2人の乱入者
ダンジョンパート、あっさり最深部
あら、神器がない
「なるほど、どうやらここが深部で間違いないようですな」
イエロー一行は、本当になんの障害もなく、深部、つまるところこれ以上奥地のない場所についてしまった。
いや、何にもないんですけど!?イエローは頭を抱える。この部屋も、今までの部屋と同じくローマ風芸術品が、外の薄汚れている場所と違い綺麗に保管されており、部屋も美しく、中央には何も置かれていない台座がある。だが、今回の目的である、神器級の武器は、存在しなかった。
この神殿は未踏の地域などで、何層あるなどという詳しい記述は控えたが、はっきり言って階段的なものがない。
つまり、扉を開いて真っ直ぐ美しい彫刻と魔物がのさばる真っ暗な闇を突き進んだ結果、先のない行き止まりの場所についた。ということである。
恐らく、暗闇でなんとか把握できるレベルではあったが、このダンジョン特有の魔法陣で、真っ直ぐ進んでいるだけなのに下へと進んでいるという仕組みなのだろう。
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入
↘︎ ←イエロー達 り
口
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←イエロー達
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図解するとこういうことである、多少の分岐点はあったものの、全てのルートを探索したが、結局はこの最深部に落ち着く。
魔物は全て海魔系のもので統一されていた。具体的に言うと海藻みたいなのが巨大化して動き出した新種のモンスターや、魚人のようなものまで出てきた。
魚人とは言っても、某海賊漫画でナ〇を虐めてた某サメの魚人さんのような人に近いものではなく、魚に足がついたようなもっとリアルに魚に近い化け物で、イエローが瞬殺した。
全体のランク的にはB +ぐらいであろうか?そのレベルの高さにイエローは舌を巻く。それと同時に誰一人として欠けることなく深部に到達することができたのも優秀だ。Aランクモンスターが存在しなかったとは言え全員ダンジョンへの挑戦は初めてな筈だ。
これは、予想以上に「育って」くれたと思っていいでしょう。
「イエロー様」
「なんだ」
そう言うとイエローは振り向く、仮面をつけていない女のメンバーの1人だ、彼女はイエローに近づきつつこう言う
「少し遺跡に気になる点が・・」
そう言いながら近づいて来る彼女の目に殺気は無かった。ほんの一瞬の間、その間に彼女はイエローを殺すためにナイフを抜き、イエローへと近づいた。
その瞬間、イエローの首筋を捉えて笑みを浮かべた彼女は絶句することになる。
ガチャン!
次の瞬間、隊の8名全員が、彼女の急所にナイフを突き当てていた。
「馬鹿な!」
そう『メンバーに化けた人外』はうめく、変装は完璧だった。もし彼女に母や父がいれば、絶対に本物と勘違いしてしまうほどの見た目だけであれば完璧なほどの擬態。
「仮面を被っている人間の中にだけ刺客が紛れ込んでいるというのは早計ですよ、むしろ完璧に変装をこなせる魔法などにこそ警戒するべきなのです。」
そう言うと、イエローは仮面の男たちの中の1人をちらりと見る。実はその男は王国からの諜報員、カゲなのだが気にしなくていいだろう。今のところは協力的だし。
「だが、何故わかったんだ!?」
「神殿に入る前から分かりきっていたことですよ、全く。顔が同じ、武装が同じ、なるほどなるほど、見た目は完璧にそっくりですが、『その他全てが違います』」
そう言うと、イエローは再度、全方面からナイフを突きつけられている彼女を一瞥する。
グリーンがジャックの真偽を見抜いた時があったが、こちらはそれよりも、より完璧な装備であった。性格、声帯まで完璧に把握しており、ダンジョンを巡る時に昔話をした時も軽く答えられていた。記憶すらも擬態しているというわけだ。
イエローの部下達は誰一人気づかなかった、諜報に特化したこの面々が気づかないのだ、恐らくこの世界の神を除けば、この者の変装に気づく達人はいないだろう。それほど完璧な変装だった。
いるのか?神であるヴィヴィを超える、そんな変装の使い手が・・・!!
