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モニターに応募したら、系外惑星にきてしまった。~どうせ地球には帰れないし、ロボ娘と猫耳魔法少女を連れて、惑星侵略を企む帝国軍と戦います。  作者: 津嶋朋靖
第二章

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レッドドラゴン 2

 思わず目をつぶった。

 ドン!!

 ん? 目を開くと、そこにあるのはベジドラゴン親の巨体。

 レッドドラゴンはどこだ?

 いた。

 塩の平原上で、ひっくり返っている。

「ピー」

 チビドラが、親の足もとへすり寄っていく。

「おい。Pちゃん。今、目をつぶっていたけど、何があったんだ?」

「ベジドラゴンの親が、レッドドラゴンに体当たりをしました」

 僕を、助けてくれたのか?

「グオオオ!!」

 ベジドラゴンは、引っくり返っているレッドドラゴンに向かって咆哮を上げた。

「キシャー!!」

 レッドドラゴンも起き上がり、咆哮を上げる。

 怪獣映画だな。

 このまま、ベジドラゴンの親が勝利してくれればいいが……

 二頭の翼竜は、塩の平原上でぶつかり合った。

 最初は互角に見えた。

 しかし、鋭い爪や牙を持っている分、レッドドラゴンの方が圧倒的に有利。

 ベジドラゴンの身体は、あっちこちから出血して、塩の平原が赤く染まっていく。

「装着終了」

 やっと終わったか。

 試しに、手足を動かしてみた。

 確かに改良されている。

 身体に無理な動きはない。

 プロトタイプと違い、簡単だが装甲も持っている。

 顔面を覆うバイザーは、ヘッドマウンテッドディスプレイになっていて、ロボットスーツの様々なパラメータ値が表示されていた。

「Pちゃん。こいつのコマンドは、変わっていないか?」

 ロボットスーツの様々な機能は、コマンドを言って起動するようになっている音声入力システムだ。学生時代に覚えこんだコマンドは今でも忘れていないが、もし自衛隊に採用された後に、コマンドを変えられていたら使い物にならない。

「変わっていません。というより、ご主人様が使っていた頃のコマンドに戻してあります」

「そうか」

 なら問題なし。

 翼竜達の方を見ると、ベジドラゴンは塩の平原に倒れて、その上にレッドドラゴンが跨り、今にも噛みつこうとしていた。

 普通に走っていたら間に合わない。ええっと、加速のコマンドは……

「アクセレレーション」

 で、よかったようだ。

 脚部の人工筋肉が、一時的に出力を上げた。

 僕は猛然と走り出す。

 以前にこれをやった時、僕の足は人工筋肉の動きについていけなくて、しばらく入院するはめになった。今度は、大丈夫なようだ。

 ある程度、速度がついたところで……

「ホバー!」

 ブーツの底から、空気が噴出してわずかに浮き上がる。

「ジェット」

 背嚢から、空気が噴出してさらに加速。

 バイザーの数値が、時速百キロに達した。

 プロトタイプをテストしていた時、教授はこの機能をエイトマン走法と言っていた。

 でも、これって走ってないよな?

 ちなみにエイトマン走法に使うホバーやエアジェットは、背嚢のタンクに入っている圧搾空気を使っている。

 圧搾空気を使い切ったら、ホバーもジェットも使えなくなる。

「ジャンプ」

 僕は高々と跳躍して、今にも噛みつこうしていたレッドドラゴンの鼻先へ向かう。

 拳を握りしめる。

「ナックル」

 右の拳が装甲に覆われる。

 その装甲から、トゲトゲが生えた。

「ブースト」

 腕の人工筋肉が、一時的に出力を上げた。

 直後、僕の右ストレートがレッドドラゴンの鼻先に命中。

 鱗が割れて、拳がレッドドラゴンの鼻に食い込む。

「グギャアアアア!!」

 レッドドラゴンは悲鳴を上げると、ベジドラゴンの身体から離れて塩の平原を転げまわった。

 やはり、鼻は弱いようだな。

 ベジドラゴンの方を見ると、出血は酷いが何とか自力で立ち上がろうとしていた。

 もう一頭の大型ベジドラゴンがやってきて、傷ついた連れ合いの傷をなめる。子供達もやって来て手伝う。 

 家族愛の強い動物だな。

 レッドドラゴンの方を見ると、すっかり戦意を喪失したようだ。

 怯えるような目で、こっちをジッと見ている。

「何やっているのですか!? 早く、止めを刺して下さい」

 背後でPちゃんが騒ぐ。

「もう、勘弁してやろうよ。あいつも、懲りたろう」

「本当に懲りたなら、とっくに逃げています。今でも、奴は反撃の機会を窺っているのですよ」

「反撃の機会?」

「忘れたのですか? ロボットスーツは、五分で電池が切れて動けなくなることを……」

 そうだった!


 残り時間二百三十秒。


 奴が、こっちの時間制限を知っているとは思えない。

 しかし、ロボットスーツが動けなくなったら、さっきショットガンを手放した時のように、猛然と襲いかかってくるだろう。

 その前に倒さないと……

 僕は、奴に向かって駆けだした。

 残念だが、圧縮空気を使い切ったので、もうエイトマン走法は使えない。普通に走っていくしかないのだ。

 人工筋肉でアシストしているとは言え、人間の限界を越える速度で、手足を動かすことはできない。やったら、装着者の身体が保たない。

 実際、僕は身をもって体験している。

「キシャー!!」

 僕が向かってくる事に気がつくと、レッドドラゴンは踵を返して逃げ出した。

 だが、遅い。

「捕まえた!!」

 尻尾を掴んだ。

 ブツン!!

