89.チョロい女
マリンのいる人魚の里とやらにいくことになった。
まあ別にそれはいい。
「私も行きますぞ!」
あほエルフが自分も行くと言って聞かないのだ。
「なんでだよ」
「浮気ものー!」
「してないだろうが……浮気……」
どうにもこのアホは、俺が目を離した隙に、このアホ人魚と関係を持つと思っているらしい。
「強くてかっこいいダーリンだもん。そこの魚類だって好きになっちゃうもん!」
この女が俺に惚れてしまうことを危惧してるエリス。
「大丈夫ですぅ。マリンちゃん、人魚じゃない男の人なんて、好きにならないですぅ~」
ふふん、とマリンが胸を張る。
「信じられませんな。どーせ、帰ってきたらあなた、ダーリンにメロメロぷーになってます」
「なんですかメロメロぷーって。ありえないですぅ。ひれのない男性を好きになってなりませーん」
「ほんとにぃ?」
「本当ですぅ。絶対、100%、間違いなく、この人のことなんて、好きになりませんですぅ~」
こんだけ言われても俺は特になんとも思わん。
俺だって下半身魚類の女なんて好きにならないし。
「むぅ……わかりました。ダーリン、行ってきていいですよ。シロは私がおもりしておきます」
「おう、悪いな」
「でも! 駄目ですからね、ダーリン。浮気は駄目です」
「わかったわかった」
めんどくせえ女だよったく……。
「お兄ちゃん……。海の中……呼吸できるの? 大丈夫?」
シロが不安そうに見てきた。こいつは俺が浮気するかどうかじゃなくて、純粋に体の心配してくれてる。優しいやつだ。
「問題ねえ。俺は大丈夫だから、そこのアホが海に特攻しないように、しっかり見張っててくれ」
「ん!」
俺はエリスに言う。
「じゃ、いってくる」
「うん……いってらっしゃい。浮気はだめよー」
「しつこい。しないってば」
エリスは不満顔だった。ったく……。しょうがないな。
「俺の正妻はおまえだけだよ」
「正妻は旦那様の帰りを信じて待ってまーす! いってらっしゃ~~~~~~~~~~~い♡」
チョロ……。




