外伝2 創世のガンダルヴァ
外伝その2
新皇帝ベリアスvs創世の四聖ガンダルヴァ!
「え〜じゃあ、そんなことのために俺とやるのぉ?」
「はい、よろしくお願いします、ガンダルヴァ様!」
自らの旗槍をガンダルヴァに強く掲げ、ベリアスは力強くそう答えた。
自分は王位継承権を放棄し、皇帝の娘であるマナと婚約した。マナとの婚約は王国の王子として、そして神器使いにとって最善手とは言い難い結果だ。ガウェインは自分に王を継がせる気満々だったのに、他国の姫に渡ると言うのだ。まぁ当然の話だろう。
帝国は魔族に襲われて一度滅亡した、そのため、帝国は王国の実質参加として入り、海洋国家ウォルテシアと同じく王国の属国として組み込まれることになる。
第1王子が帝国の皇帝となることで帝国内部の反発も大きくなることは予想されるが、予想をしていたよりも反発はなかった。
「世界を救った英雄が、うちの国の姫様を見初めてこちらの味方になってくれるってよ!」
「おお、それは心強いな!」
という話になっているからである。なんとも都合のいい話になってしまっているが、噂なんて所詮そんなものである。帝国内で反乱なんか犯されてはたまらないので、この噂はベリアスにとってもありがたかった。
「私は、貴方様に試して欲しいのです!私が私のために通したわがままは、正しいことなのかどうか。人間の守り手、ガンダルヴァ様への挑戦権!これこそが私が貴方に求めることです」
「う〜ん、それを判断するのは僕じゃないと思うがね〜。君が満足するなら・・・・いいだろう、ガンダルヴァ、音楽、詩、娯楽、愛の神、人の見守り手。来なよ、人間」
「はい!」
途端、ガンダルヴァの体が巨大化し、アイテールとの戦いの時と同じスタイルへと体を変化させる。
勢いそのままに、ガンダルヴァのギターのような楽器が、ベリアスの旗槍と激突する。
ここは王国から少し離れた荒野、見届け人は誰もいない。
王が王になるための戦いが、始まった
◇◇◇◇
ガギィン!
ガンダルヴァの楽器と、ベリアスの神器がぶつかる
「ぐはっ!」
「んん〜?弱すぎる、本当に神器なの?これじゃあ宝具にも劣る代物だ。本気出してたら胴体ごとぶっつぶれてたよ、君」
ガンダルヴァの言った通り、ベリアスの神器はとてつもなく脆弱だった。鍔迫り合いにもならずに上体ごと吹き飛ばされたベリアスは、草原の岩にぶつかり、呻く
「あぁ!そうか、君の神器シャルトスの能力は信頼するものに能力を与える能力。弱くて当然か、それとも当人の能力不足?」
「くっ...」
「神器は、人間という種族に限っては10本も所持し得ない代物だ、それを持っているのは未熟な王。・・・舐めてるのかお前。迷いがあるまま俺の前に立つか、俺は、私は「創世の四聖」だぞ...!!」
ガンダルヴァはそう言うと、手にした楽器を掻き鳴らし始めた。
『マナ・スタンビート・・フォルテ』
「体が重い・・・何を!?」
「敵への状態異常と私の能力強化の2度がけだ。気が変わった。創世を愚弄した罰だ、お前は新しい王に相応しくない、ここで死ね。」
途端、ガンダルヴァの腕が肥大化を始めた。その一撃は彼の能力を限界まで引き上げていく。その腕を、楽器を、ガンダルヴァは縦に振り下ろした。
ズガァァッ
その一撃は、曇り空だった王都の空を2つに割り、晴天を覗かせる。地面が割れるこの一撃を
ベリアスは受け止めていた。旗槍を横に向けたまま、足を踏ん張ってその一撃を受け止めていた。
「ここから私は歩いて作る!私の、私自身の帝国を!半端?未熟?上等だ!這ってでも前に進む、これが父と交わした私の約束だ!」
その目には幾ばくの曇りもない。パンドラの箱に閉じ込められていた時の弱気なベリアスはもういない。いるのはただ1人の皇帝
国の名は、人魔帝国カイスウェリア
皇帝の名を受け継ぐその男の名は
ベリアス・カイスウェリア
神器を持つ男である
「・・・・あっそ、ならその気持ちで民を守ればいいよ。ベリアス。協力は惜しまない、約束だからね」
そう言うとガンダルヴァは元の姿に戻る、やれやれと首を振りながらもその姿は爽やかだった。
「ガンダルヴァ様・・まさか、私の決意を聞くためにわざと?」
「どうだろうね?だが本心は聞けた、本当に今は面白い人間が多い。詩が書きたい気分だ!今日はここらで失礼させてもらうよ!」
「ちょ、ガンダルヴァ様、今日は土地の修復の魔法をかけてくださる約束では?ガンダルヴァ様ーーーっ!!」
創世の四聖、ガンダルヴァ
彼はどこまでも、自由な男
ガンダルヴァ
(良かった、流石に神器でぶっ刺されたら死ぬし...)




