突破された防衛線
改めて、接近するドローンの数と種類を確認した。
ドローンの数は三十二機で、すべてが自爆ドローンのS131。
いや、もう一機いた。
S131の群とは別行動を取り、高度数百メートルの高い位置に滞空している機体が一機いる。
映像を拡大。
あれは、偵察ドローンOL10型。
あそこに陣取られると厄介だな。
「橋本君」
「はい。隊長」
僕は偵察ドローンを指さした。
「あいつを落として欲しい」
「偵察ドローンですか?」
「そうだ。あれは奴らの司令塔のような物。それを失えば、奴らの動きはかなり限定される」
「なるほど」
「偵察ドローンなら、自爆の心配は少ないだろう。刀を使ってもいい」
「了解しました」
嬉しそうに返事をすると同時に、彼女はフル加速で上昇していく。
「そこで待っていろ。偵察ドローン! 我が愛刀のサビにしてくれる」
いや、ドローン切ってもサビないから……
まあ偵察ドローンは彼女に任せるとして、問題は自爆ドローンの大群。
僕は芽依ちゃんと古淵の方へ向き直る。
「言うまでは無いが、ブーストパンチなどロボットスーツでの直接打撃は、自爆に巻き込まれる。離れたところから銃火機で落とすか、ネットやワイヤーで絡め取る方法で落としてくれ」
「「ラジャー!」」
一瞬だけ上空を見上げた。
偵察ドローンは、橋本晶の接近に気が付いたのか突然逃走を開始。
「待てぇ! 逃げるな、卑怯者!」
いや、逃げるだろう。普通……
視線を戻すと、自爆ドローン二機が、かなり近くまで迫っていた。
ショットガンを連射。
一機のドローンがプロペラを失って落ちていく。
「ワイヤーガン セット ファイヤー!」
もう一機のプロペラに、左腕のワイヤーが絡みつかせた。
その時、数機のドローンが僕の側を通り過ぎる。
「レフトワイヤー パージ」
ワイヤー外してから振り向くと、六機のドローンが遠ざかって行く様子が目に入った。
その先にあるのはヘリ部隊。
ショットガンをかまえる前に、ドローンは射程外へ出てしまった。
マズいぞ。防衛線を突破された。
芽衣ちゃんと古淵の方を見ると、なんとか敵を裁いていた。
上を見上げると橋本晶が、偵察ドローンを真っ二つにしているところ。
「橋本君。その位置から、掩護射撃を続けてくれ」
「了解」
続いて古淵の方を向く。
「ここの指揮を頼む。僕は奴らを追いかける」
「ラジャー!」
前方からくる敵も減ってきた。後は三人でなんとかなるだろう。
「イナーシャルコントロール。プロモーション二G」
ドローンを追いかけるが、すでにかなりの距離を開けられていた。
このままでは追いつく前にヘリがやられるな。
ヘリ部隊の残弾は、ほとんど残っていないと聞いていたが……
通信機を手に取った。
「こちら機動服中隊。敵ドローンが六機そっちへ向かった。対処できるか?」
『こちら輸送ヘリ一号。確認したが、すでに各機とも弾薬が尽きた。レーザー銃の燃料も、残り僅かだ』
だめか。
いや待てよ。
「橋本晶専用の爆矢は、残っているか?」
『あるにはあるが、弓がない。あったとしても、我々の中に弓を使える者は……』
いや、一人いる。
「ミールと通信を代わってくれ」
ミールの戦闘分身体なら弓が使える。
事情を話すと……
『分かりましたカイトさん。ヘリ部隊はあたしが守ります』
ヘリ部隊の映像を拡大すると、ビキニアーマー姿のミールが大型ヘリの屋根に乗って弓矢を構えていた。
ミール。僕が行くまで持ちこたえてくれ。




