愛に包まれて?
「ミール!」
僕はショットガンを投げ捨てて飛び立った。
落下してくるミールへ向かって上昇……いかん! 落ち着け!
高いところから落ちてくるヒロインを、ヒーローが受け止めるシーンは昔からアニメや特撮でよくあるけど、どう見ても『ヒロイン死ぬだろう』という様な受け止め方をしている場面がよくある。
今僕がやろうとしていた事は、まさにそれだった。
落ちてくるミールを真正面から受け止めたら、良くて複雑骨折。
悪けりゃ即死だ。
ここは落ち着いて、ミールの真下へ行き……
「イナーシャルコントロール!」
反重力場でミールを包み込み、落下速度を落としていく。
しかし、完全に速度を殺すことはできないので最後は……
ドボーン!
ミールは海に落ちたが、この時点で五メートルの高さから落ちたぐらいの速度にまで落ちていた。
この付近の水深は百メートル近くあるので、海底にぶつかる心配もない。
「ミール! 大丈夫か!?」
「ケホ! ケホ!」
水中から引き上げたミールは、多少水を飲んだようだが意識はあった。
「ケホ! もう大丈夫です。カイトさん」
よかった。
「あたしも、もうダメかと思いました。でも、落ちる途中で、何かふわりと暖かい物に包まれて……」
「ああ……それは……」
「そしたら急にゆっくりと落ちるようになって……あの時あたしを包んでくれたのは、カイトさんの愛なのですね」
いや……愛じゃなくて……反重力場で包んだのだが……
「カイトさんの愛する心が、あたしを守ってくれたのですね」
ええっと……ややこしいから、そういう事にしておこうかな……
芽依ちゃんから通信が入ったのはその時……
『北村さん。大変です。ワームホールがまた開きました』
なに!? 接続者は小机准尉が、船ごと沈めたはずだが?
『どうやら、接続者が溺れる寸前に、水中から開いたようですね』
芽依ちゃんの送ってきた映像では、水面ぎりぎりの場所にワームホールが開いていた。
ワームホールのサイズが、さっきより若干小さいようだが……
そのワームホールから、何かが出てくる。
あれは偵察ドローンOL10!
OL10は上空へと舞い上がっていく。
おそらく、この後からS131が続々と出てくるのだろう。
いや、次に出てきたのはS131よりも遙かに小型のドローン。
民生用ドローンに、迫撃砲弾をつけた簡易自爆ドローンのようだが、なぜそんな物を?
S131は使い切ったのだろうか?
しかし、小型ドローンでも数がそろったら十分な驚異だ。
くそ! こっちはすでに、矢も弾も尽きたというのに……この調子でドローンにどかどか出てこられたらもう対処できない。
小机准尉の疾風は、到着までまだ時間がかかるし……
《はくげい》の電磁砲なら数秒で砲弾が到達するが、偵察ドローンなしで小さなワームホールに狙いを定める事は……
いや待てよ。この手があった!




