接続者は?
「カルル! 目を閉じろ!」
「え? ああ! すまん」
カルルは目を閉じた。
「海斗。今のでワームホールは開かなかったか?」
僕は周囲を見回した。
「大丈夫だ。開いてはいない」
「しかし、海斗。俺は本当に接続されているのか?」
様子から見て、カルルはレム神のコントロールは受けていないようだ。しかし……
「レム神からコントロールされていなくても、接続されている人はいるんだ。そういう人が見聞きした情報は、レム神に伝わってしまう。ミーチャがそうだったように」
「いや、それは分かるんだよ。だが、ワームホールは接続者の視線の先に出現するのだったよな?」
「そうだが」
「そして、俺が接続者である根拠は、地下室でワームホールが開いたからだろ?」
「そうだ。地下室で接続者の疑いがあるのは、カルルだけだ」
「確かに俺は地下室にいた。しかし、ワームホールを見ていないまま、麻酔で意識を失ってしまった」
え?
「接続者の視線の先に出現するのなら、俺が見ていないはずがない。だが俺は、ワームホールを見ていない」
「なんだって?」
そうだとすると、接続者は他にいるのか?
イリーナ達は、背後にワームホールが開いているのに気がついていなかった。
イリーナ達の部下に、接続者がいるなら気がつかないはずがない。
「しかし、あの部屋にはブレインレターがあったぞ」
「本当にあったのか?」
「ああ」
「どこに置かれていた?」
「どこって、部屋の隅っこに……」
「部屋の隅っこって? 床の上にでも、置いてあったのか?」
「そうだが」
「それ、おかしくないか」
「何が?」
「ブレインレターはかなり貴重なメカだ。使用しないときは、ロッカーとかにしまっておくような物だぞ。無造作に床に置いとくような扱いはしないはずだ」
そうか! あの映像を見たときに覚えた違和感はそれだ。
ブレインレターにしては、扱いが雑すぎる。
まあ、ずぼらな奴なら、そうするかもしれないが……
「ちなみに、イリーナはずぼらな性格か?」
「いや、几帳面な女だ」
では、あの時映像で見たブレインレターは?
僕達が《はくげい》の甲板に降りたのは、この時だった。
「さあ、カルル。プシトロンパルス遮断幕のテントが用意してある。この中に入れば接続は断てるぞ」
「海斗。その前に聞きたいのだが」
「なんだ?」
「さっき目を開いた時、森田芽衣と橋本晶が並んで飛んでいるのが見えたのだが、あの二人の間に浮いていた白衣の人物は誰だ?」
そういえば、さっきそれを聞かれたのに答えていなかったな。
「あの人は医者だよ」
「医者? それは《はくげい》の船医か?」
「違うよ。現地の医者だ。診療報酬を払うために、同行してもらった」
「現地の医者? まさか! 地下室で、俺を治療した医者じゃないだろうな?」
「いや。カルルを治療した人だが……」
僕がそう言ったとたん、カルルはカッと両目を開いた。
「おい! カルル! 目を開くな」
かまわず、カルルは甲板上を走り出す。
どうしたのだ? 今頃になって、レム神に意識を乗っ取られたのか?
カルルが向かった先にいるのは、先に甲板に降り立ってた医者。
医者はちょうど、目隠しをしていたタオルを外していたところだった。
「先生。ここで目隠しを外されては困ります」
芽衣ちゃんが医者にそう言ったのが聞こえた直後、カルルは医者の背後から近づき羽交い締めにする。
カルル! なんのつもりだ?
カルルはそのまま僕の方を向いて叫んだ。
「騙されるな! 海斗! 接続者はこいつだ」
なに!?




