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命運を分ける

「なるほど、それで治療所で怪我した兵士達をさば折り...もとい救命行為をしていた訳だ」


「そうよ〜グリーンちゃん、救命行為は大事なんだから。趣味も兼ねられるしね」


「やっぱりお前の趣味じゃん!だってお前回復系の魔法使えないだろ!」


「グリーンちゃん?」


「あ、いや別に救命行為自体を否定してる訳では無くてな」


後ろに回り込んでさば折りしようとするのはやめてください


「さば折りじゃないわ、腹部突き上げ方よ!」


違うの名前だけぇぇぇ!!


ぎゃぁぁぁぁ!!


とこんな感じで、ホワイトは変わってなかった。


てか、ノートで確認した通りの性格をしてるなコイツ。


一言で言えばゴリラ。


ゴリラゴリラ


「グリーンちゃん、何か失礼なこと考えてない?」


「ソンナコトナイデスヨ」


そんなホワイトが今まで何をしていたかって言うと、世界各地を何故か回ってカワイイものを探していたようだ。


いや今まで何やってたんだよお前


「いや何してんだよお前」


「やだ〜本音と建て前がほぼ一緒♡」


「いや、ホワイトさ、この3年間ただ旅してただけってなんだよ。他のみんな滅茶苦茶強くなってるからな?」


「いいじゃない、1人くらいあても無く彷徨ってる奴がいてもいいでしょう。」


「いや、クロは世界の外を旅してた結果滅茶苦茶強くなってるっぽいしレッドは元の世界でさえあれだけ特訓してたんだぜ?オレは武装強化、ピンクは聖女としてケイアポリス王都で絶大な人気と回復魔法の強化に勤めたし、イエローは自分の手足を作った。」


「あら、みんな凄いのね」


「お前だけ何にもしてないってどうよそれ?」


「まぁまぁいいじゃない」


「気になるわ!これからアヌビスと最終決戦だわ!」


「そうなの?ならお姉さんも頑張らなくっちゃね」


こいつ、本当に大丈夫か...?


まぁ3年前の時点で戦闘系人格であるクロ、ホワイト、イエローはそれなりに強いという認識はあったからいいんだが。


ホワイトバハムート以下なのはな・・・・


コイツ負けてるし


「不安でしょうね、でも大丈夫、任せなさい!」


「不安だ・・・・」


ともかく、これで人格が全部揃ったってことか。


戦力増強は有難い、後は、みんなの準備次第だが・・


テントの外を見る


アヴァロムの青い空を見た


先人達が守って来た大地だ、ここにいる騎士や、まだ見ぬ人々の命が今、危険に晒されようとしている。


悪魔に犯された神によって・・


見捨てるわけにはいかないよな・・


再度、オレは拳を握りしめて、そう呟いた。




◇◇◇◇




「良いのですか王?勝手に戦線を離れてしまって...」


「フン!良いわ、グリーンが戻って来たことだし、当分は安泰であるだろう。義理は果たした、そろそろ国に戻らねば政務が滞る。」


「王、政務など今は捨て置いて下され。我々ウォルテシアは確かにグリーン達の武力に比べると負けております、学べば良いのです。」


「嫌だ!私は今勝ちたいのだ!」


困ったものだ、とウォルテシアの重臣一同は首を傾げる。


1人の王として、グリーンに固執する気持ちは理解できる。だがそれに至るまでの道のりがトトメスにはまだ経験値不足だ。


苦労したとは言え、彼自身まだ子供なのだ。それを重臣達は理解している。


だが


だがこれはあまりにも


酷すぎるのではないのか?


トトメスが一般的な王としての能力は決して低い訳ではない、むしろ政務などに対しての精力的な姿勢や神童クラスの知性は持ち合わせている。あくまで彼はこの時代で優れた能力を持っているであろう者達の中で、若くして一般的な王としての能力を持っているが及ばないというだけの話なのである。


能力面はともかく、性格はまだ子供ではあるが


「ともかく、戦時中とはいえ、それでウォルテシアが崩壊するようなことがあればそれこそ本末転倒だ。ふん!どーせグリーンが今回もなんとかしてくれよう。我々はお荷物ということだな」


「王!」


トトメスのこの考えは間違っているし、正解でもある。実際問題として冥界軍に対して中核的な働きをしたのは確かにグリーン率いるパンドラの箱の面々だった。ほんの3年前にはぽっと出の神器使いというだけの話であったグリーンがそこまで成長するなど誰が夢見ただろう。


今では連合軍の中でも作戦立案、実行部隊の総まとめとして下手をすれば連合軍の総大将となっているライト王を遥かに凌ぐ発言力を持っている。


それが、まだ若輩の身であるトトメスには許せない。


グリーンはまだ19歳だ、これがライト王などの壮年の王ならばまだ納得しただろう、しかし自分と対して歳も変わっておらず、なおかつ身分的には今は貴族だが昔は一般市民だった男が指揮をとっている。


それがウォルテシア的には許せない。


「・・・・1日だけだ、また、ウォルテシアの国境にあるミラノで政務を軽く行い、その後部隊の再編成後すぐに戦場へ戻る。グリーンが整えてくれた場だ、気に食わんが、ここでやらねば私が無能の誹りを受ける。」


それだけ言うと。トトメスは馬へ走ることを促す。


この帰還が、彼の、いや彼の兵士の命運を分けることになる。


予期しなかった、これは誰のせいでも無いのだ。


冥界でグリーンがアヌビスと交戦してから、まだ1日程度しか経っていなかった。兵法的に、というか常識的に考えて魔力が回復するのにアヌビスがかかる時間は1週間とグリーンは考えていた。


だからだろう、諸侯達は自然と決戦は1週間後で、なおかつ戦うのはグリーン以下精兵のみという考え方となっていた。


トトメスも同じ考えだった、だからこそ彼は帰還を選んだのだ。


それが彼の、ウォルテシア軍の命運を分けた。


誰が予期するだろうか


いや、少なくともこの場にいる誰もが知らなかった。


アヌビスが魔力の温存や、魔力の回復を待たないで攻めてくるなど


この場の誰も想像できなかったのだ。

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読んでくれてありがとうございます! これから全10章、毎日投稿させていただきますので、是非よろしくお願いします @kurokonngame くろこんでツイッターもやってますので、繋がりに来てください。
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