対ワームホール戦
ワームホールからは、完全武装の帝国軍兵士達が飛び出してきた。
武装も以前のようなフリントロック銃やスケールアーマーなんかじゃない。
自動小銃とボディアーマーに戦闘用ヘルメットを装備している。
しかし……
「でやあ!」
その装備の威力を発揮する前に、帝国兵は次々と血祭りに上げられていった。
橋本晶によって……
対ワームホール戦は、ワームホールから出てきた直後の敵を叩くのがベスト。
ワームホールから出た直後の兵士は、周囲の状況を把握できていない。
状況を把握する前ならたやすく倒せる。
そのためには、ワームホールの出現地点を予想してそこに伏兵を配置する必要があった。
医者……レオニートなんたらと言っていたな。めんどいからレオでいいか。
とにかくレオは、おそらく《はくげい》艦内でワームホールを開き、移乗白兵戦で制圧する予定だったのだろう。
だが、その前に正体が発覚。
艦内でワームホールを開く事が無理なら、せめて入り口に近いところにワームホールを開こうと考えるはず。
そう思った僕は、あらかじめ決めておいた指サインで、橋本晶に合図を送り司令塔の上に待機してもらっていたのだ。
何も知らずにのこのことワームホールから出てきた帝国兵は、銃を構える暇もなく橋本晶の迷刀雷神丸によって次々と一刀両断にされていく。
え? 迷刀じゃなくて名刀じゃないのかって?
いいんだよ。あんな分けの分からん機能が、ゴテゴテ付いた刀なら迷刀で。
まあ、迷刀だが切れ味は確かだ。
炭素繊維強化樹脂製のボディアーマーもヘルメットも、雷神丸によって紙のように切断されていった。
その様子はさながら、ミツバチを蹂躙していくスズメバチのごとき。
しかし、敵は数が多い。
このままだと、いかにスズメバチでもミツバチの必殺技、熱殺蜂球の餌食。
実際、打ち漏らした兵士がちらほらと出てきた。
しかし……
「うりゃあ! ブースト!」
橋本晶に銃を向けた兵士は引き金を引く前に、司令塔に駆けつけてきた芽衣ちゃんのブーストパンチで吹っ飛ばされた。
兵士はそのまま元来た方へ飛んでいき、ワームホールから出てきたばかりの味方兵士にぶつかる。
「どわあ!」「ひええ!」
二人の帝国軍兵士は仲良くもつれ合って、ワームホールの向こうへと転がっていった。
さらに駆けつけてきた古淵が、AA12コンバットショットガンをワームホール内に向かって連射。
古淵の連射が止んだところへ、芽衣ちゃんはすかさず手榴弾を投げ込む。
その直後にワームホールは閉じた。
奇襲に失敗したと判断して閉じたのだろう。
しかし、その判断は一瞬遅かったようだ。
芽衣ちゃんが最後に投げた手榴弾は、閉じる前にワームホール内に入っていた。
今頃、むこうでは凄惨な光景が広がっていることだろう。




