復讐の狂エルフ
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「な、一体彼は何者ですか!?」
エルフ...俗に狂エルフと呼ぼう、狂エルフの咆哮に思わずイエローは耳を塞ぐ、その咆哮は神殿全体に広がり、音の振動のみで神殿を揺らし始める。
「giiiiiii!!」
「理性が完全に蒸発してますネ、森の知恵者の見る影もなく。お兄様が探してましたヨ!」
フォルテとエルフは打ち合いを始めているようだ、イエローの目にすら断片的にしか映らない撃ち合いを始めている。
フォルテの武器が舞い、狂エルフの拳が荒々しく床に、壁に激突する。
この場は一瞬にして危険地帯と化した。
だがこれは、チャンスですな!
目を光らせて部下達を見やる、部下達も思い思い動いてはいたが、負傷している者などはいない。
敵が? (狂エルフ誰?)お互いに激突しあっているうちが、部下たちを逃がすチャンスですな!
「総員退避!脱出を始めなさい」
そう言った瞬間、メンバーは先ほど来た道を戻り始める。
「行かせると思っているのですカ?!」
狂エルフと相変わらず撃ち合っているにも関わらず、フォルテがメンバーに攻撃を加えるようとする。
懐からフォルテが取り出したのは、クナイだった。
片手で持てるタイプの小さいクナイを、出口に向けて走り出しているメンバーに向かって投げた。
「させる訳には!」
そう言って、首筋の急所に投げられたクナイの数々を、イエローは自分のナイフで弾く。だがそれが限界、自前のナイフがボロボロとなり、最後のクナイを弾いた瞬間、ポッキリと折れてしまった。
クナイを投げている隙に狂エルフを吹き飛ばしたフォルテが、イエローに肉薄する。クナイは品切れなのだろうか。至近距離の拳を放って来た。それを交わすと、足払いでバランスを崩しにかかる。
避けられず、その払いをまともにくらいイエローは倒れ込んでしまった。
まぁ、当たり前なのですがな。
イエローは自らの行為を特に反省せずに受け入れる。グリーンに要請したこのスーツの能力は、あくまで様々な環境に対応できる特殊なスーツであるという点を除けば、耐久性などのみを取ればこの世界のフルプレートにも劣る代物である。
だが、ここからだ。ここからが、この装備の真価だ!
「死ねぇェ!」
フォルテの拳がイエローに迫る。ドゴン、という音がして、神殿の床はひしゃげるように凹んだ。
「なんだト?」
そう、イエローは消えていたのである、拳は神殿に深々と突き刺さり、床を完全に破壊していた。狂エルフの攻撃を捌きながら、フォルテは考える。
(かわした?それにしてもここから脱出しているほど、彼が実力者であるようには見えなかったがナ)
狂エルフの手刀を、フォルテは真剣白刃取りで受け止める。そうしながら、自分の膝を狂エルフの腹へと決めるため、足を振り上げようとしていた。
その時だった、フォルテは死を覚悟した。殺気を感じたわけではない、彼が長年生きて来た中で培って来た勘であった。
しかし、そのたかが勘に従い、フォルテは自分の有利な状況を解除し、狂エルフから距離を置こうと離れる。
その行動を起こした、瞬きほどの隙間の間に、イエローの渾身の抜き手と殺気が、フォルテを襲った。その手刀はフォルテの右頬を鋭く切り裂き、大量の血を吐き出させた。
「危ないネ!直撃なら死んでたヨ!」
更に後ろに下がりながらもフォルテはそう話す。実際、彼の頬に一筋の汗が流れていた。
もし後方に下がっていなかったら?恐らくイエローを捉えるのが遅れ、今度こそ致命者を喰らうことになっただろう。
「ううむ、アイテールの「イディオム」を真似た者だったのですが。失敗してしまったようですな」
「そのスーツか、自分の姿を消せるとカ?」
「少しだけ違いますな、背景の色と道中する技術。儂の世界で一部使われている技術ですな。『量子ステルス』と言う技術です。」
そう言うと、イエローはスーツを使って自分の下半身のみを消してみせる。
つまり、先程フォルテに消えたと勘違いさせたのは、スーツのこの機能だったと言うわけだ。
「そのスーツも欲しいナ、その機能を見せないために、わざとダンジョン攻略ではそんなに戦わなかったのカ?」
そう、実はイエローはスーツに仕込まれた能力を見せないため、わざと戦闘を避けた。ナイフで消せるモンスターのみを消したいた。
「そうですな、まぁこうしてネタバラシも済みましたし。そろそろお暇しましょう」
「・・させると思っているのカ?」
そう言うと、明らかに殺気を膨れ上がらせたフォルテが、扉を背にイエローと対峙する。本気の本気、下手をすればこの遺跡が壊れても構わないほどのレベルで、イエローを仕留めに行っていた。
「gaaaaaa!!!」
しかし、その隙を、フォルテが一点に集中した僅かな隙を狂エルフは見逃さなかった。爆音とともに狂エルフの蹴りをもろに喰らったフォルテは、壁に激突する。
「しばらくはそのエルフと戯れてなさい、では」
そう言うと、イエローは全速力で来た道を戻り始める。
消えた神器はどこに行ったのか?
