見つかってしまいました
ここから海斗の一人称に戻ります。
「……というわけで、あたしは数名の女官と子供と共に、城から脱出したわけです」
「大変だったんだね。それで、一緒に逃げた女官や子供たちはどうなったの?」
「全員無事に、それぞれの故郷へ落ち延びました」
「ミールさん、今の話、少し脚色されていませんか?」
「ど……どこに脚色があるというのですか? Pちゃん」
「ミールさんの性格から考えて『なぜ、一緒に戦えと言ってくれないのですか?』なんて殊勝なセリフ出ますかね?」
「失礼なお人形さんですね。あたしだって、そのぐらいの事言いますわ。本当は怖くて逃げ出したいと思っていても……」
「やっぱり、本音は逃げ出したかったのですね」
「当たり前でしょ。でも、あの中で一人だけ逃げ出す罪悪感は半端じゃありません。女官や子供が一緒じゃなければ、とても逃げられませんでした」
また、始まった……
話題を逸らさないと……
「ところでさ、今の話だと王子と王妃を日本人が逃がしたそうだけど、ミールが僕たちと同行したいと言い出したのは、王子と王妃の安否を確認する目的もあったの?」
「実を言うと、それもあったのですけどね。リトル東京にいるかは分かりませんが……」
「ミールさん。玉の輿を狙ってたのですね」
「実はそうな……ちっがーう! それに、王子様は、まだ六歳。歳の差があり過ぎます」
「なに言ってるのです。六歳のうちのから洗脳して、ミールさんの思い通りの男性に育てるという手があるじゃないですか」
Pちゃん、君は本当にアンドロイドなのか? なぜ、そこまで黒いことを考えられる。
「おお! その手がありましたね」
そこ! 同調しない! ダモンさんがこの様子を見たら泣くぞ。
そういえば、なぜダモンさんは無事だったんだろう?
「ところで、このダモンという人は、なんで生きのこれたんだ?」
「ダサエフの言っていた通りなら……」
ミールは画像を指差した。
少年の頭を撫でているダモンの姿が映っている。
「帝国軍の目的は、生きている魔法使いの確保。その目的は、魔法を暴走させている能力者に魔法をレクチャーする事。つまり、城が落ちても、あたしとダモン様が殺される事はなかったのです」
「なるほど」
「まあ、城が落ちる前は、そんな事分からなかったし、落城したらあたしもダモン様も処刑されると思ってました。分かっていたら、もうひと暴れしていたのですがね」
「ミールさんも捕まっていたら、キラ・ガルキナにレクチャーする事になっていたのですね」
「あんな女にレクチャーなんて、お断りですわ」
「ミール。分身を、ダモンさんと接触させてみてはどうかな?」
「え? そんなことして、下手をすると、あたし達の存在が帝国軍に気づかれますよ」
「気づかれるかな?」
「奴らは、あたしの分身魔法を知っていますからね。城に送り返した斥候が消えるところを目撃されたら、分身だとばれてしまうし、それを操っているあたしが近くにいることも気が付くでしょう」
「そうか」
「と、思ったのですが、手遅れでした」
「え?」
「今、分身が、ダモン様に見つかってしまいました」
なんだって?




