脱出じゃねぇなら、なんだ!?
前回のあらすじ
巨人をフルボッコにしました
木の中に入りました
閉じ込められました
「この中に閉じ込めた者の意図は?何故こんなことをする必要がある?」
暗闇に微かな光が灯る、深夜の森林の中、グリーンは独り言を言い始めた。
「あ、大将が長考始めちゃった。こりゃ長くなるぞ。レッグ、火とか起こせないか?」
「種火を作ることならできるが、この木々が生い茂る森の中で火を起こして火事にでもなれば、それこそ窒息死するぞ。」
「だよねぇ、じゃあ宝具の光に頼るしかないということか。レッグ今日は冴えてるじゃねぇか!」
「あぁ、それよりも脱出方法だ。来た穴は塞がれていて、周辺は森林。まさか木の中に森があるなんて、誰が想像する?」
「木の根元に形成されたもう1つの森林て、一体どうなってるんだ本当にこの木は。モンスターのいねぇダンジョンみてぇじゃねぇか。」
実際、ここは1つのダンジョンのようだった。索敵能力の高い、エコーロケーションという特殊技能を生まれながらに持つレッグがいなければ、グリーン達は1〜2時間は右往左往していたままだろう。
グリーンだけであれば恐らく一生ウロウロしてたに違いない。
「と、取り敢えずこうしてても仕方ない、私はこのへんで脱出の手がかりを探す。レッグは大将の護衛を頼むぞ!」
「あぁ、了解した。」
打開策の見えない中、ジャックは暗闇に飛び込んでいくのだった。
「何もなかった〜大将、諦めようぜ」
「いや、早いな!?戻って来るの」
探索に費やした時間は15分、レッグによるとこの周辺をジャックは走り回ったらしいが。結論から言うと何もなかった。
完全に詰みである。
森林などから、ここから脱出するヒントは見つけられなかった。ダンジョンなら、階段で地下に潜るなどしなくても、一気に下層に降りられるワープ魔法陣というものがあるが、それすらもなかった。
おまけに、最終手段として予定していた力ずくでどうにかできる、という手段も一切可能性がない、この森林を包む巨大な木。
グリーンの鎧についていた武器があっさりと折られたことから察するに、内部からの破壊も困難だった。
「ううむ、あのベルハイムとかいう巨人に騙されたのでは?力では勝てぬと悟りこのような搦め手に出たというのなら納得もいくが」
「おいおい、ベルハイムに私たちを殺さなきゃいけない理由なんてないだろ?レッグ」
「いや、ないがわからんぞ。我々はいつどこで恨みを買っているかも知れんのだ。」
「ふーん、そうか」
気づけばグリーンは立ち上がっていた。ポケットに隠してある、この世界で作ったライターをパチリと開ける。スイッチ1つで火が出るタイプの、グリーンにしては珍しい凝った装飾の逸品だ。
この世界には煙草はないが質の悪い葉巻は存在しており、貴族などが火をつける為にとグリーンが造らせたものだった。グリーンは吸わないが。
そのライターを、グリーンは下に向けて、ゆっくりと落とす。
「おい大将!?何してんだ!」
「一体何を・・!?」
「大丈夫だ」
不安がる2人に、グリーンはそう言い放つ。パチパチと超火力で燃やされた草は一気に周りへと燃え上がり、周りへと広がっていく。あと数分もすればここらは火の海になるだろう
「おい!このままだと窒息死するぞ、前にお前が言っていただろう。火を燃やす時にでるものは人体に毒だと、この密閉空間でそれをやり続ければ下手すれば死ぬのではないのか!?」
「その通りだ、オレはそれをお前とジャックに話したことがあったな。そうだろジャック?」
「あぁ、そうだったな。じゃあすぐに消さねぇと!」
「いや?『どうする?』」
そう言う先に、何故かいたのはジャックだった。
「大将?何言ってやがるんだ?私が何をどうすると?」
「あ?だから『もう必要ない』んだよ、どうする?次は本気でこの木ぶち壊すぞ。脅しだとでも思ってたのか?」
グリーンが顔に浮かべていたのは怒りだった、こんな真似をされ、試されるような真似をされたことによる純粋な怒りだった。
それに対し、ジャックは驚くほどに冷静だった。しばらくの静寂の後、右手を前に出し、パチンと手を鳴らす。すると、木々が火元を覆い隠し、酸素を遮断し火を完全に消した。
「見事なもんだ」
「まさかここまでとは」
グリーンが関心し、ジャックが首を横に振るう。
「グリーン、俺には意味が全く分からん」
そんな2人の間に割って入るのはレッグだ、意味がわからない。全くもってといった感じだ。
「気づかないか?レッグ、アレはジャックじゃねぇ」
「なんだと!?」
そう言うと、順次に臨戦態勢に戻ったレッグは、グリーンを守るようにジャック (?)の前に立ちふさがる。
「大丈夫だレッグ、俺たちをどうこうするつもりならもっといい方法があるさ」
「なら、何故コイツはジャックに化けている!?」
「多分、ジャックに事情を話して変わってもらったりしたんじゃないかな?落ちるときアイツが一番最後だっただろ?その時事情を話すとかしたんじゃないかな。」
「そうですね、私に化けたニュムペーに説明をして貰ってます。貴方方のご主人に危害は加えないのが条件でしたが。」
「ニュムペー・・・・ドライアドか、そうなると、オレの予想は会ってそうだな」
ドライアドとは、この世界に存在する生物の一種で、植物を利用してどんな形にも化けることができる種族である。戦闘能力は植物を操ることを主としているのでほぼ無いに等しく、普段は自らの森の管理をしている庭師みたいな存在らしい。
神聖なる木に宿るものとされている。
別名ニュムペー、オワリの国だと木々に宿る精霊として大切にされている。
「えぇ、グリーンさんのネタばらしはともかく私の姿を見せるとしましょう。」
途端、木々から葉が落ち、ジャック?の体を包む。その後出てきたのは、植物の人間の半々のような生物だった。
顔だちは美しく、12歳程度の若さが見える和風の顔立ちの美少女だったが、髪が緑一色の葉っぱの形の髪だった。服装も緑色の大きな葉でできた服装に身を包んでおり、それは端へと向かうにつれて段々と茶色く枯れて行っていった。足元は裸足だったが、傷1つついていなく、細くすっきりとした足が垣間見える。
体は12歳程度の少女だったが、服装と髪は葉でできているという特異な姿をした者が、ジャックが立っていたはずの場所に立っていた。
「初めまして、私はヴィヴィ。神々11柱目。樹木の守り手、ニュムペーの長をしている者よ。」
ハッキリと、幼いながらもハキハキとした口調でその女の子は自らの正体を晒した。
最弱の神、対面!




