外伝 グリーンvsレッド
「ふっ!」
「げぇ!」
「なんと!」
「こ、これは!」
レッドーー僕の剣が、イエローのナイフと、ジャックの持つ暗記を飛ばしていく。
修練場(勝手に名付けただけで、エリアド城の近くにあるただの荒野)で僕、イエロー、ジャック、ファムルスは修練をしていた。
他の場所でも、冥界軍がやってくる兆しもない中警戒しているので、こうして他の人が訓練したり、修練をしたりしてるんだけど...なんか人が集まってきたね。
集中しててきがつかなかったが、今では僕たちの周りには100人ほどが円のように囲っている状態でそこらにいて、ヒソヒソと話をしていた。
ちなみにグリーンとかディナスとかは書類仕事中、領主は大変だね
「一体なんの話をしてるんだろう?」
「逆になんで目立たないと思ってるのコイツ?」
「こういう方なのです、控えめというか謙虚といいますか」
「神器級の武器ぶん回して2対1でもゴリゴリ押し勝つってどういうことだよ、歳か?」
「さりげなくおっさん枠に儂を巻き込むのはやめて欲しいですな...肉体年齢19か20ですぞこれでも。これでも」
ジャックにさりげなくおっさんキャラに入れられたのをイエローが阻止する。そう、イエローはピチピチの19歳なのだ。全然そうは見えないけど。精神年齢に肉体年齢が引っ張られるって本当なのだなと実感する。
まぁ、この2人に勝ててるのもこの神器のお陰だけどね。
神器『ウェザリア』マルクスさんから託されたこの静かな威圧感を放つこの日本刀は、マルクスさんが去った直後に変化した。僕に今馴染むのはやっぱりこれみたいだね、元の世界でも木刀を振ってたし。
その刀は透き通るように美しい刃を持っており、装飾も少ないシンプルな刀だった。
うん、僕に合ってると思う。
僕が振る瞬間、ウェザリアの刃が軽く振動する。うん、僕が思い描いていた通りのものだ。恐らく本気で振れば宝具とて両断するだろう、この刃はそれだけの力を持っている。
5つの神器を全て揃えた時の存在に、少しは近づけたのかな?
個人的には8割ぐらいは捉えられていると思う。あんまり自信ないけど・・
(どうせレッドのことだから8割ぐらいとか思ってるんだぜ)
(既に超えているのですが、最早人間の動きじゃありません!)
向こうでジャックとファムルスがコソコソ話あってるのだけど、何話してるんだろう?
「「お前(貴方の)非常識さについてだよ(ですよ!)」」
「うるせぇな、何してんだ?」
ファムルスとジャックが声を揃えてそう言った瞬間、人混みの中で異様に大きな何かがさっぱりと別れた人垣の間を抜けて現れる。
スーツを着たグリーンだ、その声は若干機械質で、機械を通してグリーンが喋っているのがわかる。大きさはより巨大になっているが、どのくらい強いかはまだ不明だ。それにグリーンはその裏でもっと凄いのを作ってるって聞くし。
「あぁ、グリーン。今ファムルスとかジャックとかと一緒に訓練してたんだ。」
「おっマジか?じゃあやるか?元主人」
グルングルンと、その5メートルほどありそうな巨大を動かしながらグリーンはそう呟く。
無理だ、はっきり言ってグリーンと僕じゃあ勝負にならない。たとえ鎧を着ていたとしても。
神器を持っていない僕でさえグリーンは操縦しているコックピットから引きずり出される始末なのに。
「いいからやろうぜ」
そう言うと、挑発するように右手をクイクイと動かす。「かかって来いよ」のサインだ。
・・・・わかった。
気づけばイエロー達は人垣に紛れて観戦している、開始のゴングを告げるものはいない
グリーンはだらりと何もせずに立っていた、その様子は前と同じだ。効率を主とするグリーンのことだ。恐らくコックピットの位置も一緒だろう。
踏み込む、一瞬で、僕はグリーンの操縦席に向けて駆け出した。
瞬間、グリーンの巨大が消えた。
え?
