ガス爆発
ミールが脱出する時に使った出入口付近へ、ドローンを送り込んでみたが、出入口の辺りは落盤ですっかり埋まっていた。やはり、ガス爆発があったようだ。
「これじゃあ、地下からの侵入は無理だな」
「いいえ、出入口は他にもたくさんあります。あたしが知っているものだけでも、後三つ」
三十分後、その三つの出入口にドローンが行ったが、状況は同じだった。
「他に知っている出入口は?」
ミールは首を横にふる。
「ありません」
しかし、妙だな。
この可燃性ガスは、あのタンクから放出されたものだと思うけど、城ごと吹き飛ばす程の大爆発を起こすには、まだガスの濃度が低い。
それだけじゃなくガスの濃度も均一じゃない。
いつ爆発が起きても不思議じゃないぐらい濃い場所もあれば、まったくガスが検出されない場所もある。ガスは空気より軽いから上に方に貯まる性質があるが、それを考えてもこの濃度のバラつきは不自然だ。
「ミールは、このタンクの事は知らなかったのかい?」
「地下に飛行機械の燃料を貯めているのは知っていましたが、こんな物があるなんて知りませんでした。機会があれば見に行きたいと思っていたのですが、戦争が始まってからは地下道が立ち入り禁止になってしまって」
「立ち入り禁止? なんで?」
「分かりません。ただ、日本人たちが地下を調査した後で、立ち入り禁止になってしまったのです」
ひょっとして、地下道が脆くなっていたかな?
タンクの映像を見ると、タンクから配管が伸びていた。
地表のヘリポートへ供給するためだろうか?
それにしては配管が多すぎるようだけど……
「城のヘリポートは何ヵ所あったの?」
「城の屋上と、中庭の二か所でしたけど……」
だったら、こんなに多くの配管はいらないたろうな?
だったら、何のために?
いや、考えるまでもない。
ガスを使って城全体を爆破するためには、ガスを地下全体にまんべんなく行きわたらせる必要がある。この場所で、ただタンク内のガスを放出したのでは、地下全体に行きわたらない。
だから、地下全体に配管を巡らせたんだ。
日本人たちは撤退する前に、城を占領した帝国軍を丸ごと吹き飛ばすために、こんな事をしたのだろうか?
撤退後の管理はダモンさんに任せて……
しかし……
地下をこんなスライムだらけにしてしまっては、ダモンさんもタンクに近づけない。
どうやって、タンクのガスを使うのだ?
城の中から、コントロールできるのだろうか?
「ご主人様。ドローンの一つが、人の姿を捉えました」
Pちゃんが画面を指差している。
その画像はタンク付近の物。
配管付近に人の後ろ姿があった。
その人物は配管のバルブを操作していた。
その直後に、数百メートル離れたところにいるドローンが、ガス濃度が上がるのを感知した。
どうやら、このバルブ操作でそのあたりにガスを放出したようだ。
何のために……
その答えはすぐに分かった。
ガス濃度が上がった付近にいたドローンの映像を見ていると、突然壁が左右に開いたのだ。
出入口の一つのようだ。
出入口から、帝国軍の兵士が一人恐る恐る入ってくる。
その後ろから、別の兵士がランタンを持って入ってきた。
当然のことながら、直後に爆発が起きた。
ドローンも、その爆発に巻き込まれて壊れてしまった。
「ダモン様!?」
ミールは、タンク付近の映像を見ていた。
バルブを操作していた人物が振り返っている。
ダモンさんだった。




