クリスマススペシャル③レッドのクリスマス
『メリ〜クリスマス!!キセキぃぃ!』
「メ、メリ〜クリスマス・・・・』
おじさんと、その仲間達がフォー!とか言ってる様子が頭に浮かんで、僕ーー松岡輝赤は少し吹き出してしまう。
相変わらず、陽気な人達だなぁ。
『ごめんな〜キセキ、クリスマスイベントのバグがさぁ〜』
『社長!またバグが!』
『クソッタレめがぁぁぁぁぁ!!!』
「お、おじさん、本当にこっちは大丈夫だから。お仕事頑張ってね。」
『おう、留守番頼むぞ!』
ツー
ツー
ツー
・・・・ふぅ
叔父さんの会社はゲーム会社だ、そこでゲームの運営やプログラミングの担当などを兼業している僕の叔父は、クリスマスの日に家に帰れなくなってしまった。
可愛そうだけど、仕方ないよね。
僕はどうしようかな?流石に道場に行ったら・・怒られるか、流石に。
断っちゃったしなぁ、クリスマスパーティ。
僕の住む街には剣術道場・・っぽいところがある。
そこの門下生に復帰した僕は、師範代にボコボコにされながら少しでも強くなろうとしてるんだけど・・上手くいかないんだよな。
ともかく、そこの道場にいる幼馴染から、クリスマスイベントがあるから来ない?と誘われたのだが、叔父さんが返ってくると聞いていたので断ってしまっていた。
つまり、完全なるクリぼっちである。
チキンでも食べようかと決意した瞬間、空間から、イエローが現れた。
グリーンが開発した装置だ、回数はそこまでこなせないものの、ピンポイントで僕の世界とアヴァロムを繋ぐことができる。
「お久しぶりですな、元気にしておりましたか?レッド」
「は、はい、どうも・・」
「急に不躾な質問を致しますが、本日は予定などはありますかな?」
「たった今なくなったところ。」
「そうですか、それならば参りましょう。アヴァロムへ」
「行ってもいいけど、何をするの?」
「この時期にレッドを呼ぶとなれば、要件は1つでしょう?」
「クリスマスですよ」
◇◇◇◇
私はコレット=ラトランダ
ラトランダ男爵夫人だ、夫はグリーン。今や、世界の誰もが知っている神殺し。
神話の崩壊、この世界に魔族と人間の大きな大戦が巻き起こったこの戦場に、神と呼ばれる中でも始まりの神々の1人、『アイテール』が降臨したのは、生命が争ったことによる神の怒りとも言われている。
その神の怒りを封じ込めたのがグリーンと言われており、教会や世界各地の宗教団体から、神を諌めることのできる者として勧誘が殺到したり、グリーンの妹(と言うことにしている)ピンクちゃんが教会に置かねばならなくなったりと、大変な境遇にグリーンは陥っている。
アストルフ伯爵・・たかだか伯爵家の3女でしかない私が世界中で注目を集めているグリーンの正室というこの状況がおかしいのだ。
そう、グリーンは別に貴族になる必要は無かった。研究に一心に打ち込んでいれば、もっと自分の好きな時間が取れただろうに。
私の妻になったから、いや私の夫になりたかったから、グリーンは貴族になったのだ。
イエローさんも、そんなグリーンに協力してくれており、お陰でラトランダ領は既に他領を凌ぐスピードで経済的発展を遂げている。
その背景には、元々伯爵領だったラトランダ領を元々支えていたリョウトウとイエローさん。そして微力ながらそれを支える私と、パンドラの箱のみんなの努力があったと言ってもいい。
「ん、コレットどうかしたか?」
「うんん、なんでもない。ねぇグリーン、次はあそこのお菓子を買って来て」
「旦那使いが荒いなぁ・・」
クリスマスの街中を、変装した姿ではあるが歩いているグリーンは。サングラスにもこもこのセーターを着込んだ姿だ。
イルミネーションによく映えて、とてもいい感じに仕上がっている。
この1年間、たったそれだけの合間に、色々なことがあった。神を殺した英雄でも、野盗に手を焼いたり、研究に没頭しすぎたり、床で寝たり、寝言がうるさかったりするところは治ってない。
グリーンはグリーンだ。
あの、アルノ領でいた
風変わりなグリーンのままだ。
私が好きなグリーンの、ままなんだ。
てちょっと何思ってるの私は!
「買って来たぞ〜・・クリスマスに羊羹ってどうよ本当に、美味いからいいけどさ。」
そんなことを思ってると、仕事の早い夫が帰ってくる。
「あれ、てかコレット顔赤くね?」
「うるさい!こっち見ないで!」
「酷すぎませんかね・・どうわっ!?」
そこまで言うとグリーンは、雪に滑ってすっ転んだ。その時の顔があまりに面白くて、私は笑ってしまった。
「あははははは!」
「いって〜〜〜〜クソッ!雪だから滑りやすいな!」
「ほら、行くよ〜」
「待てって!どうわっ!?」
「何してんのよ!」
不安なところもある、彼は危なっかしいところがある。彼はトラブルメイカーだ、至って本人にそのつもりはないけど。トラブルの方から彼に飛び込んでくるだろう。
命の危険もあるだろう、そんな時、私は・・
「ほらいくわよ、グリーン」
「おっサンキュー、寒いな〜やっぱり」
「ええ、そうね」
そらでも、私はラトランダ男爵夫人だ。
この家を守る、彼が帰って来た時に
安心することができるこの家を。
アヴァロムと元の世界は時の流れが違うのに、なんでクリスマス被ってるのとか言う奴は爆死しろ




