表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
258/309

植物の管理者/影の王①

「あぁ!何よもう、どこにいるのよ!」


「・・遅い」


ピッという風を切り裂くような一撃とともに、樹木そのものと同化しているヴィヴィの幹に子供の切り傷サイズの一撃が入る。


そしてスアレスは再度自らの世界に入る。


認識できない世界、神の気配察知をも欺く技術。


その中から宝具級の武器を構えて切り裂く。


持つ武器はアヌビスに作ってもらったナイフ『切り裂く牙(切り裂きジャック)』小さいながらもその傷は確実に神を追い込んでいた。


スアレスとヴィヴィ、元はただの樹人族でしかない存在が天才故に種族的進化を遂げたヴィヴィと。人を超えた存在でありながらも自ら人の枠に収まることを良しとしたスアレスの戦い。


その戦いは膠着状態に陥っていた。スアレスは攻めてが多いが威力に欠け、一撃でスアレスを殺す力を持っているであろうヴィヴィはそもそもスアレスに攻撃が当たらない。


ヴィヴィは単体としても最弱と言ってもいい能力しかないのだ。


だが、それを補う能力と努力を要しているのが神というものである。


「流石にやるわね・・じゃあ、これならどう?」


ヴィヴィは冥界全方面に対して黒い粒のようなものを蒔く。


「これは、種か・・」


「そうよ!冥界では作物が育たない!」


冥界のゴツゴツした土壌では栄養素など皆無であり、栄養など期待するだけ無駄である。そんな地理的アドバンテージを埋めるためにヴィヴィが開発したのがこれ。


概念喰らい(ア・バラク・ゾマ)


地面に撒かれた種達は、それぞれ個別の意思を持って芽を出し、美しいひまわりにも似た花を咲かせ


そして、モンスターと変貌した。


実に10秒にも満たない時間である。


(花の化け物・・植物系のモンスター!?ランクはAランクからSランクモンスター程度・・・・この養分のかけらもない冥界内でこのレベルのモンスターを召喚するとは)


「どうよ!私の研究成果!この『概念喰らい』の栄養分は『そこにある』という概念そのものよ!つまり雑食のさらにパワーアップしたバージョンってことね!」


色とりどりの花が、冥界の大地を喰らい続けて更なる成長を遂げる、その巨大さは一体一体が5メートル以上はあるおばけ植物だ。


「さぁ、あそこの隠気な男を倒しなさい!」


主人であるヴィヴィの命令に答えるべく、概念喰らいの植物達は歩み始める。津波にも似たその暴威を前にしたスアレスはそれでもーーー


「・・・・・・」


落ち着いていた。戦意は些かも鈍っていない、あくまでも貪欲に勝ちのみを目指す。彼の日のように。


いつしかスアレスの体は風を切り裂くような音と共に消失し、次に現れた一瞬の間に概念喰らいの点在する真っ只中に立つ。


次の瞬間、概念喰らい達の花弁より上が消し飛んだ。


「影斬・・・・」


「ちょ、本当にアレ人間!?」


スアレスのボソりとした声と共に消し飛んだ概念喰らいを見てヴィヴィが叫ぶ。


なんなのよあの男!


私にギリギリまで姿を認識させない能力といい!


隠蔽系の魔法でも無さそうだし、本当、手間しかかからないんだから!


「やるわね、でも、概念喰らいはここからよ」


「一体何を・・・・なるほど、そういうことか」


スアレスは、ヴィヴィのその言葉の意味がわからなかったが、次の瞬間その意味を知る。


先程、スアレスが斬り裂いた概念喰らいが全員復活していた。


概念喰らいは、そこに「存在している」ものを消失させることができる。有から無へ、防御不能の必殺技だ。鈍足であるという弱点はあるが、その不死性はヴィヴィの中では最強の攻撃の部類に入る。


斬られた程度で死ぬ筈も無かった。


「まぁ、貴方の攻撃が私に見切れないのは認めてあげるわ。私の攻撃が当たらないのもね。でも勝つのは私よ、早くお姉様のところに行かないと!」


そう!ビバお姉様!


私がアヌビスを倒して、お姉様に褒めて貰うんだから!


その為には君、邪魔!いけ!程よく育ったSランク級概念喰らい!


おまけに木の根を伸ばして逃げ道を無くしちゃえ!


その言葉通り、巨木のヴィヴィから張り巡らされた根がスアレスの逃げ場を亡くし、回りを概念喰らいで囲む。そして、餌にたかる虫のようにスアレスを包み込んでいく。


バキャバキャ

ベキャベキャ


骨の折れるような音と共に悲鳴にも似たような音が響く。


それは、概念喰らいが出した、恐怖の怨嗟だった。


「ギャァァァァァァァ!!!!!!」


ヴィヴィが研究よ末さまざまな植物を配合させて作成した植物系モンスター、そんな概念喰らいに恐怖が差し掛かっていた。


それも、無理はないーー彼が持っていた物は


死そのものだったのだから


「・・・・使う気は無かったんだがな」


「う、嘘、何それ!?その死の概念・・私たちを殺し得る代物じゃない!」


「これは神器じゃない、かと言って宝具でもない。何故僕が息子に死神交奏曲を渡したと思う?」


晩年、スアレスは自らの武器を息子に渡した。


何故か?


老境の間際に死を悟ったから?


違う


彼は手に入れていたのだ


死神交奏曲以上の代物を・・・!!


「1柱より12柱の階位を賜った。」


2つ名は『名無鬼王(ナナキオウ)


種族名「仙人族」


「神12柱、スアレス=ヴァン=ケイアポリス。・・行こうか」


彼は自らの持つ大鎌を構えて言い放つ。


死神が、その牙を向こうとしていた。







評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
読んでくれてありがとうございます! これから全10章、毎日投稿させていただきますので、是非よろしくお願いします @kurokonngame くろこんでツイッターもやってますので、繋がりに来てください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