シリュウとクロ、決着
趙子龍って誰?という方に解説
趙雲、字名は子竜。蜀漢時代の武将で、三国志時代の英雄。五虎将の1人。敵の大軍に襲われた際に主君の息子と妻を単騎で助け出した。
白龍という馬に乗っているが、今回は出す気無し。
「おおおおおおお!!」
「やるね〜これならどうかな?うんそう来るか!」
シリュウの持つ武器は槍だった。神器級、本人曰く元の世界から持って来たという槍は、約3メートルの細い槍である。
防戦一方であったクロが、ゴリアテの力で適応し、巻き返しを測った瞬間に再度シリュウにボコられる。鬼畜とも言える所業ではあるのだが、その目は笑っていた。
「あははははははは!!」
「何笑ってんだ?嬢ちゃん」
この拮抗は、決して先程までのクロでは生み出せなかったものだ。ゴリアテという稀有な神器、ピンクの回復魔法。そしてシリュウという敵がいてこそのクロの強さ。
「お前も存外、楽しそうだぞ」
「そうかねぇ?うわ、そんな危ない体の使い方してたら、体を壊すぞ!」
「勝てば良かろうなのだ!」
「なんか...あの2人、楽しそうだね」
「そうだな、楽しんでるよな。2人とも戦争狂ってことなのかなぁ」
「クロはそういうところもある、シリュウ?は知らないけど。あれ?でもシリュウってどっかで聞いたことあるような・・」
ベリアスとピンクの話の最中、ピンクはシリュウという名前、そして先程名乗っていた趙子龍という名前に聞き覚えがあるような気がした。
気がした、というのは恐らくグリーンの記憶だろう、元々1つであったピンク、グリーン達は、幾ばくかの記憶を共有している。なのでお互いの記憶などをほぼほぼ理解できる筈なのだが、グリーンが覚えてられる記憶は人格が生まれてから全てなのに対して、ピンクは少ない。
それは、彼女が精神的にも元の世界ではまだ子供であったことに起因しているが、それでも幻影の如く、少しばかりでも記憶は残っていたらしい。
「うん、やっぱり駄目だ。思い出せない。」
「そうなのか、知り合いかと思っていたのだが。クロ殿か、素晴らしい腕前の騎士だな。あれがグリーンの身内とは、また戦力差が開いてしまうな、ハハ」
「元から、でしょ?」
「ぐぬぬ、認める他ないか。確かに、我々とグリーンでは技術力も、何もかも劣っている。」
「顔もね」
「え?」
ピンクをよそに、ベリアスは乾いた笑いを見せている。実際最早笑うしか無い。全世界を敵に回しても余裕で勝てるグリーンだが、そこに更に凄腕の兵隊が1人増えたのだ。それも一騎当千の。どんな軍略家とて匙を投げそうなほどの戦力差に、一国の主人としてなんとも言えない雰囲気を醸し出すしか無かった。むしろ属国で良かった。
あんなのと戦うとか1人だけでも無理だわ。
話がそれた、クロとシリュウの2人は、もうじゃれあってる子供にしか見えないと言うのは嘘では無いだろう。心からの楽しみ、それに出会えたのは嘘では無い筈だ。
シリュウ自身、自分の心境の変化に驚いていた。それもそうだろう、彼は確かに最強だ。半神の娘とかいうチートを除くならば、彼が最強であることを疑う人間はいなかっただろう。というか、故に自分はこの5名に選ばれている。
だから、目の前のこの状況は明らかにシリュウの生きてきた2回分の生とは、別の状況だった。
「おおおおおおおおおおおおお!!!」
「こいぃ!我が槍の前に敗北なぁし!」
伸びきったように槍を前に突き出し、ゴリアテの剣と穂先か何度もぶつかり合う。
その度に飛び散る火花は、戦いの最中とは思えぬほど幻想的であり。地上に咲く花火のように荘厳だった。
だが、花火は散る
「おおおおおおおおおおおお!!」
「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
戦士達の限界と共に。
シリュウは最強だ
それは未だ揺らぐことは無い。
もし最初から本気を出していたら?クロがゴリアテを持っていなかったら?ピンクの超回復が無かったら?ベリアスの神器の援護が無かったら?クロが急成長を見せていなかったら?ここがクロのホームである城であり、多数の騎士の援護が無かったら?
「何回負けた?なんかいぶんの...1だ?これは」
「いや、十分だよ。クロとか言ったっけ?十分なんだよ、その1は、最も強く、最も遠い。」
「シリュウ」
「いい、いやいい強さだった!美髭公や張飛殿にも是非合わせてみたかった!」
シリュウは壁にもたれかかるように倒れる。肩口からは、冥界軍と同じく光が奔出して居た。
決着はついた
あまりにも重い一勝を、クロは手に入れたのだ。




