反撃の狼煙
「なんだ、悪魔族負けたか、つっかえね」
オレは目の前にいる可愛らしいキューピーちゃんみたいなのが黒くなって尻尾に棘が生えているようなモンスターをみてそう呟いた。
・・それ、よくよく考えればキューピーちゃんじゃねぇな。
ともかく、携帯電話で魔王からかけられて来た内容は、そんなもんだった。
マリスも死んだか。あぁ〜どうしよう?
なんのために隠したと思ってるねん
実は、今回アヌビスとの誓約を破った人物を意図的にオレことグリーンは漏らしていなかった。
このことがバレてしまえば、マリス家のお取り潰しは免れない事態となるだらう。つまりアストルフ家や、ひいては自分にも迷惑がかかる。
しかしこのことは、マリスが死んだ時点でご破算になってしまった。そもそもマリス辺境伯がこの戦いで軍勢を連れて来ているのにも関わらず病気で姿を見せないというグリーンが考えた見苦しい言い訳もいつかはバレてしまうだろう。
マリス辺境伯家の軍勢を用意したのはオレなんですがね。
しゃーないから言いに行くか。
『汝、ラトランダ男爵を子爵とする。これよりは我が名の一文字を取りラトライダ子爵と名乗れ。』
『皆余る光栄でございます陛下、より一層の王国への忠節に励みます』
ど う し て こ う な っ た
受勲式は、人間軍の全軍がいる前で行われ全軍に歓声が生まれる。
オレの代わりに出ているイエローは、内心の動揺を見事に隠し、堂々と受勲式に出、群衆に手を振っていた。
ライトの野郎・・・!!!!
「あ、そうなの?じゃあマリス辺境伯は取り潰してお前を今回の戦争の功績を持って子爵にして領地は全部任せるわ。前の戦争で人手不足なんじゃゴラ、拒否はしねぇよなぁ?」
なんだこの言い草、
あいつ絶対ぶん殴ってやる、パワードスーツで!
イエローに受勲式を丸投げしているグリーンは、自分の陣地で書類仕事をしていた。自らのはんこを押す手が止まらない。
側には護衛兼書類仕事をさせているジャックとディナスがいる。レッド?イヴァン?
あいつらに書類仕事なんかさせられるか。
「それにしても、このタイミングで領地が増えるのはキツイですね。人員不足で喘いでるってのに」
「グリーン様がされている教育制度・・華開くはいつ頃になるか、あと10年は安定するまで時間もかかるでしょうな。それにしても一般市民にまで広く学を学ばせ教養をさせるという方法、人員不足の解消にこれ以上ない対抗策となるでしょう。ディナス、感服しました」
あ〜そうだね。
教育制度、簡単に言えば日本の寺子屋みたいな簡易的システム。その中でちょっと金を持ってる奴ならばより高度な教育をと、私立の高校のような制度を導入した。
この世界の識字率、ヤバすぎ!
字読めなかったら国の決まりごととかどうやって理解させるんじゃ。
ということで
下院学校(小学校みてぇなところ)
主に希望制で6歳〜14歳までを対象とした学校、学費はほぼうち持ち。ラトランダ領は金だけはあるのだ、えっへん
上院学校(高校みたいなところ)
下院で優秀だった制度に奨学金を出し、一般生には金を出してもらい入学、15〜18歳までを対象とし、ここを卒業するとラトランダ領の役人になれる。
こんな制度を作った、これで希望者は誰でも入れる。とは言ってもまだまだ下院の校舎が足りないし、人数的、年齢的な問題が重なり制度の改良は必要だが、歪ながら教育制度も取り入れるに至った。
まぁ勿論成果が出るのにも長い目が必要なんだろうけど。
「まぁ、あそこから人員を派遣するのは厳しいな。やっぱりアストルフのオッサンに頼むしかないか〜」
ラトランダ領の財政を握ってるのは誰か?
オレの鬼嫁だよ!
ということで役人は、アストルフ伯爵家の人間だったりそういうコネ伝いの面々が数多くうちでは雇われていた。現在貴族は人手不足だ!なんて言ったところで、他の貴族の3男や4男の手は当然余っているわけで。
「うちの息子なんかはどうですか?」
「護衛にピッタリですよ!」
とか言ってくる奴がいたが、やかましいわ。
お前たちが欲しいのはコネと利権じゃろうが
とは言ってもオレは立場的には新興貴族で、これで子爵になる。いつまでも繋がりがアストルフ家とマリス家(取り潰しだけど)だけってのもおかしな話だ。
まぁ人手不足は深刻だし、妥協しなきゃいけないところもあるんだろうけどな。
『私はここに宣言する!ここに集まりし勇者達と共に全人類の守護者として活躍することを!しかし私はまだまだ若輩者で、経験も浅い若造でしかない。これからも皆の支えと助言が必要だ!どうか、力を貸して欲しい。』
「すげぇ、あの大軍を退けたのを歯牙にもかけねぇなんて。神殺しの英雄はなんて謙虚なんだ」
「ふむ、粗野な野蛮人と聞いていましたが、腕っぷしのみでのし上がってきたただの成り上がり者とは違うか」
やべぇ、俺の知らないところで俺の株がどんどん上がっている。
人間の守護者ってなんだよ!知らんぞ!俺はもう沢山だ、俺は家に帰ってコレットの膝枕で寝るんだ!俺は家に帰るぞ!
「グリーン、それ死亡フラグだから」
「何故一度やる気を出した後の反動がここまで大きいのだ・・」
やかましいぞそこの蜥蜴男とエセ詐欺師
『戦え!決戦の日は近い!その時はまた不肖ながら私が先陣を斬ろう!私の両翼を担うのはウォルテシアの勇者達か!』
『『『然り!!!!!』』』
『それとも、オワリ国の武士どもか!』
『『『然り!!!!!』』』
『それとも、王国、帝国に私やブラモア将軍を超える勇者がいるのか!』
『『然りぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!』』
もうちょっとしたグリーン教デハ?
そう考えていたオレの目の前が若干輝き始めた。
フレイヤだ、登場が派手やな〜
「ゲートを開く準備が整いましたので、これより冥界へと行きます。」
そうでしたね、でも悪魔大帝さん?あの黒いのが負けたけど大丈夫か?
「問題ありません、むしろ好機と捉えても間違えではないかと。疲弊してますので」
なるほどね、まぁ確かにそうなんだろうけど
あれ?冥界にゲート開ける?
「なぁ、フレイヤ、ゲートを開けた後ってすぐ閉じたり出来るのか?」
「非常に不合理ですが可能です、通常ゲートの魔力が続く限り開けておくのが普通です。何故そのようなことを?」
「いや、ちょっといいこと思いついてさ」
章終わり、いよいよクライマックスが近づいてきました。




