前へ目次 次へ 26/285 山にお蚊えり(200文字 詩) 短編と統合 寒い。痒い。 爪で身体を掻きむしり痛みと痒みで目が覚める。 夜風で冷たく冷えた肌にぽつぽつと蚊の刺した痕。 こんなに寒いのに子が欲しくて山から降りてきたのか。 こんなに冷たい人の子の肌が欲しいのか。ならば致し方ない。 冷たい。痛い。 その一刺しで肌を貫き貪るように血を吸って逝くのか。 夜風を縫って相手を探す行き遅れた小さな蚊よ。 こんなにこの世は冷たいのに子が欲しいか。 これほどに寂しいのになおひと肌を求めるのか。