医者と詐欺師
さぁさぁ君たち!
神々の話をするとしよう!
今は昔、太古の時代。
神々はこの世界に巣食う邪悪な一族を倒す為に、人間と協力してこれを打ち倒した。
神々から人間はその功績を称えられ、この地上を支配する権利を得た。
だからこそ、この地上を今支配しているのは亜人でも、魔族でもない人間なんだよ。
さぁさぁ寄ってらっしゃい見てらっしゃい!
・・・・
・・・・
・・・・
・・・・
え?お兄ちゃん、顔が怖いって?
そんなことないよ!!!
そうだ、僕の名前を言ってなかったね。
僕はフォルテ、話手さ
これは、神々が積極的に人間と共存していた時代の話。
まだ戦乱の表舞台に、フォルテが出てくる凡そ10年前の話である。
「いやぁ〜〜面倒臭い!」
「分身を解除してしまえバいいのでハ?」
「んなことできるか!そもそもアレは自立的に動く僕と同じで、僕と違った思考を持つ1つの独立した人格だ!」
てか、 いつのまに後ろに回り込みやがった!?
ウルフィアスは手刀を叩き込もうとするが、それをフォルテは楽々と言わんばかりに躱す。
どういうことだ、クソ!
これだけの数がいてどうして本体に回りこめるんだ!
1万体いるんだぞ!
現在、1万体いる反応は一体も消えていない。
つまり、1人も敵を倒すことなく接近だけしている。つまるところフォルテは遊んでいるのだ。とはいっても彼の仕事は時間稼ぎの為、勝利ではないからなのだが。
現状、フォルテへの攻撃は寸断絶えず行われている。ウルフィアスの空間魔法を駆使した魔法は、こと攻撃魔法として使用した場合とてつもない威力を発揮する。
例えば、体の部位、例えば腕のみを空間魔法で飛ばしたりした場合。そこに防御力の介在する余地はない。
耐性があるもの、例えば3柱以上、フレイヤ以上の魔力耐性を持つ者には空間魔法は任意がない限り作動しないが、それ以外の者ならばその魔法は以外に協力だ。
しかしその魔法の作動は遅い。
具体的に言うならば作動から転移へと実行されるまでに若干のタイムラグがある。
『転移魔法!!』
「遅いですねぇ〜欠伸が出ますよ。」
ウルフィアスの空間魔法を、フォルテは安安と躱す。
空間魔法が発動するラグは、空間魔法を極めたウルフィアスとはいえ1秒かかる。
下位神であるフォルテがそれをかわせない筈が無かった。
「みんな、一斉に行くぞ!」
気づけばウルフィアスとフォルテは、1対1の場所に移動していた。正確には1万対1だが。
アイテールとケテル=マルクト
フレイヤとアヌビス
ヴィヴィとスアレス
そしてウルフィアスとフォルテ
その全員が、アヌビスの力によって冥界の違った場所に移動させられていた。
現在ウルフィアスがいるのは灼熱のマグマのような場所だ。
(これを指揮しているのがマルクと仮定するならば、この場所がフォルテに有利に働く可能性が高い!)
筈なのだが、今のところ別段戦況に変化はない。
フォルテは逃げ惑っている、彼自身余裕ぶっこいてはいるが、遊びなど介在する余地はない筈だ。
正直焦っているようにすら感じられる。
そう考えるとむしろ押している雰囲気すら感じられた。
『『『空間魔法』』』
一斉に放たれた空間魔法が、フォルテの体をズタズタにするべく発動される。
「何度やってモ同じことですヨ・・・・」
目の前に繰り広げられる惨劇すらフォルテは動じる様子を見せない。
実際問題としテ、ウルフィアスさんの攻撃手段はアイテールと大差ありませン。生粋の戦士では無いですからね、彼等2人は。
体を捻り、空間魔法が作動するであろう場所から身を躱す。その0.01秒後に魔法が作動され、空間魔法は見事躱された。
「惜しかったですねェ!!」
「「「ああ、本当に惜しかったね」」」
「・・・ヘ?」
フォルテは、不意に自分の左腕が軽くなったような感触を受けた。そして左を向くと
自分のそこにあったはずの左腕が、無くなっていた。
「な、何ゼ!?」
「空間魔法にわざとラグがあるようにして、お前の急所を狙っていた。一撃で仕留められるようにな。」
実際、前回の戦いでは圧倒こそしたものの、それなりに時間を強いられた。今回はそれを踏まえて一瞬で肩がつくようにしたくて心臓を狙ったが...躱されてしまったようだ。
それに、実際問題としてノールックで放たれる空間魔法というチート技は、ウルフィアスの技術をもってしても精度を欠いてしまうという欠点もあったのだが。
「なるほド・・ウルフィアスさんに騙されたという訳ですカ。」
「騙したとは人聞きが悪いな、学習したと言ってくれよ。」
光の放出は止まらない、この体はアヌビスに貰った仮のものという側面もある。フォルテの体自体は再生を続けているものの、ここでアヌビスから貰った力を失うというのは少しキツイ。
(これは・・左腕を再生しても稼働できる時間は数分、それまでに私シがウルフィアスをどうこうできる筈も無し。潮時か)
フォルテの顔が、驚愕から悦楽とした表情に変化する。
ならば良い
ネタバラシの時間だ。
「この傷ではどちらにせよ逃げ切れないでしょうが、その前ニ良いことを教えてから去るとしましょウ!!」
「ん?なんだよ、君にしてはやけに素直だな。」
「エエ、何故なラ詐欺師ハ薄っぺらいですからネ」
「・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・!!!!!!!」
「・・・・・」
「それなら、何故それを今言う必要がある?」
「何故でしょうネ。その理由は貴方が見つけて下さイ」
「あぁ、そうするよ!」
瞬間、いくつかのやり取りを終えてウルフィアスは手刀でフォルテを切り裂く。
次の瞬間、今度こそフォルテは冥界から姿を消した。
以後100年は彼が姿を現わすことはない。
だがウルフィアスが考えているのはそんなことではない。
どうして?という疑問
怒り
悲しみ
だがその後に彼が思ったことは
そのまま、言葉として出てしまっていた。
「クソ!フレイヤ、アヌビス、アイテール、マルク、ヴィヴィ・・なんだってんだ!これじゃあまるで茶番じゃないか!」




