ミーチャが! なんでこんなところに?
僕らの接近に気が付いたのか、四機の偵察ドローンOL10は逃走に入った。
だが、遅い。
「でえぇぇい!」
OL10に最初に追いついた橋本晶が、愛刀雷神丸を振り下ろした。
左主翼の半分を失ったOL10は、きりもみ状態で落ちていく。
「墜ちなさい!」
芽依ちゃんがネットランチャーから放ったネットが、一機のOL10の進行方向に広がった。
OL10は辛うじてネットを回避するが、回避した方向に今度は古淵の放ったネットが広がる。
プロペラをネットに絡め取られて揚力を失ったOL10は、そのまま海へと落ちていった。
《はくげい》からの支援砲撃が届いたのはその時。
ワームホール周辺で、激しく水柱が上がる。
今頃、地下施設には大量の海水が流れ込んでいる事だろう。
「隊長!」
古淵が下を指さす。
攻撃ドローン群が、こっちへ向かってくるのが見えた。
「ちょっと数が多すぎるな。回避するしかない」
「カイトさん。それなら、ヘリ部隊の方へ逃げて下さい」
「ミール。何を言っている? 僕らは、ヘリ部隊を守るために来たのだぞ」
「分かっています。でも、ヘリにはあたしの分身がもう一体いて、もう少し近づけばドローンに矢が届き……え?」
不意にミールは押し黙った。
目も閉じている。
ミールがこういう状態になるのは、分身体に意識を集中している時。
向こうで何かがあったようだ。
「カイトさん」
ミールが、再び目を開いて喋り始めたのは十秒ほど後。
「ヘリに近づかなくてもいいです。カートリッジ交換が終わったのでレーザーが撃てると、あの子が言っています」
あの子? あの子って?
突然、下の方で爆発が続けて起きた。
見ると、小型ドローンが次々と爆発している。
ヘリ部隊の方を見ると、四号機の小柄な兵士がフッ化重水素レーザーを撃ちまくっていた。
ミールが言っていた『あの子』って、あの兵士の事か?
「ミール。あの兵士を、知っているのか?」
「え? 兵士? ああ! まだ、カイトさんには、言っていなかったですね。あれはミーチャですよ」
「ミーチャが! なんでこんなところに?」
「いやあ『僕も一緒に戦います。連れて行って下さい』と頼まれまして……」
「何でそんな事を? せっかく、平和で安全な生活を送れるようにしたのに……」
「カイトさん。ミーチャを、怒らないであげて下さい」
「怒ったりはしないよ。しかし、よく許可が下りたものだな」
「なんでも、森田指令に直訴したみたいで……」
「指令は許可したのか?」
「許可したから、ここにいるのです」
なんでそんな許可すんだよ。ミーチャは、まだ子供だぞ。
とは言え、ミーチャが戦ってくれているおかげで、今のところヘリ部隊の安全は確保できていたが……
でも、もうミーチャを戦いに関わらせたくない。
そう考えるのは、僕のエゴだろうか?




