助けた彼女の背中に、もう翼はない
登場人物が多いぞ〜
前半
アストルフ
コレット
エルザ
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後半
エルザ
グリーン(レッド)
イヴァン
これです
その剣は、砕けた
なんの脈絡もなく、剣を振り下ろした天使でさえ、振り下ろした後、自分の剣に血がついてないことを確認してようやく自分の剣身がなくなっていることに気づいたほどだ。
「お父様!助けを呼んで来ました」
そう言いながら、愛娘が自分の元に駆け込んでくるのを、アストルフ伯爵は確認する
そして...天使の横に、先ほどまではいなかった少女がいるのを確認するのだった。
「グリーンに守ってくれって言われたから来たけど...ここまでピンチだとわね」
その少女は、グリーンと同じ、珍しい黒い髪、白一色のままな、まるで天使達と似たような服を着込んでいた。美貌を除けば一般人とさして変わらない。しかしその少女は剣を持っていた。
刀身は薄く銀色の輝きを放っている
ゆっくり天使から離れながらアストルフとコレットを庇った姿で、アストルフはこの娘が天使の剣を砕いたのだと確信した。
「き...君は一体?」
「ん?グリーンに守ってって依頼されたただの女の子よ」
そう言うと、エルザは既に抜き身の剣を大きく横薙ぎにし、天使を一刀両断した。
「ふぅ...まぁ、もしかしたら私いらなかったかもしれないわね。ほら、貴方の部下達が来てるわよ」
そうエルザが指差した方向には、猛ダッシュでこちらに駆けてくるカミーユ達がいた。先頭で走ってくるカミーユの顔は真っ赤だ。
「旦那様ぁぁぁぁ」
そう言いながら走ってくるカミーユの顔は、あまりに滑稽で、懸命だった
命が助かった安堵か、それともカミーユの顔があまりにもおかしかったのか。コレットとアストルフから自然に笑みが零れる。
そう、まだ始まったばかりなのだ。
逃げるわけにはいかない、たとえ役に立たなくとも
王都を守らなければ
この国の貴族として、最前線で戦っている王の臣下として
「よし!じゃあみんな戦いましょう!門前にいるデカイのはグリーンがなんとかしてくれるわ!あ、私の周りだけ諸事情でめちゃくちゃ天使が集まってくるから、みんな頑張りましょうね♡」
来た途端のエルザのカミングアウトに、カミーユ絶叫を漏らす
どうやら先程の天使達もよほど苦戦したらしい。
一方アストルフはと言うと、その少女に見覚えがないか記憶を巡らせている最近目まぐるしく奇異なものを見続けて来たせいだろうか。思い出すのが難しかったが、なんとか思い出した
確か...グリーン殿と話をした時に近くにいた
「エルザ殿...貴方、背中についていた羽はどうなさったのですか?」
ふと、そんなことをエルザに聞くと、エルザはいたずらがバレた子供のように笑った
「あげちゃった♡」
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アイテールにグリーンが特攻する数刻前
イヴァンで空を飛んでいた時、ふとエルザに話しかけられた。
笑顔でイヴァンの背に乗ってくるエルザの笑顔に、レッドは戦慄を覚える
エルザが笑顔で近づいてくるときって、大体ロクな間に合わないよな...
いや知らんですわ...
そんなアイコンタクトが、レッドとイヴァンの中で成立していた時、唐突にその提案はなされた
「グリーン!私の羽を受け取りなさい」
「えぇ....エルザ、それは私の存在意義がなくなる恐れがあるのですが...」
「黙ってなさいイヴァン!貴方魔王との戦いの時伸びてたんでしょ!そんなのにグリーンを任せられるわけないじゃない」
「でもエルザ、その羽って取り外しできるの?」
「ええ、一回だけね!ちなみに外したらもう一回つけることはできないわよ!羽をつける装置が負荷で壊れてしまうからね」
「え!いや日常生活で羽があるとかキツそうで嫌なんだけど」
「へー、グリーン私の羽キツそうとかそんな風に思ってたの?」
「いや、そんなことは。それに、エルザが羽無くて、どうやって戦うの?」
「なに、これがあるから大丈夫よ、私剣も使えるのよ」
そう言ってエルザは、羽から剣を取り出す
それは銀色の装飾が施された美しい剣だった
「てことで、羽を使って飛ぶ練習でもしなさい」
「そんな急に言われても」
「急にも何もないの!貴方あんなのに飛ばないで対抗する気?!飛べるのはいいわよ、楽しいし」
「楽しいかどうかが基準なの?!」
そんな間抜けなやり取りをしている2人を背に乗せ、イヴァンはため息をついた
エルザには逆らえまい、レッドは一生取れない翼をつけなければならない羽目になるだろう
そしてわずか10分後、事実そうなってしまった
「よし、装着完了!あ〜肩が軽いわぁ〜」
「......これ外せないんだよね?え、これちょっと重たいんですけど。これ一生このままとか本当?」
「ほら!男ならぐちぐち言ってないで、とにかくやって見なさい!」
「え、エルザ?ちょ落とさないでってぁぁぁぁぁぁぁぁ」
フンスという少女らしからぬ鼻息を出して「実地訓練よ!」と言いだすエルザに、イヴァンも主人の幸運を祈るしかない
「それにしてもエルザ...グリーン、自然落下して地面に激突しそうなのだが、大丈夫なのか?」
「えぇ?大丈夫でしょ、私も自然に飛び方ぐらいマスターできるわけだし......あっちょダメだイヴァン、助けに行きなさい」
「ほいほーーい」
......その後数度の実地訓練を乗り越え、飛び方をマスターしたグリーンだが、バンジーを何度もしたような恐怖から震えが止まらなかったという。
そして、エルザは今ここにいる
目的はわかっている、グリーンに頼まれてグリーンが過去に世話になった人を守る。
「でもエルザ、僕は逃げてもいいと思ってる。もう十分逃げてきたんだろう?」
あら、優しい。さっきまでバンジーに震えてた人とは思えないほどに
でもいる、私は王都に残って敵を討つだろう。
今までも、翼を渡すチャンスはあった。翼があるだけで、奇異の目を向けられることに耐えるのは辛かった。
だけどこれがなければ、アイテール(アイツ)から逃げられない。だからなければならなかった。
だが、もう逃げるための翼なんか要らない。
その責務は、きっと彼が取り払ってくれる。
だから対価として、彼の大事なものを守ろう
彼の隣で戦えれば...?そう思ったものの、そこまでは高望みしない。
それに、あんな醜悪な化け物なんて、2度と見たくないしね。
剣を再度天使達に向かって振り抜く。
防衛戦の始まりだ。
エルザのヒロイン力高くないですか
すこティッシュホールド
エルザ詰め合わせ回でした(満足な笑み)




