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モニターに応募したら、系外惑星にきてしまった。~どうせ地球には帰れないし、ロボ娘と猫耳魔法少女を連れて、惑星侵略を企む帝国軍と戦います。  作者: 津嶋朋靖
第十七章

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利尿剤は非人道的?

「君達の話を、聞いていての推測なのだが……」


 医者が突然そんな事を言い出したのは、昆虫型ドローンが地下室の入り口まで到達した直後の事。


 当然ながら地下室は、鉄の扉が閉まっていてドローンは入る事ができない。


 見張りの敵兵が扉を開くまで待つしかないのだが、ただ待つ気はない。


 このドローンは小型であるが、人を攻撃する手段を持ち合わせていた。


 もちろん、それは銃器などではない。


 装備しているのは注射針。


 薬剤も3種類ある。


 一つは即効性の毒薬、一つは麻酔。


 そしてもう一つは、非人道的な薬剤。


 利尿薬だ。


 え? それのどこが非人道的かって?


 いつでもトイレに行ける状況ならなんともないが、中々トイレに行けない状況の人にとって、利尿剤や下剤ほど非人道的な薬はないのだよ。


 実際、僕がロボットスーツ使用中に、トイレに行くに行けなくて苦しんだ事がこれまでどれだけあったことか……


 状況によっては、社会的な死もありうる。


 だから、利尿剤注射は非人道的兵器だ。


 ジュネーブ条約でも『過度の障害又は無用に苦痛を与える兵器』は、禁止されている。


 この場合、利尿剤は無用な苦痛を与える兵器に該当してしまうな。


 だが、ここはあえて心を鬼にして非人道的兵器を使う。


 扉の前で監視任務についている敵兵の襟にドローンを降ろし、無痛注射を刺した。


『ん?』


 何か違和感を覚えたのか、敵兵は首筋に手を回す。


 しかし、その時にはドローンは飛び去った後。


 後は利尿剤が効いてくるのを待つだけ。


 まあ、それは良いとして、医者は何が言いたいのだろう?


「君達の目的は、カルル・エステスを救出する事のようだが」

「まあ……そうですが」

「そして、地下室突入時に、彼を人質に取られる事を警戒しているように見えるが……」

「もちろん、警戒していますが……」

「まあ、普通はそうだな。ただ、私にはミハルコフ中尉が、カルル・エステスを殺せるとはとても思えないのだよ」

「と、言いますと?」

「私が地下室へ連れてこられた時、彼女は私の手を握りしめて涙を流して言ったのだ『お願い。彼を助けて』と」


 まあ、イリーナはカルルに気があるみたいだし……


「二人がどういう関係なのかは分からないが、ミハルコフ中尉は『せっかく彼が味方に戻ってくれたのに、このまま終わらせたくない』とも言っていた」


 味方に戻った? それって、まさか!


 すでにカルルは、ブレインレターをかけられているのか?


「隊長」


 古淵に呼ばれて、僕の思考は中断した。


「警備兵が、尿意に耐えられず室内に入りました」

「ドローンは?」

「潜入成功です」


 古淵のタブレットには、地下室内の映像が映っていた。


 十メートル四方ほどの部屋。


 人数はイリーナを含めて二人。


 ベッドがいくつかあって、その一つにカルルが寝かされていた。


 そのベッドの横に置かれた椅子に、イリーナが腰掛けてカルルの手を握りしめている。


 手を握りしめたまま、イリーナはカルルの口元に耳を寄せていた。


 カルルは小声で何か話しているようだが、ドローンの集音マイクでも声を拾えない。


 不意に扉の一つが開く。


 中から出てきた男は、さっきまで入り口前のバリケードで警備をしていた男。


『いやあ、すんません。急にトイレに行きたくなって』


 イリーナは振り返る。


『地下道は、そんなに冷えるのかしら?』

『いや、涼しいけど寒いというほどでは』

『地下道へ出る前に、トイレは済ませたの?』

『もちろんです』

『頻尿は、何かの病気かもしれないわね。この戦いが終わったら、病院で見てもらいなさい』

『は! では、自分は任務に戻ります』


 男は地下室から出て、代わりに女性兵士が中に入る。


 男がトイレに行っている間に、彼女が警備を代わっていたらしい。


「古淵。この部屋に、ブレインレターがないか探してくれ」

「ブレインレター!?」

「ブレインレターの形状は……」

「ああ、形状なら知っています。私もあれにやられて、レム神に接続されていましたから」


 そうだった。


「とにかく、あの悪魔の機械にやられるのは二度とごめんです。地下室に突入したら、真っ先に破壊しましょう」


 程なくして、それは見つかった。


 部屋の隅に置かれた銀色の円筒形物体が……

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