あの、謎の狂エルフは何者なのか?
我々に謎は多い、だが緊急事態だし仕方ないですな!そもそも、今回の事案は神器が存在しない時点で解決済だ。
イエローはついでに遺跡を爆破させながら、走って帰路に着くのだった。
◇◇◇◇
やれやれ...どうして私の計画は全て上手くいかないのでしょウ。
彼を殺すことも失敗、目の前には神の弟ぎミ。
溺愛している弟君に傷をつけられたとあっては、流石の温厚な彼でも、殺されてしまいますからねェ。
フォルテは、イエローを取り逃がした後、例の狂エルフと対峙していた。狂エルフは相変わらず徒手空拳、しかしその一撃一撃は間違いなく格闘家のそれだ。この世界に格闘家はほとんど存在しない。武器を所持した方が強いし、格闘でも強い人間はいるが、わざわざ格闘家と名乗ることはない。そう言う人間は大抵、武器持ちで名を馳せて、徒手空拳をもついでに極めた人外の者たちだ。
私と対峙している人モ、その一人ですネ。
エルフ族の王、それを影から支える献身的な学者肌の弟。だがその関係はある事件がきっかけで崩壊する。
弟は、自らの知性と理性を生贄に、神に迫る強さを手に入れた。
それが彼、神7柱の弟
「ウェザー・・・・」
イエローを深部まで誘い込むことには成功していた、だが、こんなところにコイツがいたなど、誰が想像しただろうカ。
私の計画はいつも失敗ばかりだ、国を反映させようとして国を滅ぼシ
人に栄達を味わせようとすれば、それに溺れて死ヌ。
私が惚れた主君はロクな末路を迎えなイ、これは最早呪いだ。だからこそ、今回の計画だけは、なんとしてでも叶えてやらねばならない!
愚かな主君を助けてやらねばならない!そのために神器が必要だったのに・・・・。
「ははぁ〜わかりましタ、貴方が待ってるんですね。神器を・・」
フォルテはふと、ウェザーが上着の下に仕込まれた魔力に気がついた。その波動は、明らかに神器によるものだ。
都合がいい、それなら奪えばいイ、いつものことダ。
私はウェザーに踊りかかると、予備でとっておいたクナイを2本懐からだし、乱撃を加える
「よこせよこせよこせよこせよこせ寄越せ寄死ねぇェ!」
乱撃の衝撃で、床の衝撃で埃が立つ。その視界が晴れた時ようやくフォルテは、自分の乱撃が全て防がれたことを知る。
ウェザーは、一本の杖を持っていた。その杖は戦闘用ではない、よく老人が杖をつくときに持っているあの短く細いただの杖である。その杖は何も光っておらず、ただの木でできた杖にしか見えなかった。
しかし、それは間違いなく神ギ!
天候を操る神器「ヴェザエリア」
奇しくも似た名前は実は作成ジの、いやその逸話はやめておこウ。このヴェザエリアに一切認められていなイ、神器の適合者ではなイこの男のなんと滑稽なことカ。
いいだろウ、ならばお前を倒しテ神器を奪おウ。私の計画のためにハそれが必要なんダ!
「gugiiiiii!!」
杖を乱暴に振りかぶり、ウェザーがこちらに接近してくる。
この少し後、A +ランクのダンジョンである海底遺跡
「ウォルドロン」は完膚なきまでに破壊された、その後港にBランクモンスターが多数出現し、ウォルテシア国の軍団が出撃する羽目になるが。それはまだ少し先の話である。
ウェザー
種族名ハイエルフ
神7柱の弟、兄はエルフに信仰されている神様。
元は
学者肌のイケメンだったが、ある事件がきっかけで自らの理性と知性をかなぐり捨て、強さを手に入れた。
強さはヴィヴィ、フォルテと並ぶ。




