閑話 怪盗と聖女
短めですいません
「ピンク様、あのようなもの達と付き合うのはおやめ下さい。確かにグリーン殿は貴方様のお兄様でありますが、今や貴方はケイアポリス王国の、いや世界を代表する聖女。行動には十二分に気をつけて頂かなくては」
はいはい
私ーーピンクは、そんな彼らの返答に力なく答える
回復魔法は貴重である、どれくらい貴重かと言うと、王族が代表する魔法の1つだったり、神器級の槍の能力だったりする。
もし民衆の中で回復魔法に目覚めるものがいたらそれこそ一大事だ、それも私ほどバカでかい魔力ならなおさらだ。
回復魔法の可能性は無限大、とまでは言わないが可能性としてはある。
その実態はグリーンにやると時を戻して傷を元に戻したり、細胞分裂がどうたらこうたらで傷の治りを急速に早めたり。良くわからないけど、そのメカニズムは奥底のほうまでは解明できていないらしい。
別にわからなくても良いと思うけど。グリーンって細かいよね。
ともかく、そんな私がこの国きっての聖女なんてものに祭り上げられてからはや3年。
教会の勢力は大きく増大し、民衆はより神の存在を崇めるようになった。
アイテールが多くの人々を殺したのでさえ、アイテールが民衆に対して裁きを与えたとして救いを求める信者が殺到。教会はグリーンすら神々の説得者としてグリーンを祭り上げると言う上手い立ち回りでグリーンも、神々の株も下げない方法を取っている。
全部グリーンとイエローさんが考えた方法らしいけどね。
でもなー
私がこんなに束縛されると
少し、つまらない気もする。
これが仕方のないことだと言うのも理解している、グリーンが言うところの政治的バランス?の都合だってことも。
でも、でもでもでもでも!
好き勝手やってる
クロや、イエローさんや、レッドや、ホワイト。グリーンはまぁ大変そうだから置いておいて、私も自由に何かしたい!
まぁ何もすることは無いんだけどね・・
「では、失礼致します」
「はい。」
うるさい神官さんが居なくなって、一息つく。あの人も、王城でグリーンに挨拶された人のうちの1人らしい。
イエローさんが教会に愛想振り待きまくったせいで、私達のバックには教会が完全に付いている。
のは良いんだけど、やれああしろこうしろうるさいのも事実なんだよね・・
誰もいなくなった場所で、またため息をつく。そんなため息さえ、宙に紛れて空へと消えていく。
戦争で、誰かを治している時だけが、私にとっても癒しだった。傷ついた兵士が、一瞬でその傷を治していく。それは確かに奇跡とも言える技だろう、私も、アレは魔法に見えるわ、うん。
でも、そんなもの私が持っている技量に過ぎないし。きっと私が回復魔法を持っていなくて、その辺の町娘でもきっと私は聖女でいられたわ。
だから、こんなに綺麗な服を着ていたとしても
どんなに綺麗な家に住んでいても
やっぱり、暇だな。
「こんばんは、お嬢さん。暇なら私とお茶でもどうですか?」
「え?」
気づけば、この部屋に1つしかない窓に、1人分の影法師ができていた。
美しい純白のマント、絵本で見た王子様・・を装ったイエローだった。
「イエローさんかぁ・・え〜〜!!てか古い!王子様の格好が古い!」
「えぇ・・儂の見た格好がこんな感じだったんですがなぁ、頑張ってエリアド城に忍び込んだのに!!」
イエローさんの服は、何というか、一言で言えば、真っ白なタキシードだった。赤い単色ネクタイがなんとも言えない哀愁を漂わせている。鮮やかで、元の世界で40年くらい前ならセンス良いって言われてたんだろうな、とは思うけど。
「まぁ、古いのは許して下さい、お嬢さん。久しぶりにみんなで食事などと思いまして、貴方をさらいに来てしまいました。一緒に来て頂けますか?」
「エスコートの仕方としては、あまり良いとは言えないわね」
「ぐぐ、申し訳ない。面白いと思ったのですが」
でしょうね
グリーンは名目的には私の兄という扱いになっている、普通に会おうとすれば会える。
にも関わらず、こんなサプライズをしたのは・・
きっと私の為なのだろう
それにしても・・
やるなら、もう少しまともなサプライズしてよ。
まぁいいけど
「お手を」
「はーい」
この夜、見張りの兵士が、偶然、ほんの一瞬だけ白いマントを着た男が女性をお姫様抱っこして連れ去っていくのを見たという噂がまことしやかにエリアド城中を駆け巡った。
それに聖女が関わってるかは、果たして。
ピンク「イエロー、わざと見つかったでしょ?」
イエロー「さぁ、どうですかな」




