、神器を使い、力を蓄え、復讐に備える。


神を殺し、俺は、元の世界に帰るんだ!


あれ?俺はいつからこんな考えを持つようになったんだ?


悲しい魔王という男...の慟哭が響き渡り、これまでの人生を見てきたピンクは顔をしかめた。


『何を見ている?』


その低い声が聞こえてきて、目の前に黒い手が見える。

ピンクの意識は、そこで途絶えた。


釣られたなポッター!!


所詮俺にシリアスは書けんよ!

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読んでくれてありがとうございます! これから全10章、毎日投稿させていただきますので、是非よろしくお願いします @kurokonngame くろこんでツイッターもやってますので、繋がりに来てください。
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