フーファイター再び
「ドローン一号が、ヴィゼ島からのレーダー波を感知しました」
AIアスカの涼やかな声が飛行艇のキャビン内に流れてきたのは、僕がリトル東京から届いた命令書を開いた翌日の朝。
命令書には、芽衣ちゃんが予想していたとおり『ヴィゼ島を偵察し、状況に応じて拉致被害者を救出せよ』との事が書いてあった。
そのために、僕は芽衣ちゃんと橋本晶、そしてミールとミクを連れて飛行艇 《あすか》で先行し、ヴィゼ島の情報を収集する事になったのだ。
古淵と矢部は潜水艦 《はくげい》に残って、後からヴィゼ島へ向かい僕らと合流後、人質救出とコンピューターセンター破壊任務に着くことになっていた。
そして、状況次第では島の占領も……
どうやら、リトル東京ではカルカとも協議して、この島の占領を最優先にしたようだ。
当然だろうな。
ヴィゼ島には大量の反物質がある。
こんな物をレム神の自由にさせていたら、下手すると惑星ごと自滅などという事もありうる。
もしくは反物質を盾に、交渉を持ちかけてくる可能性もあった。
「ヴィゼ島から、迎撃機の発進を確認しました」
アスカがそう言った直後、メインモニターがレーダー画面に切り替わった。
ただし《あすか》のレーダーは逆探知を避けるために切ってあるので、これは偵察機から送られてきたもの。
《あすか》は今、ヴィゼ島西方二十キロ付近の島影に着水していた。
そこから二機の偵察ドローンを、ヴィゼ島に送り込んでいたのだ。
ドローンのうち一機はゼロ。
これは偵察というより囮だ。
ゼロはヴィゼ島のレーダー範囲内に飛び込ませて、敵の反応を見るのが目的で出したもの。
その結果、落とされたとしても問題はない。
もう一機はステルス偵察機暁雲。
ゼロが目立った行動をしている間に、朝日を背に浴びた暁雲が島内に侵入して情報を集めるという作戦だ。
「妙ですね」
メインモニターを指差しながら、芽衣ちゃんが言った。
「迎撃機が一機だけって。少なくないですか?」
「確かに」
自衛隊でも、領空侵犯機に対するスクランブル発進は通常二機。
それはどこの軍隊でも変わらないはず。
ドローンの数が少なくて、一機しか出す余裕が無いのか? あるいは……
「敵もこちらと同じように、レーダーで捕らえにくいステルスドローンを一機出してきているのではないでしょうか?」
その可能性があるな?
「メイさん。カイトさん。敵機が一機だけだと、何か問題なのですか?」
芽衣ちゃんがミールの方を振り向いて答える。
「ミールさん。敵機が接近してきた場合、迎撃側は通常二機一組で対応するのがセオリーなのです」
「それは分かります。地上で偵察を出す時もそうしていましたし。あたしが言いたいのは、前にも一度こういう事が無かったかという事です」
え? 前にも……? そういえば、あったような……
「ミール。前にも敵が一機だけで向かってきた事なんてあったっけ?」
「ありましたよ。こっちが、ドローンを五機……母機も含めて十機も出したのに、敵が一機だけしか向かって来なかった事が……」
あ!
「今回も、あの時と同じような気がするのですが……」
そうだった! たった一機の敵機相手に、こっちのジェットドローン五機が壊滅させられた事が……
いや、しかし今回もそうとは……
「映像を出します」
メインモニターに現れたそれは、円盤型のドローン。
こいつは! 間違えない。
GF9フーファイター!
津嶋「今年最後のモニ系更新です。来年もよろしくお願いいたします」
海斗「結局来年も続くのですね」
津嶋「だって終わらないんだもん」
海斗「まあ、今年は直腸癌の治療がありましたからね」
津嶋「このまま作者死亡でエタル可能性もあったわけですが、何とか手術成功しました。おかげでこの先生きのこれそうです」
優樹「大丈夫です。作者が死んでも僕が、降霊術で呼び戻して続きを書かせますから」
津嶋「おいおい、勘弁してくれ」
次回は2月頃を予定しております。
【フーファイター】
「モニ系」第一三章に出てきたドローン兵器です。
GF-9フーファイター。アメリカ宇宙軍が二〇九五年に正式採用した重力制御ドローン。大気圏内でも宇宙空間でも使用可能。最大加速六G。武装は十メガワット自由電子レーザー砲。動力源は対消滅炉。
海斗を二百年も恨み続けた矢納の専用ドローンです。
これが出てきたという事は、次回は三人目の矢納が出てくるかもしれませんね。




