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モニターに応募したら、系外惑星にきてしまった。~どうせ地球には帰れないし、ロボ娘と猫耳魔法少女を連れて、惑星侵略を企む帝国軍と戦います。  作者: 津嶋朋靖
第十七章

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ミーチャ・アリエフの中のレム・ベルキナ

 ソファに腰掛け、天使の様な可愛らしい顔に笑みを浮かべているこの少年はどう見てもミーチャ。


 しかし、その中にいる人格はレム・ベルキナ。


 ミールが言っていた『中身は知らない人』ってそういう事か。


 ミーチャはレム・ベルキナのクローンではあるが、クローンは遺伝情報は受け継いでも記憶は受け継がないはず。


 それにも拘らず、レム・ベルキナと名乗ったという事はまさか?


 レム神と再接続されてしまったのか?


 と、僕が口を開く前に、心を読んだかのように否定してきた。


「ああ、先に言っておきますが、私は接続者ではありません。私の……というか。ミーチャ・アリエフ君の脳からプシトロンパルスが出ていない事は、先ほどルスラン・クラスノフ博士にも確認してもらいました」

「接続者ではないのか?」

「はい。私はレム神から分離したレム・ベルキナの疑似人格ではありますが、現在ではレム神とは関わりありません。レム神が端末用に作った私のクローンの中に、気づかれないように隠れていました」

「つまり、ミーチャの中で、もう一つの人格として眠っていたわけか?」

「そうなりますね。言わば多重人格のようなものです」

「ミーチャの身体を乗っ取ったのか?」

「分かりやすく言うとそんなところです。ただし、私はミーチャ・アリエフ君の同意を得た上でこの身体をお借りしていますし、用事が済んだらお返しします」

「本当に返すのだろうな? レム神は用事が済んだ接続者を、いつも容赦なく自決させていたぞ」

「大丈夫です。私はレム神とは違いますので。というか、正直私としては、この『レム神』という呼び名は好きじゃないのですよ」

「レム神は、元はあんただったのだろう?」

「それについては、少々誤解があります。レム神を、北村海斗さんはどのような存在と認識していますか?」

「どのようなって……多くの人間の脳を、脳間通信機構で接続する事によって生まれた精神生命体と認識しているが……」

(おおむ)ね間違ってはいません。ただ、『レム神』と名乗っていますが、その精神生命体の意思決定中枢にいるのは私ではありません」

「じゃあ誰なんだ?」

「プラートフという名前に、聞き覚えはありますか?」


 どこかで聞いた名前だな。この惑星で、そんな奴に会ったっけ?


 いや、この惑星ではない。


「確か僕が……というか僕のオリジナル体が、まだ地球にいた頃、ゼット連邦という国に、プラートフ大統領っていたけどその人か?」

「そうです。レム神の意思決定中枢にいるのはその人物です」

「プラートフが? しかし、なぜ『レム神』と名乗るのだ? プラートフ神と名乗ればいいじゃないか」

「名乗れないのですよ」

「なぜ?」

「北村海斗さんは二百年前に地球で三次元データを採取された後、半年前にこの惑星で再生されたのでしたよね?」

「そうだが」

「では、データを取られた時から、再生されるまでの二百年間に地球で起きていた事はご存じですか?」

「大まかな事は聞いているが……プラートフ大統領に何があったかは知らないな? まあ、独裁者だという事と、ゼット連邦が海外渡航を厳しく制限していて内情がほとんど分からないといったところかな」

「あなたがデータを取られた後で、ゼット連邦は資源を求めて侵略戦争を始めたのですよ」

「そんな事があったのか?」

「その結果、ゼット連邦は世界中を敵に回す事となり、世界大戦になりかけた事がありました」


 戦争! という事は……


「ジジイ……いやいや博士から聞いたのだが……」 

「言い直さなくてもいいですよ。あなたが、ルスラン・クラスノフ博士の事をジジイと呼んでた事は、ミーチャ・アリエフ君の記憶から知っています」


 そうか。じゃあ体裁を気にして『博士』なんて言わなくていいんだな。


「じゃあ、ジジイに聞いたが、君の両親がお亡くなりになった戦争というのは、それの事か?」

「そうです」

「そうだったのか。君の両親があの戦争で亡くなり、戦災孤児になった事は聞いた。それに関しては気の毒だと思っているよ。その後で、恒久的平和を目指したという気持ちも理解できる。しかし、やり方が間違っているな」

「間違っているとは、全人類の精神を統合するという計画の事ですか?」

「他に何がある?」

「私も間違っていると思います」

「はあ?」


 間違っていると思うなら、なんでやるんだよ?


「私は確かに、恒久的平和を目指しました。しかし、それはそんな非現実的な手段ではありません」

「非現実的なのか? 全人類の精神統合って?」

「非現実的です。おそらくあなたも知っている某アニメでも、それをやったけど最後に失敗しているじゃないですか」


 某アニメ? あああれか。


「あれって失敗なのか?」

「失敗です。意思決定中枢にされた主人公の少年が『やっぱ一人はヤダ』と思って、人類は再び分裂してしまったのだから失敗です」


 まあ……解釈は人それぞれだから……新劇場版の方は見ていないから分からんが……


「小説『幼年期の終わり』では、人類統合に何世代もかかったのですよ。あんな短時間で上手くいくわけがない」


 いや、フィクションの話をされても……


「ましてプラートフは、もっと性急にやろうとした。失敗して当然です」

「なるほど……ちょっと待て! それじゃあ人類統合をやろうとしたのは、君ではなくてプラートフなのか?」

「そうです」

「なんでそんな事になったんだ?」

「それについては順を追って説明しましょう。少し話が長くなりますが……」


 そしてミーチャ=レムは話し始めた。

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