黒の邂逅/白黄の邂逅
グリーンとアグレムの戦いは始まったが、勿論他の方面でも、城の内部に入って来た5名の侵入者との戦いは始まっている。
グリーンの城上から出した機銃達は、正直悪魔や虫達で突破できる代物ではない。弾の雨の前に、活路を開かないでいる。無論相手もあの手この手で戦略を変えてくるだろうし、弾は半日もあればすっからかんになる。むしろ半日も撃てるグリーンの財力が凄いのだが、まぁそれは割愛。
指揮はカミーユがとっている。彼に戦闘力は(規格外連中に比べれば)大してないが、それでも指揮能力として不足はない。
そして、城の一室では、また他の戦いが起きていた。
「王を!陛下を!早く安全な場所は連れて行け!」
「侵入者め、ここは通さぎゃぁぁぁ!」
「どいてね〜」
目の前に立ちふさがった衛兵が、次の瞬間には無残に斬られていく。それはまさしく地獄絵図だった。証拠に、彼が通った廊下には、血の海と形容するのが相応しい映像が広がっている。
しかし、シリュウと名乗ったその壮年の男には、傷1つどころか返り血1つついていない。済まし顔で、迫って来た敵を殺す。
彼に命令されたやり方はそれだけだった。
「やれやれ〜頭を潰してこいとか、アヌビス(を操る悪魔大帝)もロクなことを考えないよね〜」
現在、廊下を進撃しているシリュウは、貴族や王国の主要人物を殺す命令をアヌビスから受けていた。
指揮系統を乱れさせる為に殺すという行為自体はそこまで悪手ではないが、シリュウは実際隠密行動で誰にも気付かれずに相手を暗殺することすら可能なのだ。正直言って彼が今目立ちまくっているのは、反抗心でしかない。
これだけ目立っていれば、オレを倒せる英雄がいるかも知れないだろ?
とまで期待して。
命令を聞くということは聞き手によって千差万別である、アヌビスはシリュウに大して「〜〜を殺せ」という指示を出したが、『何を』『どうやって』などの指示をしていなかった。
まぁ、しなかったのではなく、アヌビスがシリュウを抑えるので精一杯という意見もあるが。
故に、暗殺もできるシリュウが単独で城に突っ込むという、戦略的に見ればあまりにも無策なことになっているわけではある。やる気が無いのだ、要するに。
まぁ、実力はともかくとして、そんな暗殺者を止められる奴が居ないのだが。
ドォン!
「どわぁっ壁をぶち壊してくるとは!嬢ちゃん豪快だねぇ〜ある人を思い出すよ。おんなのこには優しくって主義なんだけど、引いてはくれないよねぇ」
「気配でわかった・・この城に入り込んでる5名の中で!一番強いのお前だろ!!!」
「あ〜違うな〜、僕は2番目かな、多分。あの子は気配を消せるからなぁ〜確かにね、でもアスガルドもまだ力を増幅させられるという点ではまだ余地があるし。ブオウは強い」
「なんと!1番が良かったのだが、まぁいい。」
シリュウの目の前に、壁を壊して時短しながらこの場に駆けつけた女傑がいた。
クロだった、ちなみに壁の向こうでベリアスとピンクがこちらを見ているが、気にしない方向で行こう。
少なくとも、両者は既に、お互い以外は何も見ていないのだから。
◇◇◇◇
「オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラ!!!!」
「せっ戦線を乱すな!」
「むっ、無理です!強すぎる!」
「この男、数十人が相手でも全く力負けして無いだと」
「はっはっは!手応えのある奴が居ねーなぁ!」
その男の腕の一振りで騎士の多くは薙ぎ払われていく、彼の道を阻むものは存在しない。
これが巨人の王であるベルハイムなどであればまだ納得できたが、相手はただの大男。
ただの、と言っては失礼だが、超然異常とした存在では無い。にも関わらず誰も彼を止められていなかった。
「我が名はアスガルド!悪魔の国の頭領よ、誰か俺と力比べをする野郎はいねぇのか!」
いいだろう!と言う人間を1人だけ騎士の皆は知っていたが、その視線の先には、庭の端で衛生兵に治療を受けるルーカン騎士団長がいた。
ルーカン騎士団長はケイアポリス王国内どころか、現在の世界でも有数の剛剣使いである。それを軽々と投げ飛ばしている時点で尋常では無い。
だが、そんな男よりも上の奴もいるわけで・・
「あらぁ〜ルーカンちゃん♡♡あんなにいい男をよくもとっちめてくれたわね!覚悟しなさい!」
「儂、何故ホワイトと組む羽目に。いや、自然っちゃあ自然なのですかな」
イエローとホワイトが立っていた、ホワイトは斧を持った姿で、イエローはグリーンではなく、イエローとして参加する為に仮面を被って来ている。
今回のマスクは、怪しさ全開の苦笑いの面。この仮面にも効果があるが、そのベールを今脱ぐことになる。
「んん、誰だ、貴様達!」
「え?ムキムキイケメン男子の守り手、ホワイトよ!!!貴方もいい筋肉してるじゃ無い。いい筋肉の持ち主は喧嘩しちゃダメって法律で決まってるんだから♡」
「何ですか、その無茶苦茶な法律は。まぁいいでしょう、ラトライダ子爵家のイエローと申します。まぁ、気楽にいきましょう。」
隣のおおおと...いや、女性にツッコミを入れるのを最早若干諦めつつイエローも戦闘態勢に移行する。
各所で、戦いが始まろうとしていた。




