激闘、アスクロル
メタルクウラ並みの絶望感が一同を襲うー
[1週間経過]
その後、僕たちは頑張った。
すごく頑張った。
僕?あーなんか勘違いされていそうだから一応言っておくが、神器がない僕なんて恐らくこのメンバーの中というか魔王軍幹部さんの中でも中堅の強さしかない。
王国騎士さんにも勝てないんじゃないかな、いや流石に勝てるか。
異世界転移する際にフレイヤさんにもらった加護は、確かに僕に力を与えたが、所詮は一般人に勝てる程度。普通よりも遥かに上の身体能力を彼女は与えた。あと言語諸々。
だが神器は別格だ
神器は神を打ち倒すものであり、それが1つでもあれば神への対抗手段になり得る代物。それを5つも持っていればそりゃ本体のアイテールさんにも勝てるわな。
本気じゃなかったとか言ってたけど、気のせいですよね?
ともかく、グリーンのスーツを着ていようがなんだろうが僕は弱い。道場剣術を多少嗜んだ程度では、この世界の面々には絶対に勝てないのだ。
あ、師範なら別かも知れない、師範ならね
ともかく、現在の状況を説明しよう。
イヴァン、エルザ、アルフィィオスさん、ディナスが主導でアスクロルを殺し
僕、クロムウェル、ウォーカーさん、ヴァルケンがそれのサポート。
クロムウェルの提案で、そんな感じでアスクロルを魔族領の外へと追い出す作業。とんでもなくしんどかった。
てか、アヌビスの使いまだ!?
1週間過ぎたんだけど?
「いや、もう流石に疲れたんだが」
「ブレスも吐くのに余力を使うからな」
「もー疲れた!今はレッドだっけ?いいわキセキ!なんとかしなさいよ」
いや無理言うなよ・・。
アスクロルの触手の1つを綺麗にかわす、流石にもう攻撃が当たることはない。
アスクロルの咆哮ビームは、ヴァルケン率いる猪頭将軍の壁か、ウォーカー率いる機械族の面々が防いでいる。
まさに完璧だった。
[2週間後]
崩壊した
ヴァルケンが冗談抜きで死にかけるほどの重傷を負い、その後ウォーカーも倒れた。
長を失った魔族の軍団は烏合の集でしかなく、アスクロルによって無意味に惨殺され続け
これ以上は無駄だとクロムウェルによって作戦から外された。
というか毎日あの攻防の余波を止めて無事で済むわけないので、普通に頑張った方だと思う。
お陰で魔族領の一部は散々な目に遭っている。これまでの攻防で機械族の家までは無事だったけど
周りの森は崩壊、今まで無事だった機械族の居住区一歩手前まで近づいて来ていた。
押し返すためにみんな必死で戦ったからこそ、まだ居住区は無事なのだろう。
お陰で全員ボロボロだけど。
おしゃべりなクロムウェルまでもが無言になってしまっており、完全に黙ってしまった。
魔族陣営は完全にお通夜のような雰囲気で、ただ時がすぎるのみを待っている。
これから数刻の後、彼らの行為は報われる
ーー彼はいつも「そんな時に」やって来る。
それは狙っていたかのように
逆に言えば彼は、人々がどうしても必要な時にしか現れることができないのだ。
彼という生き物は、自分の手が届く人間全てを助けようとして、結局全てがギリギリなような、そんな男だった。
泥沼とも言えるアスクロルとの戦いの中で彼は現れる。それはまるで一瞬の出来事で、誰かがこれは幻覚だ、まやかしと言われても信じてしまいそうな奇跡だった。
その人物は、魔族であれば誰もが知っていた。
魔族の中で猛獣使いを指すビーストテイマーという職業が人間の中に少しだけ普及した時、彼らは鼻で笑ったものだ
「なんと低レベルな」
「彼から何を学んだのだ人間どもは」と
やがて人間の冒険者の中では絶滅危惧種並みの人数しかいなくなる猛獣使いは、人であるからこそいけないのだ。
彼は魔族だった、エルフの。
全ての種族と手を取り合い友となろうとしたその男は、現在、厄災の創世の四聖にたどり着いた化け物に向けて手を差し出す。
この瞬間、この時こそ我がものかと言わんばかりに