殺気を感じて飛びのくと、先程までいた場所がグリーンのゴム機関銃によって穴が開く。非殺傷目的の球とは言え当たれば青あざぐらいはできる代物だ。
ドゥルドゥルドゥルドゥルドゥルドゥルドゥルドゥルドゥルドゥルドゥルドゥルドゥルドゥルドゥルドゥルドゥルドゥル
そんな静かな音を立てる機関銃の弾を全てかわし、叩き落としながら反対を見ると、グリーンは僕の真後ろにいた。
移動したのだ、意識が離れた一瞬で。
グリーンの鎧がもっと、早くなっていた。
「あぁ!?あれ躱すとか勘弁してくれよぉ」
本気で驚いている様子のグリーン、いや危なかったよ。
アーマーの強化?
それとも、もっと別の要因?
わからないけど、油断してたら...負ける。
そこまで見抜いたら最後、もう油断はない。
僕は油断なく中断で刀を構えて、グリーンを見据えた。
グリーンside
◇◇◇◇
オッオ〜?
かわされちゃうの〜
凹むわ、これ一応神対策用のアーマーだぜ?短期決戦用ではないにしろ耐久性と火力なら随一のアーマーだ。
今使ったのは脚についてる『脚型加速器Ⅲ速』で、回数の上限はあるが一時的に素早さがUPする。
アイテールを驚愕させたほどのスピードに加えて一つ武装を追加している。腕につけられた宝具系統のブレードをバウムクーフンを切る時に折ってしまったことを覚えてるか?
その代わりにブレードにはある仕込みをしてある。
それこそが...新兵器『擬似神器乙型』
バウムクーフンは紛れもない神器になり得る素材だ、それの持つ絶対的魔力が今この大柄のボディを動かしている。魔力がほとんどないオレにとって、神器級の魔力タンクは必須だった。
ちなみにこのバウムクーフンの枝は
『黄金樹』というバウムクーフンの若苗から作った。ヴィヴィの話によると、数百年に一度つくこの苗を、良い住処を提供してくれるオレに感謝して譲ってくれたらしい。
てかバウムクーフン知性があったのかよ、聞いてねぇわ。
バウムクーフンの木は、若ければ若いほど身を守るために硬くなると言われている。もっとも若い状態で加工して作った苗は、『生きている』間違いなく。
いつか喋りだすかもな、なんつって。
ともかく、レッドと対峙する。
あの不意打ちに反応できてる時点で、レッドの成長速度がわかるというもんだ。
え、成長し過ぎでは?
神器1本しかないんだよね?
そんなことを言ったところで、自分はどちらかと言えば科学と魔導の力とかいうロボット的パワーで強くなっているので、れっどを見ても正直嫉妬しか湧かないのが正直なところだ。
オレめちゃくちゃ苦労してんのに・・
グリーンの名誉の為に言っておけば、レッド、彼自身が平凡でありながら天才であるという矛盾した身体能力を持つ超人だからに他ならないので、気にする必要はない。
まぁ、出し惜しみは無しだ
ブレードを腕から出す、そのブレードは光合成をしながら輝く木製のブレードだった。
木製だから鉄で作ったものより弱い?
誰が決めた?んなこと
機関銃で牽制しつつ繰り出したブレードの一撃をレッドに繰り出す。
そのフルパワーの一撃はレッドの上体を僅かながら吹き飛ばし、体制を崩させる。そこにもう1発横長だ、体制の崩れた体ではその一撃を躱すことは出来ず、浮いた体でそれをまともに防御したことで吹き飛ばされる。
しかしここで、レッドは上体を回転させ、グリーンのブレードの勢いを殺した。
「アァ!?なんだその動き?人間やめてんじゃねーぞ!」
「グ、グリーンこそ!その図体でその速度!現代科学じゃあり得ないでしょ!」
「オレは天才だからな!オラァ!」
「え、ちょ、うわぁ!」
グリーンが凪ぎ、グリーンが転ぶ。
レッドが吹き飛ばされ、レッドが斬る
しかしお互いに決定打は加えられず、2時間ほど激闘は続き、ギャラリーが1万を超えそうになった時、「うちの騎士達が自身無くすからやめろ」と某ウォルテシア国王からクレームが入り、この世紀のマッチは終わりになったのである。




