無誘導の矢で、なぜ直撃できるのだ?
ドローン群とヘリ部隊の高度は、海面から五十メートル付近。
僕達は、千メートルの高度から、ドローン群に向かって降下を開始した。
その直後、小机准尉からの通信が入る。
『北村隊長。砲撃終了を確認いたしました。これより自分は、ワームホール撃破任務に向かいます』
「了解。健闘を祈る」
通信を切ったとき、僕達は高度八百メートルまで降りていた。
敵もこっちに気がついたのか、五機ほどが迎撃に向かってくる。
その五機のドローンに向かって、次々と矢が向かっていった。
すべての矢が狙い違わず、ドローンに直撃していく。
てか、無誘導の矢で、なぜ直撃できるのだ?
近接信管つけている意味がないじゃないか。
「橋本君。君の矢は、誘導装置でも着いているのか?」
「ははは! まさか。そんな矢が、あるわけないでしょ」
「じゃあ……なぜ百発百中できるの?」
「いやあ、ドローンの動きを見ていて、何となくこっちへ行きそうだなと思った位置に矢を放ったら、なぜか当たっちゃうのですよね」
恐るべし、橋本晶。
彼女はニュータイプか?
「隊長」
古淵の声に振り向く。
「ワームホールから、また増援のドローンが湧いてきます。切りがありません」
「大丈夫だよ」
数キロ先にあるワームホールに視線を向けると、古淵の言う通り十秒ごとに一機の速度でドローンが出てきていた。
「もうすぐ、ドローンは出せなくなる」
そのワームホールへ、小机准尉のジェットドローン疾風が向かっていく様子が見える。
ワームホールから出たばかりのドローン群は、その進路を妨害しようとするが、疾風はひらりひらりと躱していった。
程なくして、ワームホールから出てくるドローンが無くなる。
僕は通信機を取った。
「小机准尉。敵は、ワームホールを閉じる気だ」
『閉じる前に攻撃します』
しかし、間に合わなかった。
疾風は、ワームホールが消えたばかりの空間を虚しく通り過ぎる。
「小机准尉。近くに接続者を乗せた船がいるはずだ。捜してくれ」
『了解。船を見つけたら、攻撃しますか?』
「いや、接続者一人を倒しても無駄だ。それより、接続者を見つけたら、その視線の先を確認してくれ。そこに新たなワームホールが開くはず」
『了解』
そうこうしている間に、僕達もヘリ部隊の高度まで降りてきた。
砲撃でかなり数を減らしたが、周辺にはまだ十数機のドローンが残っている。
ワームホールから向かってくるドローン群が到着する前に、こいつらだけでも片づけておかないと。
「戦闘開始」
叫ぶと同時に、僕は近くのドローンに向けたショットガンのトリガーを引いた。




