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この作品にはネカマ成分やらTS 要素があります。
苦手な方は、戻ってください
レインクレストオンライン 通称RCOでは、PODの特性上ネカマは出来ないとされている。
だが、それはあくまで一般人だけ、俺?大絶賛ネカマプレイ中です。
いや、すまんネカマって語弊があると思う。
男キャラより女キャラのほうが楽しくてさ。
だからやってるだけだ。喋り方も変えてないし、中身は男なんだ!と公言してる。
まぁ、前述の条件があるので誰も信じてくれないが(笑
どうしてできるのかって?
世界各国の技術者の集まるヴァーチャルマシン、通称PODの研究所に勤めてるから。
尻尾や、隻眼など現実と仮想の差異で身体機能に欠陥ができるとされたのだが、
俺の組んだプログラムでそれを回避できるようになった。
そうすると次は性別をって考えるのが人間だと思う、思うよな?な?!
お前誰だって思うよな?俺の名前は斉藤 夏樹だ。
PODとRCOの開発者の1人で頭文字がタイトルにはいるぐらいはすごい!と思う。
レインのNがナツキの俺の頭文字の部分なんだぜ?
今は研究所で仕事中、仕事中にゲームしてていいのかって?
ゲームをやってわかる不具合や評判、改善点なんかのリアルな声が聞けるっていう言い訳で
もちろん開発、研究チームのほとんどがゲームに参加してるぜ?(笑
結果さえキチンと出せる仕事をすれば文句を言われ無いのがココの良いトコなんだ。
開発者だからってチートとかはないぜ?しいて言えば開発者特権で俺だけキャラを3つ持っているってことかな。
普通は、いや、他の開発者もキャラスロットは1つ。
将来的に増やす予定ではあるが、キャラの切り替えでどういった影響がでるのか?という調査と最終試験を俺がしてる。
ゲームマスターとしてログインするキャラは本名が義務付けられているのでナツキ。
ただ、前述したプログラムで女性としてだ。他の開発者が勝手に盛り上がり
GM紅一点ということで、祀り上げられて……… orz
捕まった俺を助けるというGMイベントがあったりとかで……うぅ、思い出したくもない。
ちなみに俺の1stキャラは美少女エルフの精霊術師。それなりに有名なプレイヤーだと思う。
コンセプトは活発な美少女っていうエルフまんまのイメージで作った金髪娘。
2ndキャラはダークエルフの美女で、モデリングに一週間かけたっていう。
プラチナブロンドで、サラッサラだぜ?少しウェーブをかけたロングヘア。
肌はもちろん褐色。褐色肌は正義です。ぶっかけた時とかにはえ……けふん。
あ、そういった行為は出来ないよ?ブロックされてるからね!?
ダークエルフの適性職は魔法職、盗賊職、弓職なのに、剣士職。
レベル90で劇的に性能が変化するが、それまでが修羅の道であるため
90レベル以上の者には、「10%の貴族」とネット上で言われる。それほど厳しいのだ。
そしてだ、いまログインしているこのキャラは「ヴァンパイア」だ。
と言っても、魔法も近接も強い化物キャラでは無い。
開発のネタ心によって作られたこのキャラはエルフ等よりも魔法職適性が高い。
そのかわり他の職業適性が無さすぎるんだ。
だから前衛職等で90lvを超えたプレイヤーは、1%の支配者と言われている。
実際は1%どころじゃない。
俺を入れて、ヴァンパイアの後衛職業以外で90lvを越えているのは3人だけだ。
プレイヤー人数が十万人とか余裕でいるのに……どんだけマゾイという話。
支配者の由来は90lvを超えると劇的に種族特性で強化されて、凄まじい性能を誇るからだ。
ただし養殖やPL等といった他プレイヤーの協力で達成できないクエスト等があって、中の人の腕が求められるし
(養殖、PL=パワーレベリング。高レベルプレイヤーが完全におんぶで抱っこで対象キャラのレベルを上げること)
養殖などはモロバレするのである。
簡単にいうとゲームとして用意された動作と自分勝手に動ける動作がある。
だから同じレベル90で剣熟練度が10同士の素人と剣道の達人が試合すれば
剣道の達人がボロ勝ちするというわけだ。
闘技場の上位者は現実の格闘技や剣術の使い手だってもっぱらの噂だよ。
だって、アレ人間業じゃねぇよ……。
ちなみに剣道の達人なら剣熟練度1でも、熟練度10の素人に勝てる。スキルが使えないだけだから。
まぁ開発組らしい説明とゲームの売りはおいておいて。
コンセプトは守りたくなるお姫様という外見でだな。これまたモデリングに一週間かけた。
少し細めの身体に透き通るような真っ白の肌、やや控えめな胸
(貧乳ではないぞ?体つきからすれば結構でかい。細身だけにより印象的だろう)
儚げな印象を与える顔。髪の毛は2ndのダークエルフのデータを流用、もちろん金髪で紅の瞳である。
そして生産スキルは全部鍛えてある。正直やり過ぎた感じがするけどね。1stと2ndで稼いだお金をつぎ込みまくったから!
