クリスマススペシャル② ラトライダ男爵夫婦
「な、なんじゃこりゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
オレーーことグリーンは、自分の屋敷がイルミネーションによってピカピカに輝いているのを見て絶句していた。
決して血が出ているわけではない。
ないったらないのだ。
グリーンの家ことラトランダ家は貴族にしては一般的とも言える白を基調とした屋敷に住んでいる。大きさは元の世界にある家3軒分の広さである。
ケイアポリス王国の貴族の屋敷、男爵としても一般的とも言えるだろう。
そんな自分の屋敷が、ギラギラに光り輝いている。
な、なんというか
すげぇな......
「それと、屋台なども取り揃えております」
「イエロー、屋台は違くね?」
「なんかもうごちゃ混ぜにした方が良いかと思いましてね。なぁに、これも地域活性化のためですぞ」
「えぇ〜イエローそれ絶対ぼったくりな奴じゃん」
「サービスは保証しますので!」
24日、夜。雪の街中には沢山の人々が溢れ、思い思いのクリスマスを過ごしている。
屋台で売っているのは、水飴、チョコバナナ、焼きそば...
「夏祭りかよ」
「いや、これは儂のせいではありませんが」
イルミネーションと美しい街並みに騙されているが、ところどころ行事がごっちゃになっているような雰囲気がある。
子供達が仮装してたり、ふんどしを着た男が踊っていたりと。和洋問わずさまざまな文化の祭りが行われているようだ。
まぁ、たまにはこういうのも良いか。
「グリーン!準備できたよ!」
「おっ来たな!行こうぜ」
「はいはい」
明日は各地から重役が詰めかける予定だ、つまりクリスマスを楽しむのは今日しかできない。
オレはコレットの手を取って街へと降りる。
そんな若い2人を、イエローは暖かい目で見つめていた。雪の日の夜、2人の足跡が消えるまで、その視線は止むことはない。
やがてイエローは屋敷に戻る
グリーンがやっていない溜まっていた書類を片付けるためだ。とそうコレットには説明してある。
もう、とっくに終わってますがな・・・・
「そもそも、クリスマスにこんなところでボーッとしてる訳ないでしょうが!!!楽しみますぞーーフォッフォッファ!!!」
好々爺の雄叫びが・・聞こえる。
◇◇◇◇
「そこ、気をつけろ」
「あら、有難う」
雪の中、オレとコレットは2人で街中を散策していた。街中は完全にクリスマス一色だ。
「安いよ安いよ!!」
「オラオラ気合い入れろぉぉ!!」
「シュワキマセリ〜」
なんか違くない?いや最後のは普通か
「なんか、久しぶりだね。こうして街を歩くのも」
「いや、休暇が取れなかったのって、どちらかと言えばお前のせいじゃ・・」
「なんか言った?」
なんでもありません。
オレの1日のスケジュールは、全てコレットが管理している。その緻密さは、アストルフ伯爵が見て震えるレベルと言えば理解出来るだろうか。
はっきり言って地獄である。
領主だし、広さ的には伯爵並みなので仕方ないと言えるだろうが・・・
いくらなんでも酷すぎない?
「だってグリーンすぐどっか行っちゃうんだもん!」
「それは言えてる」
「同調しないで、悲しくなってくるから...」
「あ、あそこの水飴美味そうだな」
「あ、私にも買って」
「うーい」
実に夫婦らしいやりとり、いや実質夫婦なのだが、2人の息はピッタリだった。
「い〜祭りだな、時間が無くて今回はイエローに全権を任せる結果になっちまったが、次はオレがやるぞ。そもそも文化が違いすぎて統一感がねぇ、まずはそういう祭りの教育をしねぇとな。最近建てた学校は都市内部限定で行うものだったが、上手く機能してやがるのかわからねぇな。イルミネーションの数も大幅に増やさねぇといけないし、だがそれだと維持する魔力量が滅茶苦茶なことになる。飾り付けも雑多だ、急ピッチで隙がねぇのは評価するし、イエローらしいがな。」
「折角のデートなのに仕事の話?」
「いや、わりぃいいこと思いついちまってな。」
「ヤバイ!殺されるか!?」
「いいよ!てか、グリーンが私に計画をきちんと話してくれれば時間とってあげたのに!」
「まずそれなんだよな!だってさぁ・・・・」
夫婦で話をする久しぶりの時間にも関わらず、仕事の話が始まっちまう。
だけどまぁ、コレット笑ってるし、いいかな。
「あ、それとよ、明日は色んな奴が来るんだろ?」
「ええ、ウォルテシアのトトメス王、オワリからもクレナイさんが。ケイアポリス王国からはライト王が来るわね。帝国は忙しくて代官さんが来るわね」
「1人招待したい奴がいるんだが、いいか?」
「ええ、あの人ね」
「あぁ」
2人はそのまま、真冬の中を歩き続ける。
そして、グリーンは風邪をひいた。




