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モニターに応募したら、系外惑星にきてしまった。~どうせ地球には帰れないし、ロボ娘と猫耳魔法少女を連れて、惑星侵略を企む帝国軍と戦います。  作者: 津嶋朋靖
第十七章

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地下室への突入を開始する

 もう時間がない。


 敵が次にワームホールを使うとしたら、どのように使うか?


 最初に考えられるのは海上に出現させて、多数のドローンを送り込み《はくげい》に飽和攻撃をかける可能性。


 しかし、ワームホールを開くには近くに接続者がいる必要がある。


 海上の接続者が乗っている小舟の位置は、すでに把握済み。


 小舟の近くには、水中ドローン《わだつみ》を一機ずつ潜ませてある。


 近くにワームホールを開けば、ただちにワームホール内にミサイルを撃ち込める体制でいた。


 そして敵は、それを一度やられている。


 一度失敗した作戦を使うとは考えにくい。

 

 すると他に考えられるのは、この要塞の近くにワームホールを開き、大軍を送り込んで要塞を奪還する事……


 そしてもう一つ……


「まずいですね。地下室内にワームホールが開かれては、カルル・エステスさんが連れ出されてしまう」


 橋本晶の言う通り、それが一番の懸念材料になる。


「私はむしろ、なぜ敵が今までそれをやらなかったのかが、不思議なのですがね」


 昆虫ドローンを操作しながら、古淵が言った。


「ワームホールを使えるなら、さっさとそれを使ってカルル・エステス氏を連れ去ればいいのですよ。なぜそれをしないのかが不思議ですね」

「実は、地下室に接続者がいないのでは?」


 芽衣ちゃんが小声で言った事を、古淵は首を横に振って否定する。


「それはあり得ません」

「でも、カルル・エステスさんが、まだ接続されていない可能性も……」

「森田さん。問題は、そこじゃないのですよ」

「え?」

「我々はここへくる途中、敵兵士と遭遇して戦闘になりましたね」

「ええ」

「そして、その兵士はレム・ベルキナのクローン人間でしたね」

「はい。そうですけど……」

「帝国がレム・ベルキナのクローンを大量に作った目的は、プシトロンパルスの生体端末として使うためです」

「ええ。でも、帝国はタウリ族の技術で、その必要が無くなったわけですけど……」

「そうです。生体端末としての必要はなくなりました。しかし、必要なくなったからと言って、レム神がクローン人間を手放すわけではありません」

「はあ……」


 どうも、古淵の説明は回りくどいな……


「古淵。つまり、こういう事かな? レム・ベルキナのクローンなら接続者である事に間違いはない。そして、あの二人はずっと地下室にいた」


 そこで僕は、医者の方を振り返る。


「さっき、地下室にいたと言ってましたよね?」

「ああ、あの二人なら間違いなくいた」


 古淵の方に顔を戻した。


「つまり接続者は、ずっと地下室にいた。ならば、カルルが接続者にされていなくても、ワームホールを地下室に開くことはいつでもできたはず」

「そうです。それにも関わらず、カルル・エステス氏を連れ出さない。これはどう考えても……」


 そこで古淵は言葉を止めた。


 何を言いたかったのか……なんとなく分かるが……


「古淵。そこまで言ったのなら、最後まで言ってくれ」

「すみません。では、言います。カルル・エステス氏をここへ連れてきたのは、我々をおびき寄せるための罠ではないかと……」


 まあ、僕もそう思っていたが……


「問題は僕らを誘き寄せて、敵は何をしたいのかだな」

「それですよ。こんな事をしてまで我々を誘き寄せるようなメリットが何かあるのか? もし、我々を絶滅させたいなら、この地下道を今すぐ爆破すればいいだけの事です。なぜそれをしないのか?」

「ここで爆破しても無駄だと……帝国軍が思ったからではないでしょうか?」


 古淵は芽衣ちゃんの方を振り向く。


「森田さん。無駄とはどういう事です?」

「はい。地下道に侵入したのがただの歩兵なら、敵はそうしたかもしれません。しかし、私達は九九式機動服(ロボットスーツ)を纏ったロボットスーツ隊。爆破したぐらいでは倒せないと……」

「いやいやいや、いくら我々の機動服(ロボットスーツ)でも、この地下道を爆破されたら、土砂に押しつぶされてしまいます」

「ええ、普通ならそうです。だけど私達には、橋本さんがいます」

「え? 私?」


 いきなり、自分の名前が出されて橋本晶はキョトンとする。


「はい。もし、ここが爆破されても、橋本さんなら愛刀雷神丸の居合抜きで、天井に脱出口を切り開いて……」

「いや、だから無理だと、さっき言ったじゃないですか」

「無理ですか?」


 無理なのか? なんか僕も、彼女ならできそうな気がするのだが。


「無理です! 森田さんは、私を化け物とでも思っているのですか? これでも乙女ですよ」

「冗談ですよ。気を悪くされたのならごめんなさい」

「気を悪くしました。リトル東京へ帰ったら、肉おごってください」


 肉で機嫌が治るのか? この娘は……


「はいはい。ところで、今言った事は冗談ですが、敵は本気で信じているかもしれませんね」

「え?」

「今まで橋本さんの暴れぶりを見ていた敵は、橋本さんならそのぐらいできそうだと過大評価して、地下道爆破を躊躇しているのかもしれません」

「暴れぶりって……森田さんだって、戦場でいつも暴れているのに……」


 橋本晶はつぶやく様に不満を漏らす。


「つまり、森田さん。敵は橋本さんの力を過大評価するあまり、爆破を躊躇していると言いたいのですか?」

「はい。古淵さん」

「古淵さん! 森田さんの言っている事は、無茶苦茶ですよ。敵だってそんな事、信じるわけないでしょう」

「ううん……」


 古淵は悩ましげに唸る。


 さては、古淵も思っていたな。


 橋本晶ならできるんじゃないかと……


「ありえるかもしれませんね」

「古淵さんまで、そんな事を……」

「とにかく、敵が我々を過大評価しているのなら、それにつけ込むべきです。敵が気づく前に……」


 そうなると僕達がやるべき事は……


「地下室への突入を開始する。ただちに……」 

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