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冥界大脱出

「あれぇ?ボロボロじゃ無いかアイテール、流石に君でも深淵賢帝(ケテル=マルクト)くんは厳しかったかな?」


「やかましい!貴様こそ随分と魔力消費が激しいようだが。そもそも貴様が身綺麗なのはその回復力のせいだろう!この回復チートめ」


「ハッハッハ、そもそも傷を中々負わない君に言われたく無いんだけどね。」


「そんな貴様はフォルテが相手だろう?苦戦しなかったのか?」


「後ろにいる僕達を見ればわかるだろう」


「ひっ・・大量のウルフィアス、おぞましい」


「「「誰がおぞましいだ」」」


「あの〜喧嘩するのやめて欲しいんですけど〜」


「大丈夫だよヴィヴィちゃん、これは神同士のじゃれあい、スキンシップみたいなもんさ」


「気持ち悪いので話しかけないで下さい」


「「「そんなぁ〜」」」


大量のウルフィアス、いやウルフィアズがそれに答える、ウルフィアズとアイテール、そしてヴィヴィは、冥界の最中に再開した。


どうやら道が繋がっていたらしい、この広い冥界の中で目的地が一緒とはいえ再開出来たこと事態は喜ばしいことだ。だが、彼らの表情はそんな気軽な会話とは裏腹に重い、いや、こんな空気だからこそ敢えて軽い会話をしているとも言える。


「アイテール、フレイヤの反応は」


「無い」


「そうか」


そう、フレイヤの敗北が原因だ。


フレイヤが死んだ訳では無いのはこの面子の中で確固たる事実だ、しかしそれでも、フレイヤをもってしてもアヌビスを止めることはできなかった。


本当は、彼ら自身アヌビスとフレイヤが対話での解決を願っていた。戦闘なぞして欲しい訳では無いのだ。


だが、それでもフレイヤは敵対の意思を取った。


そして、アヌビスはフレイヤを打倒した


アヌビスが消耗しているうちに、アヌビスを叩かなくてはーー


これは現在ここにいる3名の神共通の決意だった。


「とは言っても、アヌビスの消耗具合によるよね」


「フン、フレイヤとて神器級、宝具級の武器を嫌という程取り揃えているだろう。負ける想像ができんわ」


「フレイヤ、時間さえあれば宝具量産マシーンだからね・・彼女に暇な時間がせめて、あと100年あればアヌビスにも楽に勝てたんだろうがなぁ。」


「そうよ!全部人間のせいなんだから、あーもう、お姉様のところにもう行きたーい!」


「声が大きいわ馬鹿者!」


ヴィヴィの大きな声が、冥界に響く。彼らの決意にも似たこれは、目の前に広がる絶望によって遮られることになる。


冥界の長い道のりを抜けて、3人を待ち受けるのは、何か



◇◇◇◇



ボロボロの布切れ、悪魔大帝を形だっていたものがアヌビスにかかった瞬間、そのボロ切れは、途端に極上の布と化してアヌビスを包む。


そのたった一枚の布だったそれは、美しくエメラルド色に輝きながらアヌビスを照らす。体と服が、前よりも荘厳に、前よりも顕著に強さを増していく。


その布が、マントのように背中についた瞬間。


僕ーーレッドから見た、『アヌビス』が完成した。


それは、最初に見た。完成されたアヌビスそのものだった、先ほどの様子が遊びだったかのように魔力が回復し、目は爛々と輝いている。


迷いもない


強さというものの終着点を、この人は持っている気がしたのだ。


だが彼の目はそんな僕が見惚れていたものとは関係なく動き出す、彼のマントは明らかに自由な意思を持っていたし、アヌビスさんの一瞬力が戻ったような目は、次の瞬間には赤々しい、血のような真っ赤なものに変化した。


