王都僻地で伝説と出会う
魔王編はちょっと文字数多くしすぎました
あの3部に分けられた魔王編は、実のところ2万字を圧縮したものです^_^
やりたいところはやったので、ご了承ください
とうとう主人公サイドに話が戻ります!
急げクロ!!
『主人よ!この調子なら明日には王都に到着するぞ!』
了解!と思ったら、またあそこに天使がいるではないか!
イヴァン、降ろしてくれ!
『またか!このままだと間に合わなくなるぞ!』
そんなことはわかっている!しかし見殺しにはできない!
『仕方がないか!』
イヴァンが素早く降下を始め、ブレスで敵をなぎ倒していく、クロも、「グラディウス」をブーメランのような形に変化させ、敵の首を刈り取る
おお...本当に神器ってものは、好きな形に姿を変えるのだな
(実は、クロが無理矢理力で曲げているだけなのだが、クロはそれを知らない)
あっという間に天使達は倒された。
『終わった!いくぞ』
イヴァンが助けた人々の感謝の声や歓声すらも聞こうとせず、すぐに飛び始めようとするのをたしなめる。
急いでいるのは確かだが、一瞥ぐらいはしてもいいだろう?
エルザと手を大きく振りながら、街を去っていく
その姿がその後街の人々の語り草となるのだが...
クロはまだそれを知らない。
このような事態に、大小5回ほど、既に巻き込まれている。その度に高速で敵を制圧し、去っていった。楽に天使達をいなして回っているクロだが、一般人に比べれば天使は遥かに強い。一体一体が王都の衛兵などと同等以上の力を持つ者たちだ、脅威以上の何者でもないだろう。
地方騎士数人でなんとか一体どうにかできるレベル。まともな戦闘訓練も受けてない村人ではどうにもならないだろう。
『クソっ、また村が1つ、襲われている!』
向かってくれイヴァン!そうクロは叫び、飛び立ち向かっていくのだった。
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炎の手が上がる村に降り立ったクロは、不思議な光景を見ることになる
1人の老人が、少女を庇い立っていた。
助けた村で何度も見たシチュエーションだ。子を、親や祖父母が守る。
老人は、古そうなローブを羽織り、中腰で、後ろにいる娘を庇うように立っていた。男天使の槍が迫っていく
助けなければ!!
しかしその行動は必要なかった。なんと老人は、剣を抜いたのである。緩慢な動きだ、あれでは天使には当たらない、そう言いかけたクロは、足を止めた。いや、止めさせられた。動かないのである。体が、全くと言っていいほど動かないのである。
それは、老人と相対していた天使も同様であった。しかしながら老人はゆっくりと動いている。まるで、老人以外の全ての時が止まったかのように。
老人が振り下ろした剣も、ボロボロの格好をした老人にはあまりにも不釣り合いな、立派な物であった。翼の彫刻が施されたその剣は、神器にも勝るとも劣らないほどの輝きを放っている。それはバターにナイフを入れるかのように天使を斜めに切断した。
恐らく相手も斬られたことにすら気づかなかったのではないだろうか。それほどに、斬られた天使の表情は驚きに満ちていた。
老人が剣を鞘に収めた瞬間、全ての時が動き出したかのように、クロは足を前に向けたまま豪快に転んだ。
イタタ...いや、なんだったんだ今の??
時が止まった...ヘヴ〇ズタイムか?!〇・ワー〇ド?!
そんなアホな想像をしながら仰向けから起き上がると、老人の手が差し伸べられていた。
しわくちゃの手だ、フードの中を見ても、歳を取りすぎている、と言った方が正しいのではないだろうか。少なくとも、この世界の人間種で、この老人よりも年齢の高いものはいないだろう。
皺だらけの顔の中で唯一特筆するべき点があるとすれば、それは目だ。クロのようなギラギラした目とは程遠い。無論、アイテールの、全てを平等に下に見ているようなそんな目ともまた違う。慈愛に満ちた目である。いやそんな言葉で表していいのだろうか?海のよう、と言った方がわかりやすいかもしれない。少なくともクロの貧弱なボキャブラリーでは言い表せない、優しい目を老人はしていた。
大丈夫かね、といった老人の手を、はいと思わず素で答えて取り、クロは立ち上がった。
『さて、いきなりですまないがそこの君、少女のことを見てあげてくれないかい?もしかしたら怪我をしているかもしれない』
優しい声だった、はい、と咄嗟に答えて少女に駆け寄る
少女はどこも怪我をしていなかった。
よかった、怪我などしていても、治す手段がないからな。お爺さん、この娘は大丈夫でしたよ。
そう言いながら、クロは老人のいる方向を振り返る
そこには誰もいなかった。
100部突破しました〜
ありがとう!これからも頑張ります!
記念おまけ編はもーちょい待って!!
明日やるから!




