冥界下層の戦い〜sideグリーン〜
上層
神々vs神々!(とちょっとレッド)
下層
グリーン
「ぉぉぉぉぉぉぉぉぉ暗いぞぉぉぉぉぉぉぉぉぉ」
魔王
「ココドコ?」
ピチョン...
ピチョン...
そんな、辛気臭い洞窟のような、光1つない冥界内部の道のりを、グリーン、ファムルス、ジャック、ディナス、イエローは進んでいた。落とし穴に落ちた先は、落とし穴にありがちな針のようなものが地面から突き出てたりする恒例パターンとはかけ離れて普通の地面だった。それでも普通の人間なら即死する高さだが、この4人は決して普通ではない。
至極綺麗に着地を決めていた。
あ、うん。嘘。
オレだけ頭から突っ込んだ。すいません、見栄張りました。
ともかく、真っ暗闇の中を進んでいく。
「真っ暗闇なのは周りだけで、グリーンは発光してるけどな」
『おっよくわかってるじゃねぇか。どんな環境下でも活動できるように耐久力はともかく、照明、体温自動調節、サーモグラフィー、迷彩化も仕込んでるぞ!まさしく万能ロボだな!』
そう、グリーンは文字通り光り輝いていた。その発光は全身から出ており、暗闇であるはずの冥界を緑色に照らしていた。
冥界の中は暗闇の洞窟のように狭く、何も見えない。グリーンの照明が無ければ孤独死しそうな絶望感に襲われることは疑いもないだろうし、別れ道があるということすら気付かないだろう。
気温は21度前後、全体的にひんやりとした空気が冥界中を包んでいた。
最初に気づいたのはジャックとイエローだった。すぐさまナイフを抜いて辺りを見回す
『何してんだよ?』
「なんか...いるぜ?」
「姿は見えずとも気は確かに有り...何者ですかな?」
「気づいてしまうか、良い目を持っているな、小僧共」
ふぇっふぇっふぇ、そんな声とカラカラという音が順番に聞こえてくる。
姿は冥界の先、グリーン達の進行上から出現した。出現したというのは文字通りである、その場に急に出てきた。
「魔法ですかな?」
「ご明察、かの英雄スアレス=ヴァン=ケイアポリスに劣らない隠蔽魔法。まさか見破る者がいるとはな」
出てきたのは、老人だった。車椅子に押されながらもゆっくりとその姿を現わす。車椅子ということで押している人物がいる、その男は全身ツギハギのフランケンシュタインを彷彿とさせるようなファムルスより頭一つ大きな男だ。
老人は黒いローブを羽織り、車椅子に気怠げに身を傾けている。老人の体躯ほどもある巨大な杖が老人の隣で浮いており、それが淡く光を放っている。
「何者で?」
「その答えは目の前にある」
そこまで言うと、老人は見開いていた眼を薄く閉じて見極めようとするかのような視線をぶつけてくる。試しているのだ、ここから先どうするかを決めあぐねているような。そんな目で
『なぁるほどね、あんたが4人目か』
「左様、4柱の座に着くニコラス=セヴレイブと言う者じゃ。こいつは相棒のドッガ、よろしゅうのう」
『無限魔法』 神話の日和見化け物
何度コイツにムカツいたことか、神話に触れ合う機会は何度もあった。貴族になり、神殿などとも接する機会が増えるにつれて必要不可欠だったのだ。そこで教会の話を読んだが、驚くほど神々の詳細は合っていた。
少なくともアイテールは傲慢だし、フレイヤはあまり多くを語らない神秘的な神として崇められてるし、ウルフィアスはアホだ。
そんな中でコイツはそんな面々に負けず劣らずの問題児だ。主人公は勇者、そんな奴の冒険を手助けしたり、時には足を引っ張ったり試練を与えるのが神々だが、コイツは何もしない。
何もしないならいい?な訳あるか。
勇者が仲間もおらず一人で孤立してた時、コイツは見ていただけだった。勇者が絶体絶命のピンチになった時でさえ、コイツは遠くで見ていただけだった。
だからこそ神話ではニコラスという人間は戦闘能力のない神として扱われ、農業などの神さまとして扱われている。
だがオレは知っている、アイテールやフレイヤから、ニコラスの強さを。
全ての魔法を使い、魔法を作り、魔法を与えることができる。チート魔法使いだ。
物理という概念のない純粋な魔法勝負でコイツに勝てる奴はいない。
だが何もしない、サボる。
介入した戦いはほとんどなく、他の神からの応援要請も断る。勇者に何かを与えたりはしない。口は挟んだりするが、それはあくまで助言のみで、ニコラスとはわからないようにする。
少なくとも神話のニコラスという老神は、そういう性格だった。
んな老人が、冥界でオレ達と会って何をするつもりだ?
ちなみにニコラスは文献では人間っぽかった、他の神々と比較すると一番人間に近かった。
人気すぎて2次創作臭い化け物のような姿や人間の最高神のような姿など、いずれにせよ人間の形をしていない1柱や、フレイヤやアイテールと言った人間に近い姿をしているにも関わらず何もしない。
ちなみに人間として魔導体系の祖として生きている。魔導ギルドの確立を果たした勇者パーティー所属の魔法使いと並ぶ知名度だ。
『んなジジイが何の用だ?今忙しいから帰れよ』
「手厳しいな、最近の若い英雄はせっかちだからいかん。」
『悪いか?』
「いいことだ、生き急がねばな。」
グリーンの機械音での悪態すら、柳に風と言った風に受けながるニコラス。グリーンの興味からニコラスは完全に外れていた。
「まぁ老人の話は聞いておくものだ、それが巡り巡って20年後くらいにひょっとしたら間に合うかもしれんぞ。一応私は其方を人類の代弁者として見ている」
『あぁ?人類の代弁者なんてタマじゃねーよオレは、地上にライト王って言う奴がいるからソイツに頼れや。そもそもなんの話だよ』
「そのライト王、人間軍には冥界軍10万が既に向かっている。恐らくもうそろそろ戦闘が始まる頃か?安心しろ、其方より偉い人物はいずれ死ぬ」
『・・舐めた真似してくれるじゃねぇかクソジジイ』
「まぁ落ち着いて話を聞け、少々長くなるからな」
ニコラスは頬杖を車椅子の上で突きながら話始める。
イエローもジャックも動かない。
それは、数千年前、神々の神話の話だった。