否
いるのである、もう1人
唯一無二「人を騙す」ことに意味を見出す神が
彼の弁舌は一国を滅ぼし
彼の武術は畏敬を抱かせる
役者で、革命家で、心理学者
「フォルテ・・噂に違わぬ変装術ですな!」
「知られているとは光栄だ、神の中でもかなりマイナーなのですけどネ、私ハ」
神10柱、フォルテであった。
◇◇◇◇
「何用ですかな?」
変装を解き、ナイフから逃れた状況のフォルテに対して、イエローは軽く臨戦態勢の状態で構える。
「嫌ですネ、私ハあくまで様子見しに来ただけですよ。」
そう言うと、フォルテはケラケラと笑う。その声は神殿中に響き、反響を始めた。
「神器級の代物、やはり取られてしまっていましたか。まぁ仕方ありませんネ。あれから2年モ経ってますシ。」
「何故だ?この神殿を攻略したものはいない。つまりここから神器を持ち出せる人間はいないはずですな。」
「冒険者じゃなくても、隠された実力者はこの世界にゴロゴロ居るはずですヨ。」
「いや、人里からかけ離れた場所で暮らすという選択肢はあるが、それでもそれほどの名前が誰にも知られていない筈はない。人は人と繋がらなければ生きてはいけませんからな。そしてその情報を我々が掴んでいない筈はない。」
そう言うと、イエローは激しい殺気を放ちながら、自分のナイフを構えてフォルテに突撃する。
フォルテの方は相変わらずピエロのような独特な格好がカラフルに煌めき、そのナイフを捌いている。
「あ〜っト、私は暴力が大の苦手でしたね、平和的解決しませン?」
「どの口が言うか!」
イエローのナイフが宙を舞い、フォルテがバックステップでそれを避ける。ゆっくりと一回転して降りるフォルテには、まだ余裕があるように見えた。
「痛いじゃないですカ」
そう言うと、フォルテは自分の指をぺろりと舐める。掠っただけらしい。
(突発的に始まってしまいましたが、ここで神と戦うのは少々厳しいかもしれませんな、どこかで脱出の機会を狙わなくては)
それに、今は守るべき部下がいるのだ。最悪部下だけでも逃さねばならないが、統率の取れない状態で逃げさせても、ダンジョンの餌食になる可能性もある。それは最悪のシナリオだ
(つまり、ここを凌がなくてはないないと言うべきですかな)
イエローは、再度ナイフを構える。鍛錬は怠ってないものの、クロに比べると一歩劣る戦闘術だ。おまけに神器もないような現状だと、厳しいの一言に尽きる。
イエローが苦心し始めたのと、この行き止まりの部屋の扉が吹き飛んだのはほぼ同時であった。
最深部ということで、ドアは分厚く、大きさも3メートルは超える巨大扉だった。
そんな重い扉は、真っ直ぐに飛んでいき、フォルテの背後に迫る。
「なんですカ?邪魔しないで〜おっト。貴方ですカ」
フォルテは不満そうに、扉の向こうにいる相手を見つめる。フォルテに迫った扉は溶けるように消えた。
その男は、布で全身と口元を大きく隠したエルフだった。長い耳がその証である。このA+のダンジョンに対して、彼は武器を何も持っていない。全身はボロボロで、土埃と汚れに塗れており、ギラギラした眼が酷く印象的だった。
「gaaaaaaaaaa!!」
エルフの男が叫ぶ。
神殿が、揺れた。
神1柱 ???
神2柱 アヌビス
神3柱 フレイヤ
神4柱 ???
神5柱 アイテール
神6柱 ウルフィアス
神7柱
神8柱
神9柱
神10柱 フォルテ
神11柱ヴィヴィ
こうして見ると不明者結構多いですね。