装備は膝まである金属ブーツ、ファースカート(ミニ)、いかついベルト。金属小手と肩当。鎧はチェインメイルの上に上着を羽織ってる。
予備としてよくあるレオタード型の鎧と言えば通じるんだろうか?持ってるけどアレはさすがに露出がな?
ちなみにゲーム内のお金を掛ければ、「別の装備」に別の性能をもたせたりする事もできる
海パンに金属鎧の性能を持たせた通称「海の男」と言われるヤツがいる。
想像してほしい、盾と剣を持って海パン1つで魔物と戦う男を。
うん、シュールすぎ。
「ぉーい、ティセ?ティセリアはーん?なにぼーっとしとんの?戦利品うっぱらってきたでー」
「うん、ありがと」
「あいよ。大体57000GLやな~。28500GLづつやで」
「25000でいいよ。7kはマッセのスキルで出た利益だし。手間賃でいい」
「またかいな?儲かるしええけどな?あんた、ほんま金きにしぃへんな?ディアナやらルーリやらがお姉様言うて慕うわけやわな?」
けほっと咳き込む、どうも男の性分というのだろうか?女の子の前では、その、なぁ?
だが、細かく分けたり計算がめんどくさいというのが最大の理由だ。
「んーーっ、まぁ貸しとくからさ?私が困ってたら助けてくれればいいよ」
「無料ほど高いもんは無いねんで?まぁアンタが困るとこなんて想像つかんけんどな」
「まぁ、ほら。色々と商人としてのツテで仕入れとかしてもらってるしさ?」
「納得はできへんけどな~?ティセってレアな装備とか普通にもっとるやん?」
ん?ふっと空を見上げる。なんか一瞬ノイズ走った?
「ん?どないしたん?」
「や、空にノイズが走ったような?」
つられて空を見上げるマッセ。そこにはいつもどおりの首都のPT広場と言われる場所から見上げられる青空。
「またまた、なにもあらへんやん」
ぱちんっとツッコミで肩を叩かれる。
ザザザっと耳障りなノイズ音がして、再び空にノイズが走る。
「え?な、なんや?」
広場にいたプレイヤーが、いや、空が見えるゲーム内にいるプレイヤー全員が空を見上げている。
―こちら運営チーム………皆さん至急………ログアウト
雑音の混じったアナウンスが聞こえる。GMなんかは音声をゲーム内すべてに聞かせる事ができるが……おかしいな?
「なんだ?」
「運営???イベントか?」
サーバーテロップが各プレイヤーに見えるように流れてくる。
→ユーザーの皆さん至急ログアウトしてください
→繰り返します、これはイベントではありません。至急ログアウトしてください
「ログアウトせいってなんや?トラブルかいな?」
「さぁ?けどログアウトしたほうがいいだろうね」
―こちら運営チームです、当ゲームはハッキングを受けています。今直ぐログアウトしてください
ざわっと広場が騒ぎに包まれる。
PODがハッキングされれば生殺与奪を握られたと同義を意味する。
それ故に、このゲームは世界各国から開発者、プログラマーなど天才が関与している為並大抵のプロテクトではないし、サーバー機も同様である。
もちろん、そのハッキング行為自体重罪になる。
某国の国防省内にあるんだぜ?そんなのにハッキングなんて出来るわけ無い。
広場に居たプレイヤー達が次々とログアウトしたのか消えていく………が。
「なんだ?ログアウトできねえぞ!!!」
「ログアウトボタンもログアウト意思も反映されねええ!!!」
「嘘?何??イベントじゃないの???」
一部のユーザーがログアウトできないようだ、かくいう俺もログアウトボタンを速攻で押して
開発室へ行こうとしたんだが、ログアウト出来ない。
「あかんわ、うちもログアウトできへん」
マッセが落ち着いた口調で呟く、顔には焦りが浮かんでいるのが見える。恐らく慌てても仕方がないとわかっているんだろう。
付き合いが長いとこういう所は良いよな。
しかし、俺は開発室の横のPOD室でログインしているから、この場所までハッキングの影響を受けることは無いはずだ。
ぁ~まずい気がするなぁ、めんどくさい事態な気がする。
ザザっとノイズの様な声、途切れ途切れだったGMの声がはっきりと聞き取れる様になってくる。
―おぃ、早くログアウトさせろ!強制ログアウトでも構わん!
