グリーンと山の神、再び
グリーンの貴族としての内情は
政治 リョウトウ
交渉 グリーン
に全部丸投げです、ハンコ押してるだけです。
「来たかね、ラトランダ男爵。王都で会ったぶりかな?」
「はい、お久しぶりです。マリス辺境伯」
グリーン達は、1日宿で過ごした後、マリス辺境伯達と合流。オワリの国に到着していた。
グリーンはラトランダ男爵として最低限の挨拶を終えたあと、オワリの異常を治すつもりであった。つまり今回の挨拶の後はリョウトウ、イエローに丸投げである。
個人的に人との駆け引きは苦手ではなかったが、かといえ得意でもないので、できればしたくなかった。3年間で貴族としての最低限のマナーは身についてるとはいえ。やはりこういう交渉ごとは、イエローに丸投げで決まりである。
マリス辺境伯は、イエロー曰く「2流」の貴族である。アストルフのような一流でもなく、とは言っても馬鹿で無能な訳でもない。むしろ、こういう存在こそがイエローこそ厄介であると語る。
自らの利権を追い求める彼らの心は、時に度し難いものがあるかもしれないからだ。
(ま、オレにゃ関係ないけどな)
オレはマリス辺境伯から出された手を力強く握りながら思う。交渉ごとは自分はしない、そう自分で決めていれば楽なこともあった。
「ところでグリーン殿、魔導車の貿易のことについてですが」
「辺境伯、今日は視察に来ているので、また今度に」
「お、それもそうか、ではまた今度」
そう言うとマリス辺境伯は他の貴族からの挨拶を待ち始め、オレは足早にこの場を去る。
何考えてるか分からん奴とかとずっと話なんかできるか!これでイエロー目線2流?一体どーなってやがるんだ!
これは戦略的撤退だ、そう思いながら、グリーンはオワリの国会場を離れていった。
◇◇◇◇
「オイオイ、なんでおめ〜がここにいるんだ?」
「ふむ、これはまた異なることを。山の神が山におりて、不自然なところがあるか?」
「だからってよぉ、いるたぁ思わないだろ?戦うことになるたぁ思わないだろう?」
グリーンはそう言いながら目の前を見る。丸々と太った腹、5メートルはゆうに超える身長。あの時持っていた大斧はなく、丸腰で構えている。
「なんでいるんだ、巨人族の王、ベルハイム...」
そう、この世界に来て2度目の戦い、あのアルノ領の内乱時に戦った山の神、ベルハイムがそこにいた。
時は数刻ほど遡る。グリーン、ジャック以下一団は山の中をすいすいと進んでいた。
ファムルスはコレットの護衛もといお菓子を食べていた。幸せなヤツめ。
後で殴りに行こう、グーで、本気で。
既に地図を見る必要はなかった。目指す場所、目指すものは、既に見えていたからだ。報告にあった巨木は、それからも成長を続け、既に天辺が見えなくなるレベルまで成長していた。
オワリの国からでも十分に見えるレベルではあったが、未だ調査隊が派遣されているのみで、伐採というところまで達していなかった。それどころか、これがどのような種類かも判別できていなかった。
(いくらなんでも対応が遅すぎるだろ、この野郎)
オワリ国の面々のお気楽さに歯噛みしたいレベルではあったが、あの巨木が全ての土地を枯れさせるなど、夢にも思ってないのだから、責任を追及することはできない。何せ前例がないのだから。
ともかく、進むしかない、フレイヤからの加護で身体能力の上がっているグリーンが、ジャックと共に森林の中をどんどん進んでいく。
格好は辺境伯に挨拶した貴族の礼服のままだ
「サッサと終わらせる!」
そう決意していたための奢りか。果たして
「ついたぞ、大将。ちゃっちゃと切って終わりましょうや!」
「あぁ、やっとついたか・・」
木の前まで到着しても、ジャックもグリーンも汗ひとつかいていなかった。ただグリーンは泥だらけであった。
道中転んだためである。
「大将、泥...」
「黙ってろ」
正直恥ずかしいので、あんまり追及しないで欲しい。
(報告にあった通りだ、こいつは自衛手段を持たない。切る道具さえ持って来れば容易に切断することが可能だ。)
木の本体を見て、グリーンは自分の想定が正しかったと確信する。巨大で、驚異的な力を持つ木ではあるが、某ゲームのように動き出したり、毒の粉を撒いたりすることはない。
この木自体はあくまでその辺の木と大差ないのだ。
この木自体には、だが。
ズシン
地響きがした、グリーンは足がもつれ、少しばかりよろける。ジャックが武器のナイフを握り、その場を確認したその瞬間。その化け物は現れたのだ。
「リベンジだな、我は巨人族の王、ベルハイム!来い!今度は試すことはない。互いが死ぬまでの戦いだ。」
そう言うと、ベルハイムは構える。上半身が裸で、下半身にズボンを履く。それ以外は何もつけていない。武器もなく、素手で戦う。
武器がないことが何を意味するか、本気ということだ。手加減の様子はない。あの時のクロのように試すような殺気ではなかった。
完全に殺しに来ていた。
「いいだろう、異世界トンデモ野郎が相手なら、こっちは最大限「オレの実力」を出させてやるよ、おい!」
そう言うと、後から来たグリーンの部下が持っていた荷物が開き、中からグリーンのアーマーが開かれる。
アーマーは、あのレッドと共に着た、あのゴテゴテの装備であった。
アーマーは自動装着式だ、ものの2秒程度で、グリーンはアーマーをつけた姿へと変貌を遂げる。
身長4メートル強、ベルハレムより頭一つ小さい程度だ。
「行くぞ、バケモン。オレは、クロを超えたぞ!」
「来い!」
科学の化け物と、異世界屈指のモンスター。
お互いの拳がぶつかり合う。
激闘が、始まった。
グリーンの科学力vsベルハイムの剛力
あ、ベルハイムはウォーカーより強いよ




