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アヌビスvs悪魔大帝

第3世界


こんな言葉を作ったのは人間達だ、世界の概要を説明するならば無機質で明るくもなく暗くもない。ただ何もないだだっ広い空間と言って良いだろう、全ての悪魔が持ち込んだもの以外の物質はこの世界には存在しない。


あるものは、悪魔がアヴァロムから何かを持って帰って来る物のみである。


要するにこの世界からは、何も生まれない


よく荒野で不毛の地という言葉があるが、


・・悪魔という存在を除けば、の話だが


だだっぴろい空間、そこを抜けると1つの建築物がある。


それは、教会と言うにはあまりにも大きく、城というには少し小さかった。ケイアポリス城のような荘厳で威圧的なイメージとも全く違う。


見る人によっては、古びた洋館にしか見えない。


ともかくそんなの近くで戦闘が起きていた。


具体的には、古びた洋館から延びたタイルのような道の途中で戦闘が起きていた。


一方は、貴族風の格好をした男たち。真っ白な肌に銀色の髪、美しい格好に刀剣を持ちながら舞うように戦っており、次々と敵を葬る彼らからは気品すら漂っている。数こそ少ないが、次々と敵を葬る様はまさしく強者に相応しい。


もう一方は、こちらは少し纏まりがない様相だ。まず種族に統一感がない、人間はもちろん魔物、亜人まで様々で、鎧なども全く異なる。


前者が悪魔族で、後者が冥界軍だ。


「いやぁ!久しぶりに戦えると大帝に誘われましたガ、これは些か退屈ですね」


「落ち着きなさいよ、見なさい。これをみーんな、食べても良いって大帝からの許可は貰ってるのよ。」


ここに、悪魔が2人いる。どちらも戦っている全ての悪魔に比べて一回り小さく、身長170センチほどの体躯だったが、冥界軍の誰もこの2人に近づかない。むしろ離れていくのが殆どで、戦闘といってもこの2人に関しては他の悪魔と戦っている冥界軍を頭から引っこ抜いたり、魔法で土手っ腹をブチ抜くなどと言った作業しかしていない。


それは、冥界軍が精鋭であると言う証でもある、本能で敵の強さを正しく把握しているのだ、そしてどう考えても自分では勝てないと判断して逃げている。


それもそのはず、この2名の悪魔、階級は熾悪魔級(ルシファークラス)。悪魔のいる第三世界でも5名しかいない悪魔の2人である


「魂を喰らう、代価は我々の本懐である魂。冥界と悪魔は相容れない存在なのだ。だからさ〜言ったんですよ、潰しておけって」


「大帝は神であるフレイヤ達との協力...とまではいかないけど、ある程度はアテにしている筈よ。私たちが冥界軍を食い止めてる間に、フレイヤ以下神々がアヌビスを倒す。完璧じゃない?まぁ私たちもアヌビスを殺りたい気持ちはあるけどね・・」


熾悪魔(ルシファー)の女はそう言いつつも舌なめずりをする、極上の魂達、さしずめ今回の冥界軍の侵攻はエサの群れ程度にしか考えてない。鴨がネギをしょってきた程度の感覚で悪魔達は冥界軍を迎え討っている。


通常、自らの強化する方法が年齢を重ねる以外しかない悪魔にとって、今回の侵攻は強くなるいいチャンスだ。良質で強い魂を喰らうほどに彼らは強くなる。これは悪魔族に共通項目としてある種族のしての特徴の1つだ。


「やめといた方がいいかと思いますよ、直接見たことはありませんガ。本当に大帝様が出張る必要があるでしょうなァ。」


「・・・・神々の戯れて生み出された私たちでは神そのものには叶わないと?」


「いやいヤ、流石にそれはあまりにも無体。我々にも成長の可能性があるとは思いますが、流石にねぇ...」


そこまで言うと、男の熾悪魔はチラリと洋館で、今も何事も無いように客人と寛いでるであろう主人を思い言う


あんなのと同格とか言われてる奴と戦えるか、アホ。


そう、この隣にいる同僚に言いたくて仕方がなかった。











「客人ヨ、寛げているカ?」


「あぁ、すこぶる快適ではある。まさか別の世界でワインや食物を味わえるとは思っていなかった。」


見事な装飾のフォークやナイフ、超一流の食事、そして屋敷にいる使用人まで、貴族としての基準であれば超一流のものがここには揃っていた。


なのに何故、この屋敷はこんなに古めかしいのだ?マリス辺境伯はすっかり場慣れしたようにそう呟く。


屋敷の中は一部の隙間ないほどの美しさだから別に構わないがな。


テーブルには私と悪魔大帝(デモ・ツァーリ)他に3人の悪魔がそれぞれ食事をしている。3人の悪魔は「どうして人間がこの場にいるんだ」という視線を最初こそ投げかけて来ていたが、今では何も無いように食事を取っている。


現在、僕の立ち位置としては悪魔大帝の契約者という立ち位置にいる。契約の内容がそもそも対等、もしくは私の方が若干上の契約となっており、僕の願いは殆ど叶うと言っても良いだろう。


つくずくフォルテは有能だったのだなと感心させられる、まぁ悪魔は不死身らしいので、生き返るのを待つのみだ。アイツのことだからいつかひょっこりと現れるだろう。


「そうカ、ならば良い。現在冥界軍は攻めて来ているガ、配下のものが迎撃中ダ。契約者はゆるりと待っていればいイ」


「あぁ、神話に語られし悪魔大帝の力。楽しみに見させてもらうよ」


この貫禄、これこそ、私が求めたものだ。


神々の支配から逃れ、冥界など破壊させる。人が死なない世界を私が作る!そして、私も、いや私こそグリーンを超える英雄になるのだ!


『死』それを克服させたという実績は、神殺しの英雄にも劣らない筈だ。


ちなみになのだが、冥界を崩壊させるなどという行為はアヌビスを殺したとしても不可能なのだが、マリス辺境伯はそのことが理解できていない。


彼の目的が、「父」「兄」の蘇生であったことも、辺境伯の領地を開発が元々の目的ではあったが、それすらも忘れている。ちなみに蘇生された当人である父と兄は、マリス辺境伯を説得しようとして失敗、この館の一室に閉じ込められている。


馬鹿が、マリス辺境伯のために蘇らすチャンスを与えたのに。 今のマリス辺境伯には、父と兄が酷く愚かに見えていた。それこそが彼の人格を破綻しているものという証明となっていることに彼は気づいていない。


「では、行って来る。アヌビスを倒して来てやろウ」


その瞬間、悪魔大帝(デモ・ツァーリ)の体から蒸気のようなものが噴き出したようにマリスは感じた。武術に触り程度にしか触れていないマリス辺境伯でも理解した。


抑えられているのか、それとも今までにないほど気持ちが高ぶっているからなのか。マリスは恐怖を感じなかった。


威風堂々を絵に描いたような様子で、悪魔大帝は出て行く、その後に3人の悪魔が続いて行く。


パタンと、静かに扉が閉まった音を聞いても、マリスは動かない。


勝利を確信し、マリスはまたもう一杯、ワインを煽った。

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読んでくれてありがとうございます! これから全10章、毎日投稿させていただきますので、是非よろしくお願いします @kurokonngame くろこんでツイッターもやってますので、繋がりに来てください。
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