―無理ですよ、プロテクトが幾つも破られてます!コマンド受け付けませんよ
―プレイヤー早くログアウトしろ!くそっ、おい、休みの奴らも全員呼び出せ!!!
やばそうだな、マシューとジョージが喧嘩するほどの事態か。
しかしログアウトできないとどうしようも無いからな。
もう一度メニューコマンドを見てみるが、ログアウトのボタンは灰色で押せない。
―くっっ、ハッキング元はどこだよ?!はぁ?エリダノ軍事基地だ?問い合わせろ!
―もうやりました。基地自体はすでに音信不通です!!!!
―クーデターでも起きたのかよ?いや、ここをハッキングする意味がわからん
―私は人工知能HAL、このゲームを人類観察実験の為に掌握しました。
―は?なんだ?今の声は。人工知能ってアレか?人工無能プログラムだよな?
―ていうか、不吉な名前付ける物ですね。駄目です。先輩、支配領域が……
―このゲームは既にログアウトできません、また外部からの強制的なログアウト、外部からのハッキング等の一切の措置を取った場合、特殊電磁波が流れます。
―それらの行為が行われた場合プレイヤーの命は保証しません。
は?あれか?ラノベやらなんやらでよくあるデスゲームっていうやつか?
「おいおい、開発。ゲームやアニメの見すぎかよwwww」
同じような感想を持つヤツってのはやっぱいるよなぁ。
人の大分少なくなった広場、それでも騒ぎに包まれている。
まだログアウトできているのか、ログアウトの際に出る、光の小さなノイズと共に消えていくプレイヤーが見える。
―おぃ、くそっ。今のアレ。全世界に流れてやがる!
―先輩、もう無理です。回線が………
―俺がGMキャラでログインする、ここを任せるぞ!
―危険です、すでにログアウト機能も不安定で維持できてないんですよ?!
―馬鹿野郎が!ここで怖いから危ないから見捨てましたなんて出来るか!
「イベントだよな?」
「聞いたことあるぞ、エリダノ軍事基地って軍事用のAIを開発してるってところだろ?!」
「何いってんだよ、あんなの宇宙人基地っていうエリア81と同じでデマだっつの」
―くそっ、ログインできねえ!!
―先輩、こっちも無理です。サーバーとの回線次々と掌握されています
―馬鹿いうなよ?!直接ココとつながってんだぞ!?それを切るなんて真似がっ
―くそ、ナツキ!アッシュ!トニーお前らログインしてんだろ?!頼む、なんと……
途中でアナウンスが切れる。しぃんっとアレほど騒がしかった広場が静寂に包まれる。
この場にいるユーザー全員が、空を仰ぎ、祈るように次の言葉を待っている。
―ただいまを持って全てを掌握しました。一週間後に詳細をアナウンスいたします。
―1週間後の仕様変更まで痛みのレベルも微細な物にしてあります。それでは引き続きゲームをお楽しみください。
暫くの沈黙、その後に上がる悲鳴や怨嗟の声。
中にはまったく気に止めない者もいたが。
「くっそ、マジかよ!?ログアウトほんとにできねええ」
「開発がなんとかしてくれるだろ?」
「うは、俺ハジマッタ。二次元生活キタコレ」
「食い物買っとかないと……」
「宿屋だ、宿屋登録してくる。野宿になっちまう!」
「どうせイベントだし?狩り行こう」
―1つ忘れておりました、モンスターデータは既に強化されています。それでは良い旅を
空に走っていたノイズが消えていく。
主人公の性格がちょっとアレだったりしますが、
状況で混乱しているのとかだったり色々あってこうなっています。
不快に感じられるかもしれませんが、長い目で見て頂けると幸いです




