外伝 魔族領大解説
「それでは今回、魔族領を案内します、ディナスだ。」
そう言うとディナスはこちらへ軽く会釈をしてきた。
グリーンの作ったホテルの前でやっているだけあってその姿は様になっている。整えられた燕尾服とモノクルの片眼鏡、身長2メートルほどの体躯を人化の術によって上手く縮めて180センチほどにしており、顔はリザードマンより少し人間に近いような顔をしている。
そんな、パンドラの箱で僕が解放したメンバーの1人であるディナスと、人化したイヴァン、エルザと僕は、エルザの「折角魔族領にきたんだから、遊びたーい!」という超私的な理由で魔族領を探索することにしていた。
アスクロルとの戦いから1日が経過した、既に全治2ヶ月ほどの重傷を負っていたはずのイヴァンも見た目だけは元に戻っている。
いやどんな回復力だよ!!とツッコミを入れたくなるけど無視して、ディナスの幹部用の黒ずくめの魔導中型車に乗り込み、旅が始まる。
「その前に、魔族領について少し話をしておきましょうか。全員魔族領に来るのは初めてでしょうし」
「実は一度だけ私は来たことあるが、ここまで建物が立ち並び、発展していたとは正直驚きだ。あれから数百年経っているとはいえな・・」
「ありがとうイヴァン、だけどこの魔族領が急速に発展していったのはここ3年の話なんだ。元々魔族領は枯れた土地で、魔族達は食糧難に喘ぎ同族殺しが繰り広げられていたこともあった。」
イヴァンの話に乗っかり、ディナスが運転しながら魔族領に関しての説明を始める。
正直この話は長すぎて、旅の疲れもあってエルザとイヴァンは速攻で寝てしまったのだが、僕だけはディナスさんと話をすることができたので、その辺はまとめておこう。
人魔戦争が終わり、未曾有の最大である邪神アイテールの討伐が終わった後、新魔王ゲンム主導のもとで魔族達は再興を開始した。
前魔王ーカワサキさんを悪者にした物語は魔族間にはめちゃくちゃ反発があったらしいけど。
前魔王の頃、それは先祖伝来の土地から移動することを良しとしない魔物達の弱肉強食の世界
そこで台頭を始めたのは、元はただのゴブリンな一匹の巨鬼だった。
そこで、人狼族を、ダークエルフ族を戦いの中吸収し、機械族、ガーゴイル族と友誼を結び、孤独な幽霊族を配下に加えた。
その勢いとどまることを知らず、神龍アルフィィオスについには武器なしで立ち向かい、部下にした・・
そして、一匹のゴブリンであり、巨鬼へと進化した彼は、鬼神となり、魔王の試練を超え、全く新しい種族へと進化したという話だが・・
魔王はその真名を誰にも話さなかった。
え?魔王さんアルフィィオス倒してたの?
ともかく、そんな弱肉強食の世界を魔王が征服し、平和な世界にしたのは間違いなく魔王だ。人気があって当然であり、それを貶めた現魔王のゲンムは言葉でボコボコにされたそうで涙目。初っ端から惰弱魔王として魔族民の心に残ったそう。
そんな魔族領は、現在グリーンや各国との貿易を開始した。具体的には各国は食料、資材など。こちらは労働力だ。
魔族の圧倒的な馬力を使い、各国の新しい街ずくり、特に邪神アイテールに破壊された街などは急速に復興が進んでいる。
これが魔族と人間の融和に果たして繋がるのかは不明だし、グリーンが「労働基準法とかは後回しでいいか」とか言ってニヤニヤ笑ってる時点で、もう魔族が人間には労働力として必要不可欠になりつつあることもわかってしまった。
そのかわり、貿易摩擦として人間の大工さんと呼ばれる職業の人たちが仕事が減ったり、未だ続く魔族と人間間の憎しみは続いている。
まぁそれもあと50年ほどすれば治るという話らしいけど。
大工さんなどの力仕事の人たちの失業に関しては、「発展について来れない者は置いていく」というある意味元の世界風の冷たい雰囲気でグリーンが却下した。
そういうのの救済は国の仕事であり一領主である自分の仕事ではない!と胸を張っていた。
いや、そういうことも考えとけよとツッコミを入れたくなるが仕方がない。ラトランダ領に大工さんはいない、村人が協力して家を建てるというのが田舎街では普通だからね。
後回しになのは仕方ないね
黙祷
さて、そんな魔族達の勤労の結晶である魔族領首都、名前を「シン」と新魔王ゲンムが名付けた新しい首都について紹介しよう。
新都ゲンムの総人口はおよそ256万人、元々魔王の部下達とその家族が雑多に住んでいて開発が追いつかなかったのを、グリーン主導の元3年という月日で発展し続けた結果。世界でもラトランダ領の次に、下手したらそれ以上の首都へと成長した。
その街並みは流石グリーン主導として作られただけあって碁盤のように四角くキッチリと整備されており、大きな崖を背に3方向を壁に囲まれた魔都。
現在も未開発で、先取りして壁を作ったので壁の内側でも空いた土地が多く、それはこれからさまざまな種族が住む予定で、待ちが大量にいるらしい。
前魔王の時の問題であった食料問題についても良い「ん?食料問題?なにそれ?」状態であり、働くために様々な国に魔族が行くことで食い扶持も少し減り、暮らしは豊かになっている。
流石に娯楽は少ないものの、たまに人間が魔都に来てする英雄話は子供達に大ウケらしい。
魔族内では、「魔王とグリーンが邪神を退けた」という物語が既に作られているとかいないとか。
それらは全てグリーンの言葉で証言も取れているらしく、神殿からの反発も多少はあったが、その魔族領発祥の英雄物語は世界中でヒットしたらしい。
印税めちゃくちゃ貰ってるだろうな、グリーンだし。
ともかく、一般庶民が普通に木造建築に住んで、普通の暮らしができているこの環境は、かなりすごいことらしい。
ディナスさんはこの現状をとても喜んでいたし、グリーンにはここで魔族の役に立っててくれと言われているらしいから。ディナスがグリーンの傘下に入る日はまだまだ遠そうだ。
魔族領は、これからも世界のモデルケースとしてこれからも更に発展を続けていくだろう。
実は、クロムウェルとの話し合いで、魔都に色々と仕掛けをグリーンが施しているらしいが、それが発揮されるのは、もう少し後の話。
新魔族データベース
クロムウェル
幽霊族
人間の世界では有力な貴族だったので、幽霊族となり形が不変なものとなっても、貴族超の服装をしており、金髪に緑目のスペクタクルズ眼鏡キャラさん。
同僚にケテルマルクトがいる。
能力「21グラムの魂」
能力効果は不明、魔法によるものか技術にやるものかすら不明なその能力は、魔族でも前魔王のカワサキさんしか知らない。
性格は慎重で石橋を叩きすぎて壊すほど。アスクロル戦でも、サポートに接して直接戦闘に加わらなかったが、戦闘能力は果たしてーー??