 え!?

 尻尾にかまわず、レッドドラゴンは空中に舞い上がった。

 残された尻尾の一端が僕の手に残り、ビクビクと蠢いている。

 トカゲの尻尾切り?

 こんな事も、できるんか。器用な……

 レッドドラゴンは、このまま逃げる気か?

 と思ったら、反転してこっちへ向かってくる。 

 ならば、千切れた尻尾を振り回して。

「ホームラン!!」

 ドガ!!

 鈍い音が響きわたった。

 自分の切り捨てた尻尾で吹っ飛ばされたレッドドラゴンは、塩の平原を転げ回った。


 残り時間百八十秒


 いかん!! 残り時間三分。

 ウルトラマンは、よくこんな短時間で怪獣を倒せるな。

 僕はレッドドラゴンに飛びかかった。

 あと少しのところで、空中へ逃げられる。

「降りてこい!! 卑怯者!!」

 戦いに卑怯もへったくりもないが、つい叫んでしまった。

 あれ? 本当に降りてきた。

 じゃなくて、急降下!!

 奴の鉤爪を避けると、僕は奴の背中に飛び乗る。

 しかし、すぐに振り落とされた。


 残り時間百二十秒。


 再び奴は急降下してくる。

 僕もジャンプして、奴の背中飛び乗ろうとするが……

 また、失敗。

 あれ? 柔らかいところに落ちたぞ? これは!?

 僕が落ちたのは、ベジドラゴン子供の背中だった。

 僕を乗せたまま、ベジドラゴンは懸命に羽ばたいている。

 馬ぐらいの大きさだが、それでも子供だ。

 重いんじゃないかな?

「おまえ、無理するなよ。重いだろ?」

「オモイ……」

 え? 喋った?

 そう言えば、人語を解するとか言ってたけど、まさか喋れるの!?

 しかも、日本語を……

「重イ、デモ、アタシ、ガンバル。アイツ、ヤッツケテ」

 『アタシ』って、女の子なの?

「わかった。やっつけてやる。だから、一度降りろ」

「イヤ」

「『嫌』ってな……」

「オ姉チャン、オ兄チャン、コロサレタ。オ父サン、傷ツケラレタ。ゼッタイ、許サナイ」

 泣かせるセリフだな。

 しかし、こんなフラフラした飛び方じゃ、奴に追いつけないぞ。

 と思ったら、奴の方から戻ってきた。

 しかし、三十メートル離れたところでホバリング。

 それ以上近づこうとはしない。

 奴の片目は、こう語っていた。

『やーい! のろま!! ここまでおいで! バーカ! バーカ!』

 いや、あくまでも僕の推測だけどね。

 しかし、奴の行動を見ると、そう言ってるように見える。

 もし、そのような事を考えているなら、その油断こそが奴の命取り。

 残り時間五十秒。


「ワイヤーガン、セット」

 僕は、左腕を奴に向けた。

 バイザーに、レティクルが表示される。

 奴の頭部に照準を合わせた。

「ファイヤー!」

 左腕の手甲に装備してあったワイヤーガンから、ワイヤー付の弾丸が射出された。

 ワイヤーガンは元々、都市部での戦闘時にビルの外壁に素早く登るために開発された武器。弾丸はビルのコンクリートを貫く威力がある。武器と言うより、壁登りの道具と言った方が正しいかもしれない。

 ただ、これは空飛ぶ相手に使用することは想定されていない。

 それでも、弾丸は奴の頭部に命中した。

 弾丸は刺さった後、内部でフックが出てきて簡単には抜けない。

 奴は慌てて逃走にかかったが、もう遅い。

 ワイヤーの長さは五百メートルある。

 僕はベジドラゴンの頭を撫でた。

「ありがとう。後は、任せて」

 ベジドラゴンの背中から飛ぶと同時に、コマンドを唱えた。

「ウインチ スタート」

 そのまま、ウインチでワイヤーを急速に巻き上げていく。


 残り時間三十秒。


 空中で振り子のように降られながらも、奴に急接近。

 奴は、必死で首を振って僕を振り落とそうとするが、そうはいかない。

 右手のワイヤーガンを撃ち込む。

 二つのワイヤーを頼りに奴の首をよじ登る。

 奴の頭に、手が届くところまで近づいた。

 このまま、頭蓋骨を砕けば奴を殺せる。


 殺す?


 殺す必要が、あるのか?


 僕に、奴を殺す資格があるのか? 


 違う!!


 資格があるから、殺すんじゃない。


 僕が生き延びたいから……それを邪魔する奴を殺すんだ。


「悪く思うなよ。お前がここで死ぬのは、僕を殺そうとしたからだ」

 ベジドラゴン最初の一頭を仕留めた時点で、満足して帰っていけばよかったんだ。

 欲張って、食う以上に殺そうとした、お前の貪欲がお前の身を滅ぼすんだ。  

「ブースト」

 奴の頭に、パンチを叩き込んだ。

 パンチは鱗を割り、頭蓋骨を砕き脳に達する。

 血と脳漿が飛び散る。

 バイザーに、もろにかぶってしまった。

 うええ!! 気持ちワル!

 手を引っこ抜いて、二発目を叩き込む。

 そのまま、奴は動かなくなった。

 翼を広げたまま滑空をしているが、脳を破壊されてはもう絶命しているだろう。

 終わったか。

 レッドドラゴンよ、安らかに眠れ。

 さて、帰ろ……あれ? 僕はどうやって、ここから降りればいいんだ?


 残り時間ゼロ秒。


 うそだろ!! おい!!


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