「冥界之王悪神と言ったところか、悪魔大帝との融合体がこれほど心地いいものだとはな」


『それは我とて同じこト、良い景色ダ。』


ゆっくりと、悪魔たちと戦っている僕達をアヌビスが見据える。その手は、僕達を殺そうとするものなのか否か。


アヌビスの手が迫ってくる様子を


「レッド君!?」


神々が止めた。









「あああアヌビス!?何その姿?」


「フレイヤにノーダメージで勝った?そんな筈はない、あれは悪魔大帝の残滓か。という事は、悪魔大帝とアヌビスの融合か?」


「いや、アヌビスが悪魔大帝と組むなんてあり得ないだろ流石に!」


「目の前で起きてるんだ!取り敢えず逃げるぞ!なんにせよ全快のアヌビスに勝てるか!」


目の前にいた悪魔達を蹴散らしながら合流してきた神々が、思い思いの言葉を吐きながら撤退しようとする。


「ウルフィアス、アイテール、ヴィヴィ。あぁ友よ、フレイヤとはまるで話ができなかったが、貴様達とならまだ建設的な話し合いができるだろう。こっちにこい」


ゆっくりと、着実にアヌビスはこちらへと近づいてくる。


「アレなんだ?まともな目をしてねぇぞ?」


「知るか!とにかく走れ!」


一斉に回れ右をして走って逃げ出す人間側神々達


しまった、エルザ達を非難させないと!


「お〜い、レッド、後はお前さんだけだぜ?」


と思ったらジャックが遠目から言ってたよ、エルザを担ぎながら。良かった。


てか、仕事と逃げ足早すぎない?職業病?


「逃げられると思っているのか?」


アヌビスの掌から、悪魔が召喚される。


「ほう、権悪魔をノータイムで召喚できるとは中々悪魔大帝、悪くないな。あの男には通用していないが。」


『貴様の魔力を頂戴していル、なぁにこの姿ならば魔力回復も容易ヨ』


そんな無数の黒い悪魔達を前魔王シンを隣にサクサクと切り飛ばしながら走る。今更こんな黒い影程度じゃ遅れを取ることはあり得ない。


「とは言ってもどうする?ゲートを作るのには神とて時間がかかる!」


「えぇい!私とヴィヴィ、そして何故かいる前魔王とレッド以下がなんとか時間を稼ぐしかあるまい!!」


「え!?ちょっとあれと戦うの?無理無理!お姉様に会えなくなっちゃう!」


いや、先頭騒がしいな!!


ツッコミを入れている暇も無く、僕はウェザリアでまた1人の悪魔を斬り飛ばす。


そんな中だった


「腕を上げたな」


「へ?」


隣で、僕をフォローしてくれていたシンが、唐突にそう言い始めた。


「転生者・・シンヤ=カワサキと同じか、あやつもまた転生者、その苦しみも偏に存在した。それを味わい、そして唯一元の世界への帰還を果たした貴様が、何故また一度ここへ戻ってきた?」


「どうしてそれを・・」


「ケテル=マルクトよりな、転生者はすべからく肉体的に強く、精神的に幼い、神器として全てを見てきた我も、転生者という危ういバランスを持った人間を他に知らん。」


そう転生者は危うい


神々より無条件に与えられる祝福、能力の高さ。


にも関わらず、その精神年齢は低い。


心と共に武も強くなると言うが、彼らにはその頂にあるだけの苦労をしていない者が多すぎた。


だからこそ、まともな人間は苦悩する。


カワサキ=シンヤのように


「僕は、僕の大事な物があるから闘ってます。まぁ成り行きも多いんですけどね。」


「ふん、成り行きで戦うものの強さなどたかが知れている。貴様は強いが、いざ戦えば我が息子の方が強いだろうよ。」


「まぁ、魔王ゲンムさんの方が強そうなのは確かですよね。」


「たわけ、だから貴様が弱いと何故分からん...」


シンは頭を抱えるようにそう呟く。


ん〜なんか最近こういうシチュエーション多い気がするな・・


別にいいけど。


「ゲート!?何故あんなところに!」


前でイエローだかウルフィアスさんだかが叫んでいる。


『わーい!ちょうどアヴァロムに続いてやがる!って罠だろこれ絶対!行くべきじゃねぇな』


「いや、この魔術式、このゲートを作ったのは神4柱、ニコラス=セヴレイブだ!奴め、置き土産ってわけか、これで脱出するぞ!」


グリーンの否定するような声に被せて、アイテールがそう答える。


どうやら脱出できそうだ!


「行かせるナ!」


「それは君たちだ!」


「ギャギャ!?」


僕より前に踊り出て、ゲートに向かおうとする雑魚悪魔の首を、一刀にて跳ねる。


「どうやら逃げれそうですね!」


僕はそう、隣にいたシンに言う。


だが彼の目は安堵か、それとも燃えたぎる闘争心か。


「いや、我はここに戻る」


そんな言葉を放っていた。

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読んでくれてありがとうございます! これから全10章、毎日投稿させていただきますので、是非よろしくお願いします @kurokonngame くろこんでツイッターもやってますので、繋がりに来てください。
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