地上戦終結④
終わったか
クロは、光の粒子となって消えていく冥界軍を前にそう呟く。大将のイシュタリア・ランスロットは私が倒した。
絶対の防御力、それを支える魔力。冴え渡る槍さばき、まさしく神に数えられる1人に相応しかった。恐らく私も神器を持っていなければ戦いにすらなっていなかった
だろう。
この神器をくれた人物に感謝しなければならないな。
クロは自らの神器『ゴリアテ』を撫でながらそう呟く、グリーンから支給された武器が早々に壊れていき、武器なんかいらん!やっぱり素手が一番だ!
といった状態になっていたクロにとって、この大剣は元の世界のバットにも似た、いやそれ以上の安心感があった。まるで私の為に作られたようなそれは、クロお手製のグリップを巻いて、完全にクロ専用になっている。
勝てたのは、確かにこいつのおかげだ。
しかし、ランスロードは?
彼は歪んでしまっていた、精神的に歪んでしまっていたのだ。あの程度のカリスマでは、とてもではないが冥界軍全体を掌握することなど不可能だろう。
神具である鎧も、あんなに脆いはずはない。
それは冥界軍を見ても同じだった、現世で名を残した面々が人間に対して矛先を向けている。実力も、そこまでという訳ではない。
明らかにおかしな事態であると思う。
そもそも、ピンクの回復魔法がかかった途端にみんなが撤退を始めたというところも、謎な部分が多い。冥界軍、歪な組織だ。
アヌビスという1人の王に心の底から従っているものも多いが、それ以上に嫌な感じのする奴が多いよな。
そう、最初の戦い、アストルフ伯爵やコレットと始めて会ったあの場所。
そんな雰囲気だよな。
クロは今回の戦いについて、絶対の知識を持っているわけではない。マリス辺境伯の暴走によって起きた今回の事変、だがそれに隠れたそれ以上のなにかを、クロは捉えかけていた。
てか、戦争もう終わりなのか?
かんっぜんに出遅れたーーー!!!
冥界軍を鎮めたのがピンクだし!
ふざけんなよ!連れて来たの私だけど!
それと兵士から聞いた話だが、1度目の戦いでは、グリーンが魔法?のようなものを使用して数十万の兵士を一気にぶっとばしたらしい。
すごいな、領主になったと聞いていたのだが、そこまでやってしまうとは。
イエローやレッドも元気かな?
「2人に会うのすっごい久しぶり!元気にしてるかな〜!」
「ん?グリーン達が会いに来ないのか?」
「そうなんだけどね、教会の仕事とか忙しくて、中々会えないから。グリーンも忙しいみたいだし。」
「そうか・・」
しゅじ...レッドの家に戻った後、私達はまた、それぞれ離れ離れになった。
ピンクは教会に
グリーンとイエローは領地へ
私とホワイトは旅に出た。
それ以降3年間、みんなとは会ってない。
いや、外の世界広すぎだから、仕方ないところもあるんだがな。私とて全てを巡ったとは言わないが、そこそこは回ったぞ!次は世界一周とかしたいな。てかこれ大地繋がってるのか?わからんけど!
この世界丸いの?フレイヤに今度聞いてみよう
「これからどうするの?クロ」
「う〜ん、もう少しここにいようかなと。久しぶりにグリーンやレッド達にも会いたいしな。」
「本当!じゃあ今日はずっと一緒ね!」
「馬鹿!くっつき過ぎるな!人が見ているだろう!」
それでもピンクはくっつくのをやめない。
一応戦場跡なんだがなここ・・
「悪かったな」
「何が?」
「いや、勝手に戦場に連れて来たことだ」
「そんなこと気にしてたの?クロ、そんなこと気にするタイプじゃなかったのに」
「お前私のことをなんだと思ってるんだ!?まぁ、たまにはな」
「え〜なんか裏がありそう」
「何もないからな?そういう目で見てくるのはやめてくれよ?」
「え〜なんかクロが成長してるの気に入らない!」
「どういうことだよ」
何故ぷいっとそっぽを向くんだ
わけが分からん。
まぁ、いいか。ピンクもいい歳だし
レッド、イエロー、グリーン
お前たち、一体今、どこにいるんだ?
夕陽の落ちかけた光を眺めながら、クロは思う。
長い夜が、始まる。




