神人戦争
「・・以上だ、連合軍は解散せず、この場で訓練をしつつ冥界軍の様子を見る。それでいいな、御一同?」
「取り敢えず異議なし、だな。あに...いや、ライト王。」
「取り立てて言うことは無いですね」
「あ〜それで良いんじゃねぇの?」
「グリーン、お前少しはやる気出せよ・・」
「う〜ん、だってな。アヌビスにゃもう攻め込んでくる余力なんて無いぜ?これ以上アイツがまだ色々やる余力なんて無いしな、てか魔力がねぇ。」
そこまで言うと、オレことグリーンはゆっくりと席を立った。
「冥界にアヌビス達は引きこもってる可能性が高い、そして、俺たちも準備が整い次第再度冥界に殴り込みだ。現状することなんて特に無いんだよ・・それなのに1時間も浪費させやがって、いやまぁ仕方ないっちゃあ無いんだが。」
「まぁ、そうだな。結局はお前達次第だ、だが、私やべリアス。精鋭達ならば冥界軍に対して肉壁ぐらいにならばなれるだろう?もう少し頼れ、グリーン」
そっけない対応を取るグリーンに対して、ライトはそう言いつつニヤニヤと笑う。
白鳥のようだ、とライトはグリーンを評している。普段は美しく、輝かしい実績しか残さず、社交界での評価も抜群に良いグリーンだが、それは自身の努力とイエローの交渉術ありきのものだ。
グリーン自身はただ無双し続けるただの天才でしか無い。そして、そのグリーンの叡智でも太刀打ちできるかわからないほどの敵が今回は相手だ。
ライトは、そしてそのグリーンに対して絶対の信頼を置いている、と言っても良い。夢に向かって、その手をのばし続ける彼は、ライトにとってこの上なく好ましく映るのだろう。
それは、この場にいる諸侯の面々、ベリアス、シバも同じ気持ちだった。
「いらねぇよ、ウォルテシアの面倒だけ見ておいてくれ。足並みが揃わないで足引っ張られるのはそれこそ迷惑だ。」
「いいだろう、任せろ、我が剣」
「任せた、バケモノ退治は任せておけよ。」
こうして、王に見送られながらグリーンは歩いていく。冥界から脱出して数日が経とうとしていたグリーンは、こうしてようやく、その体を落ち着かせることができることになる。
「諸侯の面々に報告!ウォルテシア方面から怪しげな軍団がこちらに向かって来ております!」
嘘だった
報告係のそんな声に、オレはまた、安息を遮られることになる。
オレ・・いつになったら寝られるんだろう。
◇◇◇◇
「オイオイオイ・・ガチじゃん」
「グリーン、誰だっけ?アヌビスは攻めてこないとか言ってたの」
「やかましいぞライト、、様!流石にアヌビスがこのパターンを選択してくるとはな。誘っているのか?」
「あと15分ほどでエリアド城に到着します!」
「報告します!ウォルテシア国王トトメス様が帰還!どうやら領内へ戻る途中にて冥界軍の襲撃にあった模様!」
「あぁもう立て続けに色々起きやがって!なんなんだ一体!」
厄介事ばっかりだ、
魔王シンの敗北がイコールとして存在するのがまず一手、アイツの実力、そしてクロムウェルの戦闘力が未知数だから覗くとはいえ、魔王シンの実力はクロと同等とオレは見ている。
だからこそ鎧の改良などを早めに進めていたのに、まさかアヌビスが魔力の回復とかガン無視で地上に攻めてくるなんてな!
明らかに悪手だぞそれ?どうしたんだぞれ、付き合いが長いとはお世辞にも言えないアヌビスだが、レッドから聞いたアヌビスに対する印象やここまでの戦歴。
アヌビスの悪魔大帝との戦いの顛末は、ギール経由で聞くことはできていた。結論から言うと司令官ではなく、1人の戦場の駒として力を発揮するタイプの人間だ。人徳に溢れ、甘っちょろいとも感じるようなその男は、オレの世界なら劉備みたいな印象を与える。
まぁ劉備も優しいとか人徳がどうたらとか言ってるが実際は山賊紛いなんだが
話が逸れた、リアル劉備ことアヌビスの戦略は、自らが陣頭に立って戦い、指揮は他のものに任せているケースがほとんどだ。
故にまぁ、この暴挙とも言える、魔力回復を全く考慮してない可能性は可能性の1つとして勿論頭には入れていたのだが・・
流石に愚かにすぎないか?
「でかい魔力を持っている者達が、アヌビスを除けば5名いる。あの魔力量、聖女殿に勝るとも劣らない面々ばかりだ、アレが冥界軍の幹部か?冥界にはアレより強い奴らがいたと言うのか?」
いやぁ?
違うな
ケテル=マルクトやスアレスはたしかに強かったがせいぜい下位神級、それもケテルマルクトに関しては根っからの戦士じゃあない。
しかしあの5人は違う
魔力量がケタ外れ、下手すれば上位神をも上回りそうなほどの可能性を秘めてやがる。
「アレは、冥界軍には居なかった。何故今更出てきやがった?」
わからない、だが
「グズグズするな!総員持ち場につけ!」
そうだ、迷ってる暇はねぇ
「ライトぉ!俺達は迎撃に出る!俺達が負けたら逃げろ!」
「いいだろう、死ぬな!グリーン!」
「仰せのままに!」
風を切って走り出す
この世界の命運を決める、人類史上最も苛烈な戦いの1つと言われ、のちの世界に大きな爪痕を残すことになる。
『エリアド荒原の神人戦争』が始まろうとしていた。




