転落
ええい! 考えても仕方ない。
僕は前方のドローンに向かって加速した。
後方の三機の事など、あいつらを落とした後で考えればいい。
ん? 前方で敵ドローンが一機、黒煙を吹き出した。
そのまま落ちていく。
ミールがやったのか?
違った。
ヘリ四号機の開いたドアから、一人の兵士がこっちへグッドサインを向けている。
フルフェイスのヘルメットを被っているので顔は見えないが、ずいぶんと小柄な兵士だな。
女性か? いや、それにしては胸がない。
まあ……女性だからと言って胸はあるとは限らないが……おそらく小柄な男性兵士だろう。
まさか、子供じゃないだろうな?
小柄な兵士が手にしているのは、フッ化重水素レーザー銃。
彼がドローンを落としてくれたのか。
残りの一機は?
視線を残りの一機に向けると、ミールの放った爆矢がドローンの至近距離で爆発していた。
ドローンは、そのまま爆炎の中へと突っ込んでいく。
爆炎の中からドローンが再び姿を現した時には、左側の主翼を失っていた。
そのままドローンは落ちていく。
残るは、後方から来る三機。
ショットガンを構えた。
しまった! 弾切れ。
マガジンを交換している間に、かなり距離を詰められてしまった。
それでも何とか一機を落としたが、二機が僕の側を通り抜けヘリ部隊へ向かう。
「ミール! そっちへ二機向かった。落とせるか?」
『大丈夫です。まだ、矢は残っています』
四号機の兵士も、レーザー銃を構えている。
彼もまだ撃てるようだな。
前方を飛行していたドローンが、黒煙を吹き始めた。
レーザーを照射されたようだが、あまりダメージを受けていないような……
あ! 四号機の兵士、カートリッジを交換している。
あっちも弾切れだったか。
それでも、ドローンの速度は落ちたようだ。
程なくして、手負いのドローンは後方から来たドローンに追い抜かされる。
この調子だと、ヘリ部隊にたどり着く前に落ちそうだな……ん?
不意に、手負いのドローンは進路を反転した。
僕の方へと向かってくる。
ヘリ部隊に到達できそうにないので、せめて僕の妨害だけでもしようという気だな。
かまわず迂回しようとしたが、ドローンはしつこく僕の進路へ回り込んでくる。
だが、それも長くは続かない。
プロペラの回転が弱まっていき、ついには停止した。
これで放っておいても落ちるな。
と、思った時、突然ドローンは爆発した。
「イナーシャル コントロール二G!」
急速降下で、爆風を避けた。
そのまま僕は、海面すれすれまで降りる。
少し遅れて、ドローンの破片が落ちてきて、海面にいくつもの波紋が生まれた。
残るドローンは一機。
上を見ると、ミールの爆矢がドローンの至近距離で爆発していた。
しかし、ドローンは損傷を受けながらも動きは止まらない。
四号機の兵士が、レーザー銃を構える様子が見えた。
カートリッジ交換を終えたようだが、もうドローンが近すぎる。
ここで爆発したら、ヘリ部隊にも損害が……
その時、ドローンが爆発した。
ヘリ部隊は無事か?
各ヘリは、爆風を受けて大きく揺れていたが、大きな損害はないようだ。
ヘリの屋根から矢を撃っていたミールが落ちてしまったが、あれは分身体だから大丈夫だな。
「キャー!」
いや、大丈夫じゃない。
ヘリの開いたドアから、分身体ではなくミール本人が落ちてきた。
助けないと……




