クリスマススペシャルthe last
「うわ!クリスマスだ!」
「送り届けましたぞ!それでは私はこれで失礼!」
「イエロー!?僕を置いていくの」
「申し訳ありません!何しろ抜けて来た者ですからな!」
「何から抜けて来たんだよ・・・・」
イエローが足早にかけて行くのをじっと見る、いやまぁいいけどさぁ。
グリーンの屋敷に転移した僕達だが、僕は何故かこの世界で言う貴族風な格好に着替えさせられていた。
全身をイエローを基調とした服と、ワックスでガチガチに頭を固められた姿で僕は今立っている。
何があるんだろう、ロクなことじゃないだろうけど・・
こんな服に着替えさせられると言うことは、かなり格式高い場所の筈だ。そして、そんなところにいる人達が、ロクでもない人達なのも知っている。
「う、うわぁ・・」
扉を開けて、中を見れば、そこは僕のあまり得意ではない人達がいる。
クラシック調の音楽、それに合わせて踊る、豪華絢爛な格好をした人々。
ダンスパーティーか。
庶民の僕に貴族の相手はハードル高いって!
「では、行きましょうか。グリーン様」
「えっ?」
僕の隣には気づけば、ひょろりとした、枯葉のような印象を受ける男が立っていた。
「あ、あの、僕グリーンじゃないんだけど」
「話は聞いております、話を合わせて下さるだけで結構です。」
そこまで言うと、その男、後にリョウトウと名乗るその男は綺麗な礼を取る。
こ、これは・・
ひょっとして・・・・
影武者にされた?
確かに、雰囲気というか、グリーンの顔などはパレードなんかで良く見かけるが、よほど僕たちのことを詳しく知る人物ではない限り、具体的に言うならコレットとかじゃないと僕とグリーンの見分けはつかない筈だ。
そう、よほど詳しくない限りは。
そうだ、うんそうだね。
つまるところ、これからやらなければならない僕の仕事はこの人の後に続いてウンウン頷いていたり、軽く話しに付き合ったりすればいいんだ。
グリーン、・・絶対にぶっ飛ばしてやる〜!!
「おや、そこにいるのは・・グリーンか?」
見覚えのあると言えばそうな、清涼な声を聞いて背筋が凍る。
こ、この声は・・・・
「おい、私が話しかけてるんだ、こっちを向け。」
親密なライト王が、そこにいた。
◇◇◇◇
「いや〜男の子が産まれるのか、女の子が産まれるのかなぁ〜」
「おめでとうございます、男の子なら、次代の王に?」
「あぁ、まぁ王族は腐るほどいるから、女の子が生まれたとて問題はないがな。名前はどーしようかな〜」
「ハハハ・・」
「既に出産してからの育児の仕方なんぞを教わっていてな、赤子の抱き方を練習しているところだ。」
「そうやってしていると、王妃様も喜ぶでしょう」
「そうなのだ!政務が身につかんと叱られるのだかな!」
くそぉ・・かれこれ1時間ぐらいこんな感じだぞ。
昔田舎のお爺さんの話しに5時間付き合ったことがあったり、怪しい宗教勧誘のおばあさんに30分ぐらい付き合わされたりしたことあるから、慣れてはいるけど。
く、苦痛だ・・・・
「妻のお腹が少し動くんだ、いや〜その為に仕事を頑張ってると言っても過言ではない」
「アハハ・・」
理性で顔を綻ばせ、笑顔を作ることができるのも、そろそろ限界だ。
「まぁ、このぐらいにしておくか、久しぶりだね、レッド」
「はい、どうもレッドです、ってぇなんで知ってるんですか!?」
びっくりした!
あまりに自然だから答えちゃったよ!?
「だって、この話をするとグリーンなら『うるせぇ!惚気話は鏡の前ででもしてろ!』って言うし、イエローなら話を流したりするもの。真摯に聞いてくれるのは現状君だけだよ、当たるかどうかは3割7分ぐらいの確率だと思っていたがね?」
「そ、そうなんですか・・」
僕たちの少々...いやかなりおかしな現状は、世界中の一部の上層部だけが知ってる秘密だ。故にバレても問題ないとは思うけど。
「というか、私が離れるとうちの貴族や他国の面々が押しかけてくるぞ。」
「それもそうですね」
周りを見渡すと、こちらを伺っている貴族や、他国の家の者たちがこちらを見ている。
確かに、僕の稚拙な会話術じゃあ、変な言質を取られてしまう可能性もある。
あれ?もしかしてライト王、そういうのから守る為に、わざと長話を?
・・・・考えすぎかな?
「あーでもすまん、これは守り切れないぞ」
「へ?」
バァン!!!
爆発音のような音をたてて1人の男が入ってきた、少年とも見間違えそうな姿だが、その風貌は紛れもなく一国の王であることを主張している。
黒色の肌を持つ神童
「グリーン、今日こそ我が軍門に下れ!!!!!」
げぇ!!
あれウォルテシアの王様じゃん!
「トトメス殿、人のものを欲しがるなど子供の所業、ほどほどになさいませ。」
「フン、グリーンの才覚は保守的なケイアポリス王国では使いこなせん。それは重々理解しておろう、グリーン、我が国に来ればすぐにでもその技術力を生かせるぞ」
「は、ハハ・・・・」
王都で色々やってた時に少しだけ会ったけど、相変わらず凄い迫力だな・・小さいけど。
子供が背伸びしているようにしかみえない。
(レッド、相手してやってくれ。お前も大変だな)
(王命をこんなところで使わないで下さい、しかし了解しました。)
「聞いてるのか?グリーン!」
「はいはい」
そんなこんなで、ラトランダ領のクリスマスは過ぎて行く。
その後、女神フレイヤが起こした奇跡により、美しい雪が全世界に降り注いだ。
そんな中で、1人だけ、不幸になった人物が・・
「大変だ!火炎魔法の暴走で店が燃えてるぞ!」
「私の坊やが!誰か助けて!」
「ママー?どうしたの?」
「え!?そんな、どうして・・」
「 なんかね、仮面を被ったお兄さんに助けてもらったよ!」
「そんな、奇跡だわ、神さま・・・」
「やれやれ、一張羅が台無しですな。これでは行けませんぞ、ブフォ!?」
「大変だ!火炎魔法がまた暴走したぞ!」
「人に直撃したぞ!」




