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外伝8 グリーンの改革

2部で活躍する主要人物大集合。

ガタガタッ


乗り心地の悪すぎる馬車に、グリーンは顔を顰める。これで何度目の揺れだろうか、いや、馬車だけのせいではない。この道にも問題がある、でこぼこで、ろくに舗装もされていないこの道では、馬車との相性は最悪だろう。


乗り物も悪けりゃ道も悪い。今後の課題だな・・


そんなわけで現在馬車にはグリーン、エルザ、アイテールのみ。


ん、何でアイテール付いて来てるかって?勝手に。


「私も行くぞ、お前が何をするか見てみたい。安心しろ、少しなら手を貸してやってもいい」


「いや、いらねぇわ」


「・・・・安心しろ、少しなら手を貸してやってもいい」


「いや、いらねぇんだけど。神の仕事?とやらでもやってこいよ」


「・・安心しろ」


ということで勝手に付いて来た。


まぁ、本職が地質学者で、そういった面では役に立つとは思うので、精々こき使わせてもらうか。


「もうすぐ、ご領内の館にお付きします。これからよろしくお願いします、領主様」


「ああ、わかった。」


御者にそう言われ、ぶっきらぼうにそう答える。少し眠い、それもそうだろう。目の前で寝ているエルザとアイテールを尻目に、オレはずっと領地の改革のやり方を考えていたのだから。


なぁ、イエロー


オレ、ちゃんとやれるのかなぁ?










「わぁ・・」


「うぇ、マジかよ」


「同じ顔!すごい!」


「は.はぁ!?」


「ご主人が2人いるだと・・」


そんな一挙一動の反応を見せるのは、この世界に来てともに得てきた仲間達だ。


上からエルザ、ジャック、ファルムス、アストルフ伯爵、イヴァンである。


王都から領地へと旅立つ前、「話がある」として、いつものメンバーを集まることができた。アストルフ伯爵は、いたからついでにな。俺が2人いることを知っているなら、色々と「やりやすい」だろうしな。


アストルフのオッサンにとっても、勿論俺にとってもだ。


「アストルフのオッサンには、ライトやベリアスなんかの首脳陣にこのことを教えておいてくれ。そうしてくれた方がやりやすいところもある。」


「あぁ、わかった。だがグリーンが2人は少々わかりづらいな。」


「ホッホッホ、私「イエロー」と呼ばれておりました。これからは皆様もそうお呼び下さい、いやいや、皆様からイエローと呼ばれるのは嬉しいですな」


そう言うとイエローのオッサンは恭しくアストルフ伯爵に頭を下げる。


なんと言うか、実物で見るとイエローのオッサン、完全に胡散臭いジジイだよな。肉体年齢同い年なのに。


「そ、それで私とジャック氏はなぜ呼ばれたのですか?」


「あぁ、俺とデブが呼ばれたのは?」


「あぁ、2人には実力的にも俺の団を引っ張っていってもらう必要があるからな。一応知らせておこうと言うことだ。前に聞いただろ?俺についてくる気はあるかって」


「あ〜聞かれたな、ついて行くぞ、大将。」


「ついていきます!エルザちゃんがいるならどこまでも」


「おう!サンキューな!」


グットサインを2人に出しながらグリーンは言う、将来的には戦力を更に蓄えないといけない可能性もある。少しでも強い奴は大歓迎だ。


「イヴァンは来いよ」


「勿論」


ん?それ以外にもイヴァン何か言いかけなかったか?気のせいか


「よし!それじゃー解散!次に、領地改革に話を進める!都合のいいことに領主を勤めているアストルフ伯爵がいる!彼に色々と話を聞いていこう」


「あぁ、先輩として色々と教えられることがあるかもしれない。任せてくれ」


以外、長きに渡る付き合いとなるこのメンバーの語らいは、陽が昇るまで続いた。


アストルフ邸、その一室で行われたその語らいは、やがて大陸全土を巻き込んでいくようになる。





「それで、エルザさんは行かないんですか?グリーンと一緒に」


「えぇ、だって誘われなかったもの」


ぶっきらぼうにそう答えると、エルザは若干乱暴とも言える仕草で持っていたティーカップをテーブルに置く。


この庭は、アストルフ邸自慢の庭だ。邸の主人であるアストルフ伯爵の内面を表現するかのように、キッチリと整えられたこの空間は、見ていると身が引き締まるようでエルザには少し落ち着かなかった。


落ち着かないのは、別のことが原因かもしれないけど。


隣で紅茶をすすっているのは、グリーンが王城に詰めている間、話し相手になってくれたコレットだ。


「なんでグリーンは誘わなかったんでしょうね。」


「知らないわよ、別に・・・・」


「これからどうするんですか?」


「まだ決めてない、あまり長居するのも悪いから、ここは近いうちに出ていくけど。」


「そうですか、グリーンも居なくなって、エルザさんも居なくなったらまた家が寂しくなってしまいそうですね・・」


「また来るわよ、ごめんなさい。でも行かなくちゃ」


そう言って振り向くと、寂しげな顔をするコレットの姿が目に入った。旅に出て、無事に合えるのはいつになるだろうか。10年後か、20年後か、交通網、情報のインフラが全く発展して居ない時代だ。


旅で事故で会い、2度と会えないというケースは当たり前のようにある。そのことを考えれば、寂しげさを感じるのはある意味当然と言えた。


「全く、絶対また来るから。土産話、楽しみにしててよ」


「わかり・・ました」


納得いってなさそうな顔だ。ま、仕方ないか


ドタタタッ!!


そんな女性2人の前に、まるで転がるように馬車から出てきた男がいた。グリーンだ


「あら?グリーン、確か今日が出発だって」


あと数刻で王都の門に行き、受付をしなければいけない筈だ。既にアストルフ伯爵や、コレットとの別れは済んでいる筈である。


それなのに、何故ーーーー


「いやいや、そりゃ来るに決まってるだろ!エルザなんで来ないんだよ?」


「え、だって、私呼ばれてないーーー」


「お前は来るだろ?」


「ジャックやファルムスが呼ばれたのは」


「そりゃお前、あの2人にも意思ぐらいあるだろ、確認ぐらいするわ。でもお前とイヴァンには聞いてねぇよ。どーせ黙っててもついて来るって、イエローの爺さんも言ってたしな。それとも何だ?行かないか?」


あぁ、そうか


もう既にグリーンのなかでは「当たり前」なのか


私と、イヴァンはもうーー『仲間』なんだ


「おい、どうした?行かないのか?」


「うぅんーー行くわ、一緒に行きましょう!」


「それでこそだろ!乗れよ!」


アストルフ邸宅の前にある馬車。そこにエルザはひらりと飛び乗る。準備は何もしてない、けどグリーンのことだ。抜け目なく用意してくれていることだろう。


ドアは閉められ、馬車が出発した。窓から、コレットの姿を見る。


コレットは、グーサインを出して、微笑んでいた。


ありがとうコレット。私、グリーンと一緒に行くわ。


彼がこれからやろうとしていることの大半は私たちには理解できないことばかりだった。それでも、彼がやろうとしてることがとてつもないことであることは、アストルフ伯爵を見れば一目瞭然だったわ。


これから、彼はどんなことを始めるのかーーエルザはそれを見守って行く。

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読んでくれてありがとうございます! これから全10章、毎日投稿させていただきますので、是非よろしくお願いします @kurokonngame くろこんでツイッターもやってますので、繋がりに来てください。
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