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モニターに応募したら、系外惑星にきてしまった。~どうせ地球には帰れないし、ロボ娘と猫耳魔法少女を連れて、惑星侵略を企む帝国軍と戦います。  作者: 津嶋朋靖
第六章

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80/690

パンフレット

「私が寝ている間に、何かあったのか?」

 バックミラーを見ると、車の後部座席で、キラが眠そうに眼をこすっていた。

 振り向いて様子を見たいが、あいにく僕は運転中だ。

 ちなみに、僕らはキラ・ガルキナの事をキラと呼ぶことにした。

 殺人ノートの持ち主を連想するのが若干問題だが……

「ミールさんが悪党を成敗していたのです」

 Pちゃんがさらっと説明をする。

「お師匠。言ってくれたら、手伝ったのに」

「あなたは、身体を治す事に専念しなきゃダメです」

「しかし、私は本当に病気なのか?」

 病気かどうかはともかく、正常じゃないのは確かだ。

 寝る前のキラと、起きてからのキラは本当に同じ人物なのか?

 さっきは二十代後半ぐらいの姿だったのに、今の彼女の姿は、どうみても十代半ばの少女。

「これは、分身魔法を使いすぎた影響なの?」

 本人に聞こえないように、翻訳機を日本語⇔ナーモ語に設定してから、助手席にいるミールに囁くように聞いた。

「カイトさん。これが、キラ・ガルキナの本来の姿です」

「本来の姿?」

「分身魔法を暴走させると、術者は生命力を吸い取られると言いましたね」

「ああ」

「それは、老化と言う形で現れるのです」

「老化?」

 そう言えば、最初にミケ村で見たときは二十代前後に見えた。

 しかし、暗かったから見間違えたのかとも思ったが……

 あの後、分身を暴走させたので、さらに老化が進んだのか?

「ただし、それは可逆的な老化ですので、治療すれば元に戻ります」

「治療って、どんな事?」

「魔法回復薬を飲んで、ぐっすり眠ることです」

「それだけでいいの?」

「というか、それ以外に治療法はありません。それと、今は元の姿に戻っていますが、数時間起きていると、また老化が始まります。安定させるには、三日は安静にしている必要があります」

 背後から、キラが何かを言ってきた。

 翻訳機を、日本語⇔帝国語 に切り返る。

「何やら、二人で私の事を話しているみたいだが……」

 後部座席にいる人間にしてみれば、運転席と助手席の二人から、チラチラと自分の方を見ながら意味不明の会話をされるのって、不快だろうね。自分もあるから分かるけど……

「キラ。目が覚めてから、鏡を見たかい?」

「いや。目覚めてからもなにも、私はここ数が月は鏡を見ていない」

「Pちゃん。キラに鏡を見せてあげて」

「はい」

 Pちゃんが手鏡を出した。

「いや……自分の顔なんて、あまり見たくは……え? これは!」

 やっぱり、若返った事に気が付いてなかったのか。

「可愛い」

 え?

「昔の可愛い私だ。どうして?」

 あ! 彼女が顔に自信がなかったのは、急速に老化したせいだったのでは?

 実際に僕が見たときは二十代ぐらいだったけど、本人はもっと歳を取っていると思っていたのかな?

 ミールは、後部座席の方を振り返った。

「キラ。あなたの年齢は?」

「十六だが」

 十六!? 女子高生じゃないか?

「魔力の暴走がひどくなったのは、いつごろから?」

「四年ほど前、軍の施設に入れられてから、一段とひどくなった」

「やはり、そうでしたか」

「え?」

「帝国軍は、あなたの魔力を、軍事利用しようとしていたのですね」

 キラは一瞬、言葉に詰まった。

「師匠……私は……」

「大丈夫です。そのぐらいで破門にはしませんよ」

「本当に……いいのか?」

「ただし、あなたには教えるのは基礎までです。生活に困らなくなる程度にはなりますが、軍事利用したかったら、そこから先は独力でやって下さい」

「ありがとう」

 僕は翻訳機を切り替えた。

「ミール、いいのかい? キラが魔法を覚えてしまったら、これがナーモ族への攻撃に向けられるかもしれないぞ」

「そうですね。でも、無理でしょう」

「え?」

「基礎を身に着けて、魔力の暴走を抑制できるようになっても、それを戦争に使えるかというと、そんな簡単じゃありませんから」

「そうなの?」

「魔力を持っている者が、誰でも戦えるわけではないのですよ。ナーモ族で、魔法技術習得を義務付けられるほど、強い魔力を持っているのは、数千人に一人。魔法使いとなって、魔法を生業とする人は、その中から百人に一人。魔法を戦争に使える人は、さらに少なくて、ナーモ族全体で二~三十人ぐらいでしょうね」

「しかし、キラの戦闘力は、そうとうのものだったぞ。戦った僕が言うのだから……」

「あれは暴走していたからです。制御するようになったら、あんな力は出しませんよ」

「そういうものなの?」

「それと、帝国がそこまで魔法を軍事利用したいという事は、かなり追いつめられていると考えられます」

「どういう事?」

「帝国軍の最大の優位性は、火薬を使った武器。ですが、火薬の製法はすでに日本人から伝わっています。ナーモ族がそれを量産化してしまえば、魔法が使えないぶんだけ帝国軍の方が不利になりますね」

「なるほど」

「ちなみに、あたしも火薬の製法を知ってますよ」

 ミールは一冊の小冊子パンフレットを出した。

「お城にいる時に、日本人からもらった火薬の製法を書いた本です」

 本は、ナーモ語で書かれていた。

「著者名だけが、日本語で読めないのですが」

「どれ?」

 チラッと、本に目をやったとき、僕は危うくハンドルを切り損ねそうになった。

 本の著者は、北村海斗。他ならぬ、僕だった。

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