レム神の誕生(レム・ベルキナの事情)
『もう止めろ、プラートフ。これで分かっただろう』
十二人の人間を統合した直後、内部からレム・ベルキナの声が響いた。
「何が分かったというのかね? ベルキナ博士」
『たった十二人を統合しただけで、その情報を制御するのがどれだけ大変か分かっただろう。まして、全人類を統合などしたらどうなることか』
「制御が大変? 何を言っているのかね? 私にとっては、造作もないことだったが」
『そうなのか? しかし……十二人ぐらいならそうかもしれないが、人類がどれだけいると思っている? 九十億だぞ! そんなに統合したら、膨大な情報を処理しきれなくなり破綻するぞ』
「私を翻意させようと必死だな。ベルキナ博士よ」
『いや、翻意させようなどとは……まあ、確かに翻意はさせようとしているが、私の言っている事も事実だ』
「事実ではなくて、あくまでも君の推測だろ。つまり、やってみなければ分からないという事だな」
『やらなくても、結果は見えている』
「何を言っても無駄だ。私はこのまま人類統合を続ける。まあ、その結果、君の言う通り無理だったと分かったのなら止めるよ」
『その時には、手遅れになっているんだ! 破綻したときには、君は今とは別の生命体になってしまっているのだぞ』
「当然だ。私は神になるのだからな」
『違う! それは神などではない!』
「いいや、神さ。神は人知を超える存在であって、おこがましい人類の科学などでは計り知れないのだよ」
プラートフは、レムの説得に耳を傾ける事無く、その後も統合を続けていった。
そんな事を続けているうちに、やがて事態は破局する。
八千人の人間を統合した時点で、あらたな意識が生じたのだ。
多数の精神が融合して生まれた精神生命体とも言うべき存在。
いわゆるレム神が。
その意識によって、プラートフもレム・ベルキナも飲み込まれてしまい消滅してしまった。




